私は土間で使用していた工作機械を室内に移す際、作業の危険性を感じて、荷の吊り下げと移動を楽に行う必要に迫られレバーブロックを用いた可搬型のホイストを作りました。今回は、その簡単な紹介です。
作業小屋のように鉄骨むき出しの建屋であればレバーブロックやチェーンブロックを適時取り付けての吊り下げも可能ですが室内では不可能なため上部に2mX50mmX50mmX3t の角パイプ ( 構造用角形鋼板 ) を渡した門型の釣り柱を作り、角パイプにトロリーをかけて1.5m程の距離を吊り荷した状態で移動を可能にしたものです。
角パイプに抱かせるトロリーは4.3mm厚 ( 規格は4.5mmのはずだが・・) の鉄板で角パイプを挟み、その上部に左右2個づつカムフォロアを取付けて2枚の鉄板を12mmのボルトで繋いであります。
下部のボルトには外径16mmの鉄パイプを通して、この部分に吊り下げ用のプロックを引っ掛けて荷吊りを行います。トロリーは4個のカムフォロアで支えられて角形鋼板の上部を自由に横行できます。
角形鋼板の両端には 3.2t の鉄板を溶接し柱となる6フィートのツーバイフォー材の上端に10mmのボルトで固定するようにします。このままでは固定が悪いのでボルト止めする対面には4.3mmの鉄板を凹形に切り込んで角形鋼板を挟み込むようにしています。
トロリーの吊り荷重はほぼ垂直にツーバイフォー材の柱にかかるため、柱が垂直に立っていれば100kg程度の耐荷重は十分に確保できます。一方の柱の下部には、組み立ての際、柱が自立しているように鉄骨で台座をもうけます。
台座は26mm角形鋼板を十文字に溶接し、補強のため各端面から柱に対してボルト止めするトラス構造の補強を入れます。
部材を制作中の上写真では2本、下写真では3本のトラス材が入っています。トラス接合部のボルトは柱に締め付ける部分以外は脱着を用意にするため蝶ナットを用いて締め付けます。
もう一方の柱には台座は設けません。これは据付の際台座が邪魔になる可能性があるためで、垂直の固定は適時その場に応じて机や柱に仮止めして使用するようにしてあります。負荷の吊り下げの際、むやみに横方向に偏った荷重をかけなければ柱にかかる垂直荷重で仮止めでも十分安定して柱は自立するので台座のない方が狭い場所にも柱を立て込めるので便利です。
写真は土間置きしてあった工作機械を小屋の室内に設置したときのもので、右の吊り柱は旋盤机の脚に仮止めして吊り荷しています。
工作機械は軽いものでも20~30kgを超すものが多いですから、私のように絶えず腰を痛めている人間が安易に持ち運び移動できるものではありません。これらの設備を室内に移設しえたのは、この可搬型ホイストあってのことで、これがなければ一人作業でこれらの設備の移動は不可能だったでしょう。
ことに床から卓上へと重量物を移動する困難さはやってみれば良くわかります。床面上であれば下に絨毯などをかませてずらせて移動させることも可能ですが1m近く重量物を吊り上げることはまず不可能です。
普段はバラして小屋の隅に放り込んでありますが、この設備によらず、時に人手だけでは困難な作業に欠かせないものは、その作業に適した工具や器具です。必要のないときには場所をとる厄介者に思えるのですが、いざとなると誠に頼りになる存在に変わりその価値を十二分に発揮してくれることは間違いありません。