健康のための瞑想

1.瞑想の出発点

 

メンタルヘルス向上のためmeditation(瞑想)を始めて数年が経った。

やはり瞑想の出発点は、自動的に行われ不安やイライラを招く思考(雑念)に気づくことだと思う。

この雑念の存在に気づかないと、文字通り死ぬまで四六時中不安やイライラを招く思考に苛まれることになってしまう。

 

例えば、過去の後悔や未来の不安を主とする以下のような思考だ。

・ああ、あの時ああしておけばよかった

・昨日ミスをしてしまった、やばい

・来週大勢の前で話さなければいけない、どうしよう

・あの人にえらく嫌われてしまったな

・今日はすごく不愉快なことがあったな など

 

合理的な範囲で、反省することや予行演習することには意味があるが、意味なくそういった思考を繰り返して、そのこと自体に気づかないことも多い。

軌道修正ができればよいが、気づかないと永遠にそのままだ。

気づくことさえできれば、深呼吸をしてもっと楽しい思考や、あえて思考をしないで脳を休める状態を作ることもできる。

できないと、メンタル不調に陥るまでそのままになってしまう。

 

私自身、過去に何度かメンタル不調に陥ったが、当時は不安やイライラを招く思考を続けてしまう自分に気づくことはできなかった。

今はそれに気づくことができる点で、かなり楽にはなっている。

 

 

2.呼吸瞑想の方法

 

不安やイライラを招く思考に気づけるようになるためにはどうすればよいか。

そのために、呼吸瞑想が活用される。

 

<例>

・座るか横になって、静かに目を閉じるか半眼の状態にする

・呼吸の数を10〜20ほど心の中で数える

・そのまま呼吸(※)に意識を向ける

※呼吸が鼻、気道を通る感覚、胸やお腹が膨らむ感覚など

・仕事のことや日常生活のことなど、呼吸以外のことが頭に浮かんだら後で考えることにして

呼吸に意識を戻す(大事なことを思い出した場合はメモをして瞑想に戻る)

・眠りそうになったら目を開けて瞑想を続ける

 

大切なのは、仕事のことや日常生活のことなど、呼吸以外のことが頭に浮かんだことに気づくこと、そして、意識を呼吸に戻すこと。

この気づくことと呼吸に意識を戻すことが日々の生活の中でいつもできるようになれば、不安やイライラをかなり軽減できるようになる。



3.その他の瞑想

 

意識を向ける対象は、呼吸でなくても構わない。

考えるのをやめても、またすぐに脳は考え始めるので、何かに意識を向け続ける方が、考えない状態をキープしやすくなる。

 

私は通勤途中などに「歩く瞑想」を行なうようにしている

例えば、一歩一歩歩く時に足に伝わる感覚に意識を向ける。

人間の脳は感じること考えることを同時に行うのが苦手なので、足の感覚に意識を向けると、

その分不安やイライラを招く思考が収まっていくのを実感することができる。

 

また、食事の時に「食べる瞑想」行うようにしている。

例えば、一口一口食べる時に、しっかり味わって食べる。

特に一人で食事をするときなど、ともすれば口を動かしながら午前中の仕事のトラブルのことばかり考えてしまって、せっかくの味覚を感じていなかったなどということになりがちだ。

しかしながら、そのような意識の動向に気づいて、意識的に食事を味わうように軌道修正できれば、無駄な雑念にイライラしてしまうこともない。

 

その他、ハミガキ、シャワーなど決まりきった動作をするとき、目覚めたばかりの時間帯などに、あまり意味のない不安やイライラを招く思考に陥ってしまいがちなので、そういう時こそ呼吸や身体の感覚など、「思考」ではなく「感じる」ことに意識を向けることで、ストレスを軽減することができる。


  

4.効果的な瞑想

 

最近私は、一日を通して不安やイライラをコントロールするために、ふとした瞬間に、あれこれ考えるのを一旦やめて、呼吸、手の感覚、足の感覚を感じることが効果的なのではないかと思い至っている。

 

身体の感覚を感じると実感としてストレスが軽減されるのは前述したが、実際に感じやすい身体の感覚としては、呼吸に伴う身体の動きが挙げられる。また、通常腕や胴体などは能動的に皮膚感覚を感じることは難しいが、手足であれば、自由に動かして、そこから生じる皮膚感覚を感じることができる。

皮膚感覚の感度も手足は他の部位より敏感だ。

 

仕事や日常生活の中で不安やイライラが募ってしまうと、無意識に呼吸が浅くなり、身体もカチコチになってしまうことがよくある。

そのような時こそ、呼吸に意識を向け、食事や飲み物の感覚もしっかり味わうようにする。

電車では吊り革を握る感覚を感じ、歩く時には一歩一歩足に伝わる感覚を感じる。

座る時には身体と椅子の接触を感じ、身体を横たえる時には身体と寝具の接触を感じる。

ストレッチをして筋肉の伸びを感じる。

そういったことを心がけると、ストレスの軽減を実感できる。

 

 

5.つまりは感じること

 

最近の研究によれば、脳は暇になると不安なことを考える性質があるのだとか。

確かに、夢中で本を読んだり話をしたり、ゲームをしているときなどにも、不安やイライラを忘れられる。

ただ、ゲームは日常的に酷使している視覚や聴覚をさらに疲れてしまうことや、逆にイライラしてしまうこともあるので注意が必要だとも思う。

 

無駄に不安やイライラを招く思考に陥らないようにするためには、あれこれ考えるのを一旦やめて何かを感じることが大切で、例えば呼吸や手足の感覚を意識的に感じることで、心を落ちつかせてストレスを軽減できればよいのではないかと思う。

 

※「瞑想」の意味は「目を閉じて静かにある物事を考えること」(日本国語大辞典)この記事の趣旨としては、"meditation"の"the practice of focusing your mind in silence...in order to make your mind calm"(Oxford Advanced Learner's Dictionary)の方が合っているように思われるものの便宜的に「瞑想」と記載

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