共有したい計算エクセルをツールにします。
今回は、↓このポンプの揚程のm⇔MPaの換算をAさんが作ったとして、これをツールにします。
(メモ)
C2、C3セルは入力値で、これらからポンプ揚程をMPa換算した値を求めています。
揚程(MPa)=揚程(m)×比重(kg/m3)×g/1000000
で求めています。
Aさんが作ったエクセルには以下問題があります。
①どれが入力値で、どれが計算値かパッと見て分からない
②単位が分からないものが含まれている
③計算式が分からない
そこで、↓このように手を加えます。
(メモ)
冒頭に、このシートのタイトルを記載
通し番号・項目・単位・数値・計算式・備考の欄を設ける。
数値の欄は、入力値を青、計算値を赤に統一する。
計算式の欄に最低限の記載を行う。
この画像では式を記載しているが、「ピタゴラスの定理」のように、何の式であるか分かればOK
また、以下のように言葉でもOK
=揚程×比重×重力加速度/1000000
エクセルをツールにする際に、他に3枚シートを追加するので、ツール本体は「MAIN」と名前を付けます。
(メモ)
シート名を「MAIN」にします。
使い方の説明シートを追加します。
今回の例は単純な単位換算であり説明シートの必要性はほとんどありませんが、複雑な計算シートの場合は説明シートの有無がツールの使いやすさを左右します。
(メモ)
使い方は簡素に記載します。
式の意味やなどは別シートに記載するので、ここは使い方に焦点を絞り、分かりやすく&シンプルに記載するのがコツです。
有効範囲や注意事項があれば、ここに記載します。
根拠の説明シートを追加します。
計算式には何か出典・根拠・検討履歴があるはずであり、これを残しておかなければ、第三者が再び出典や根拠を探すことになるため、ツールを共有化しても結局 時間が掛かってしまいます。
また、根拠をしっかり残しておくことで、「計算シートが間違ってた!」ということを防止する効果にも期待できます。
(メモ)
このシートは出来るだけ正確な根拠を残すことに注力します。図や資料のスキャンデータを張り付けておくことも有効です。
ただし、多くの資料を張り付けると、分かりにくくなるので、重要なところには赤丸マーキングをするなどの工夫が効果的です。
インターネットから情報を入手した場合は、そのURLも残しましょう。
左記の例では、エネ管.comさんのホームページを載せさせて頂いた上で、補足メモを記載しました。
来歴シートを追加します。
誰が作ったのか、誰がどのような更新を行ったのかを記載するシートを作ります。
会社によっては、係長・課長などの審査や承認が必要となるかもしれませんので、その場合は作成者以外の欄も作ります。
(メモ)
めんどくさいような気もしますが、誰が作り、どこを改訂したのかを残すことは重要です。
これは、このツールが検証済みであることの証明という意味でも重要です。
ただし、初版はエクセルの間違いや使いにくい部分が含まれている場合も多いはずであり、みんなが使っていく中でブラッシュアップしていくことが重要です。
(つぶやきのコーナー)
他人が作った計算資料やツールのアラを探し、指摘することで優越感に浸る人達(=評論家)は、どの組織にも必ず一定数は存在します。
そういう人達には、次の改定を任せるという社内ルールを作ってみても面白いと思います。
以上で、Aさんが作った計算エクセルを、第三者が使えるツールにすることが出来ました。
たぶん、これが一番大変です。
複雑な計算エクセルであればあるほど、この作業に時間が掛かります。
また、根拠がきれいに残っていない計算エクセルもあると思われ、ツール化するのは非常にマンパワーが必要です。
しかし、この作業は次に同じ計算をする人の作業時間を大幅に短縮し、かつ計算精度を向上させます。