第66次南極地域観測隊(2024年12月5日〜2025年4月6日)のしらせ航海ならびに海鷹丸航海(2024年度:2025年1月11日〜2月7日)に参加しました。2025年1月28日に海鷹丸航海で、定常渦の西サブリナ渦東端に時系列係留系システムを投入しました。1年間係留し2026年1月の海鷹丸航海で揚収する予定です。係留系には、EVSやセジメントトラップ(大きな円錐形の捕集器の下に26個のカップがついた海水中を沈降する生物起源粒子を捕捉する装置)が搭載されています。
第66次南極地域観測行動中に「しらせ」にて生物地球化学(BGC)フロート(写真D)を投入しました(マップE)。この海域は窒素、リンなどの栄養塩は欠乏していないものの、鉄などの微量栄養塩の濃度が低く植物プランクトンの生産が低いと推測される海域です。本課題で投入したBGCフロートと既存のフロートデータを用いて近年の海氷変動と海洋構造にどのような変化が見られるのか解析する予定です。
2024年度航海に必要なセジメントトラップや切り離し装置など大型機材の購入、各種観測消耗品の調達や装置類の動作確認や訓練航海への参加、海鷹丸航海で(2023年度:2024年1月11日〜2月7日)、生物起源粒子の挙動を把握するためのEVSのスナップショット観測など2024年度に予定されている本番の航海のための準備をしました。
EVSは立方体のハウシング内に倍率の異なるカメラを4面に設置し(写真A、B)、レーザー光をシート状に照射することで海水中の粒子のサイズや沈降速度、密度などの基礎的な情報を定量化しやすくし、計画した観測点のほぼ全てで定量分析可能なデータの取得に成功しました(写真C)。