今回は簡略化したピサの斜塔を作ってみます。
そのために重要になるのが、「Duplicate Special (特殊な複製)」という機能です。
Duplicate Special は Edit > Duplicate Special で開くことができます。
Duplicate Special に限らず maya ではメニューの右側にある□マークをクリックすると、オプション画面を開くことができます。
Duplicate Special では オプションの設定に従ってオブジェクトを複製することができます。
コピーするごとに Translate / Rotate / Scale の項目に従ってオブジェクトの座標をずらすことができます。
Number of copies が複製する個数です。
この場合は Y軸方向に 60度ずつ回転させながら 5つ複製する、という指示になります。
斜塔は、同じような構造の階が重なってできています。したがって
1階を作成する
1階を複製して重ねる
最後に傾けて斜塔にする
というステップで作成すればよさそうです。
まず芯に当たる太い円筒を作ります。シェルフからCylinder を作成します。
大きさや分割数を調整していきます。
チャネルボックスの下にアトリビュートエディタというタブがあります。
こちらに切り替えて、さらにpolyCylinderタブに切り替えると、形状を調整するための様々なパラメータを入力できます。
Radius(半径) を 5, Height(高さ) を 3 , Subdivision Axis(軸の分割数) を 16 に修正します。
後に紹介しますが、maya には Mirror(ミラー)という、各軸に対して対称にコピーする機能があります。
軸の分割数を 4 の倍数にしておくと、 X 軸 Z軸上にエッジが入るため、反転コピー する際にやりやすいのです。
また、Duplicate special をかける際、1辺を形作る角度が計算できないと困ります。
16分割した場合は 360° / 16 で 22.5°になります。
6分割だと60°、8分割だと 45°、12分割だと30°、24分割だと15° になります。
このような360を割り切ることができる分割数を覚えておくと、複製を開けるときに少し便利になります。
チャンネルボックスで Translate Y を 1.5 に変更して、底面の高さがちょうど0になるようにします。
ピボットの位置はデフォルトだとオブジェクトのちょうど中心になります。
先ほど高さを 3 に変更したので その 1/2 = 1.5 上にずらしたわけです。
次に 周辺の柱が支えている、各階の天井に当たる少し大きい円筒を作ります。
Attribute Editor > polyCylinder に切替え、Radius(半径) を 6, Height(高さ) を 0.5 , Subdivision Axis(軸の分割数) を 16 に修正します。
Channel box に切替え、 Translate Y を 3に修正します。
次に、各階を支えている細い柱群を作成していきます。
Attribute Editor > polyCylinder に切替え、Radius(半径) を 0.3 , Height(高さ) を3 , Subdivision Axis(軸の分割数) を 8 に修正します。
Channel box に切替え、 Translate Y を 1.5に修正します。
これで大きさは正しいのですが、するとこのように他のオブジェクトに重なってほとんど見えなくなってしまいます。
そんな時はビューポートの上にあるこのアイコンをクリックすると、選択中のオブジェクト以外を一時的に非表示にできます。
この機能を isolate select (選択項目の分離) といいます。
同じアイコンをもう一度クリックすることで、再度隠されていたオブジェクトを表示させることができます。
この柱を Duplicate Special を使って複製していきたいと思います。
Duplicate Special を Rotate Y 方向に回転させながらコピーしていけば作ることが出来そうなのですが
この機能はピボットの位置を中心に実行されるため、単純にオブジェクトを移動して実行してもうまくいきません。
ピボットを原点に残したままでメッシュだけを移動して Duplicate Special をかける必要があります。
そのために頂点選択モードに切り替えます。
オブジェクトを選択中に 右クリックを長押しすると、リングメニューが表示されます。
ドラッグから「vertex」モードに切り替えて移動することで ピボット位置を変えずにメッシュの位置を変更することができます。
もともとの選択モードをオブジェクト選択モードといい、同様に右クリック長押しから「Object Mode」に切り替えることで元に戻すことができます。
今触れているような、頂点と、それを結ぶ辺、変で囲われた面で形状を作っていくやりかたをポリゴンモデリングといいます。
頂点のことを vertex, 辺のことを edge, 面のことを face といいます。
いずれもオブジェクト選択中に、右クリック長押しからのリングメニューで確認することができます。
詳しい説明は後述しますが、vertex, edge, face モードで移動させるとピボットの位置は変わらず、
Object Mode で移動するとピボットの位置ごと移動する、とここでは覚えておきましょう。
頂点選択モードに切り替えてから isolate select を切り 正しい場所に移動させましょう。
周りの柱は 30 本あることにします。
1周は 360° なので 360 ° / 30 で 12° ごとにコピーしていけばよさそうです。
コピー数は 29 にしておきます。 30 個コピーしてしまうと元の場所にもコピーされてしまうからです。
アウトライナを見てみると 大量のオブジェクトが存在しています。
煩雑なので 1つのメッシュに結合してしまいましょう。
すべてのオブジェクトを選択してから Mesh > Combine から1つのメッシュに統合できるのですが、
編集履歴を残すためのデータがまだ残ってしまうので、さらに Edit > Delete by Type で整理(ヒストリの削除)をしてしまいましょう。
これで1フロアが完成です。
こちらを複製する形で各階を作っていきましょう。
ここまで作った1フロアはだいたい高さが 3 になっています。
Translate Y に 3 , コピー数 5 と入力すると 簡単に複製することができます。
今回作っているのは斜塔なので、最後に傾けてあげましょう。
先ほどのように Combine で結合してもいいのですが、今回は Group を使ってみます。
すべてのオブジェクトを選択してから Ctrl + G で グループ化します。
グループノードのピボットは原点に作られるので 傾け、地面から浮いて見えないように少し下げてあげます。
これで今回の作例は完成です。お疲れ様でした。