2024年度前期
2024年度前期
マレーシア大学サバ校(UMS)と長崎大学(NU)のジョイントシンポジウムがマレーシアのコタキナバルで開催され、私(大田)および3年生のイマンくんが参加・口頭発表を行いました。私は” Connections between Japanese farm stays (Nohaku) and traditional/locally produced food: A preliminary survey of open information”というタイトルで日本の農泊と伝統・地域食との関係性について、イマンくんは” Adapting to the Japanese Food Environment: A Study of Muslims in Nagasaki, Japan”というタイトルで長崎市のムスリムの日本の食環境への適応について発表しました。イマンくんは学部3年生とは思えないレベルの高い英語プレゼンでした。
その後、イマンくんが卒論テーマにしようとしているキナバル山でのエコツーリズムに関する視察を行いました。キナバル山麓Kundasangのゲストハウスに一泊し、村落や国立公園を管理するサバパークを訪れ、状況の確認をしました。Poringでは樹冠ツアーやラフレシア観察を体験しました。
発表の様子(下の写真右がイマンくん)
地元の文化についての聞き取り
コミュニティ開発事業”Everything Pineapple”の視察
熱帯雨林の樹幹歩道を歩く
普通に咲いているラフレシア。まさか見られるとは思っていませんでした。あまり近くには近づけず、匂いはしませんでした
Sosodikon Hillというトレイルから望むキナバル山
登山者が通るゲート。ビジターとして入れる一番奥の場所になります。Selamat Mendakiで「安全な登山を」という意味
科学技術振興機構(JST)のさくらサイエンスプログラム「ネイチャーポジティブを推進する森林産業の創出に向けた国際フィールドワーク」で、インドネシアのガジャマダ大学より学部生6名、インドのグル・ゴビンド・シン・インドラプラスタ大学より大学院生2名と教員1名を、2週間程度受け入れました。九州大学の藤原敬大准教授が主幹でしたが、私(大田)も共同実施者として協力しました。長崎県での手配、通訳、運転などでサポートしました。本ゼミの3年生の岩山晃子さんが部分的に(9月17日)参加しました。
活動レポートはこちらです。
西海市雪浦のゲストハウス「森田屋」でのディスカッション(一番手前が岩山さん)
博士後期課程のHan Xieyuくんが、中国の高齢者避暑旅行について調査を行いました。高齢者避暑旅行とは、夏季のまとまった期間(1か月から2か月程度)、避暑地に滞在し、冷房代を抑え、また、健康的な食事・生活をするというものです。中国ではこのようなライフスタイルが増加しているとのことです。Hanくんは、この高齢者避暑旅行によってどの程度温室効果ガスが削減されるか(そもそも削減されるのか)に関心があり、普段の居住地での電力使用や避暑地への移動手段なども含めた実証的なデータを取得しようとしています。
今回の調査地は貴州省の六盤水市です。有名な避暑地です。高齢者避暑旅行用の施設もあります。複数の施設で、滞在者に対してアンケート調査を実施しました。
避暑旅行の施設(上)とインタビュー後の写真(下)
3年生の岩山晃子さんが、ガジャマダ大学(UGM)が実施するForestry Summer Schoolに参加しました。協定校でなくとも応募可能で、food and accommodation provided(つまり費用負担は基本的に開催地までの渡航費のみ)というすごいプログラムだったようで、多数の国から参加者がいたようです。UGMの林学部は非常に有名です。
相当な部分が学生の自主運営で行われておりました。学生の能力の高さおよび日本の大学とのカルチャーないし世界観の違いに驚いたようです。私(大田)もインドネシアやマレーシアの大学のカルチャーには驚きます。自分たちで企業を回って、海外プログラムの資金の寄付を獲得したりするのが当たり前のようで、舌を巻きます。
集合写真
日本学術振興会(JSPS)の外国人特別研究員・欧米短期のスキームで、Viola Marcia van Onselen博士が、2024年8月から2025年3月までの予定で、本研究室に滞在します。Violaさんはオランダ出身で、国立台湾師範大学で博士号を取得したばかりです。専門分野は地理学で、特に生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)が専門です。夫のErikさんも一緒に来日しました。今後、日本での調査も含め、研究を進めていきます。
長崎大学国際交流会館に入居したViolaとErik
西海市大串地域の農家民宿で、1泊2日のゼミ合宿を行いました。懇意にしているK.Farm横浦別荘の安藤卓巳さんにお世話になりました。サマースクール学生も参加しました。
地元のみかん業者にお話を伺ったあと、参加者総出で夕食を作りました。地元の魚を捌いたり、カニを頂いたりしました。夜は花火をして騒ぎました(近隣の方申し訳ありませんでした)。大村湾から朝日が昇るのを見られる絶好のロケーションなので、朝5時に起きて皆で日の出を拝みました。その後、予定外でしたが、お隣の方にご好意で船を出して頂き、大村湾をクルーズしました。最後に、3年生が現段階の卒業研究のテーマ案を発表しました。
色々詰まった2日間で、有意義な時間だったと思います。安藤さん、誠にありがとうございました。
集合写真
K.Farm横浦別荘
地元のみかん農家を訪問
皆で料理
初めてのおにぎり自作
夕食後の安藤さんのお話
海岸で花火
大村湾の日の出
クルーズで西海橋へ
卒論テーマ案の発表
環境科学部では毎年、サマースクールとして、英国、タイ、およびインドネシアから短期訪問学生を受け入れています。2024年度、大田ゼミには、英国ランカスター大学から2名(Taya Carver, Niall Cullen)、インドネシア大学から1名(Luqman Ardito)が滞在しました。日本の森林資源および農山村の状況に関するレクチャーのほか、できるだけ日本固有の体験をしてもらいたいと考え、例年、農山村への訪問を実施しています。今年度は、以下のようなフィールド体験を行いました。
西海市: クアオルト健康ウオーキング(森林セラピー)の体験
鹿島市: 地域循環共生圏の取り組み(特に食用米での日本酒製造、棚田の耕作放棄の防止、棚田の防災機能の発揮の連関について)、干潟体験も
佐世保市高島: 離島での地域活性化の取り組み、バーベキューと海水浴も
西海市: 農家民宿体験
それにしても私(大田)は、ネイティブスピーカーの英語を聞き取れていないことが多く、申し訳ないと感じます。
鹿島市の干潟体験と市役所での聞き取り
西海市で血圧を測りながら森林ウォーキング
鹿島市の棚田風景。一部に耕作放棄地も
高島(佐世保市)でのバーベキュー
卒論社会教育施設での自然体験教育をテーマにしている4年生の吉田康太郎くんが、福岡県立社会教育総合センターの担当者へオンラインインタビューを行いました。福岡県の社会教育施設利用の一端が明らかになりました。
Zoomでのインタビューの様子
博士後期課程のChen Fangyuanさんが、武夷山国立公園と海南熱帯雨林国立公園で、ツアー会社担当者への聞き取りおよびエコツアーガイドへのアンケート調査を行いました。アンケートは、ガイドの基礎情報、エコツーリズムの基本認識、国立公園化による影響、およびガイド能力の自己評価から構成しました。これらのデータは博士論文の内容になります。
武夷山国立公園の風景
佐賀県吉野ヶ里町の松隈小水力発電所は、30kWという小さい出力で低コスト化・リスク削減を図り、また、自治体が調査コストを支援するなど、自然資源(小水力)の活用のモデルとして注目を浴びています。松隈地域づくり株式会社代表の多良正裕さま(元吉野ヶ里町長)に現地でご説明を頂きました。
用水路で説明をして頂く(右はゼミ生のイマンくん)
佐賀県伊万里市には、株式会社伊万里木材市場、西九州木材事業協同組合、および中国木材株式会社伊万里事業所からなる伊万里木材コンビナートがあります。3年ゼミの一環で、原木市場、集成材加工工場、プレカット工場などを見学させて頂きました。学生たちは、初めてみる大量の木材に大変驚いておりました。また、工場内に人が少ない(自動化率が高い)ことにも驚いたようです。
伊万里木材市場前で記念写真
原木市場
材の説明
中国木材でのレクチャー
集成材の断面。中側に国産材を使用することにより木材自給率の向上に
学部4年生の和才陽菜さんが、景観形成作物による地域活性化という卒論のテーマのために、大分県中津市三光コスモス園に関する調査を行いました。集落営農組合の代表者と市役所の方々にお話を伺い、どのようにこの大規模(毎年16ha)なコスモス園のイベントが可能になっているのかの知見を得ました。
中津市三光支所前
レゴ®シリアスプレイ®は、レゴブロックを使ったワークショップです。テーマに沿ってブロックで形を作り、それについて語り、他の参加者は傾聴し、個々人の価値観が共有されてゆきます。この日は「『自分が所属したいと思う理想のコミュニティ』を形にしてください」というテーマで実施しました。
作成したモデルについて話し、皆でそれを傾聴する
6名の3年生が本ゼミに配属になりました。また、博士後期課程の学生1名も加わりました。非常にうれしく思います。第1回目のゼミの後、4年生や大学院生も交えて、新歓パーティーを開催しました。マレーシア出身のイマン(Ahmad Iman Hamzah)くんがナシレマッを作ってくれました。インドネシア料理のレンダンとルンピアもありました。
パーティーの様子