2024.3.12 4つの痛み
こんにちは!脳神経内科医の辻です。
京都難病研究会は、その少しいかめしい名前に反して、難病患者さんとそのご家族の支援に当たる多職種のみなさんの相互の交流、意見交換などを通じて、今ある様々な支援課題を共有することを目標としています。時に深堀りすることもあるかということで研究会としています。深堀りではありませんが、昨日いただいたメールへのお返事から考えたことをご紹介いたします。
そのメールは、かつての同僚の先生から、職員家族のALSの方の相談でした。そのなかで、予後を教えてほしい。家族に伝えるので。と言われて、少し考え込んでしまいました。
予後、よご、って変な言葉ですね、たぶんこれは英語のprognosisを日本語化したものかと思います。英語の意味は「先のことを認識する」「前もって知っておく」ということになります。
ただ、予後という言葉は従来がんに関連して語られてきたものだと思います。予後良と予後不良に分けられ、予後不良例の予後は余命予測と同じですね。そしてその意味での予後は、ACPにつながっていきます。進行した際の治療選択、その際の判断力のはっきりしない状態(uncertain)に備えての事前指示に重点が置かれます。そこでは、その病状の行く先が描かれます。確定的に。でも、uncertain(未確定)なのは、その病状ではないのか、その時々で、利用できるリソースを使ってどのような医療や介護つまりは暮らしを選ぶかを話し合うことが大事なのではないのか、というのがACPに代わって最近提案されている、adaptive care planning(適応的ケアプランニング:AdCP )というアプローチです。これは難病支援を考えるときにとても大事な視点だと思いますし、その在宅療養の現場で実際に取り組まれていることかなとも思います。そのアプローチのおおきな障壁というかチャレンジになるのが、スピリチュアルペインです。スピリチュアルケアについては私は専門家ではないので、よく書かれたサイトを紹介しておきます。
その中の図はとても分かりやすいのですが、一つ言えることは、ALSではすべてが当てはまりますし、それらは相互に関連します。またALSの前頭葉機能の障害がくわわれば、スピリチュアルペインへの対応が(当事者・支援者双方に)さらに難しくなる、言い換えると、スピリチュアルペインが直に当事者を苦しめると言えるかと思います。そこで大事になるのが多職種多部門によるケアmultidisciplinary care です。2023年の神経学会の特別講演でも、multidisciplinary care がALSの生命予後を伸ばすというオーストラリアからの発表がありました。multidisciplinary careとは、それぞれの専門家がその専門性を発揮して支援に当たるということですが、ばらばらではなく連携、チームとしてのアプローチでもあります。節目節目で、shared decision making(協働意思決定)、上記のadaptive care planningなどのプロセスを繰り返しながらのチームの熟成とその伴走支援の重要性を示す取り組み結果といえるかと思います。そうした支援の上で、当事者が自らの物語を見つけること、つまりは、当事者の当事者性を恢復することがスピリチュアルケアにつながると思います。transdisciplinary care(協働型連携)や地域包括ケアとの関係はフットノートの3をご確認ください
2024.2.21 ㊗️ホームページ開設
こんにちは!理学療法士の山中です。
この度京都難病研究会(のちに「京都難病ケア Study Group」に改名)のホームページを立ち上げました!!
コアメンバーは医師、歯科医師、看護師、理学療法士、介護支援専門員、訪問介護員の10名で運営させて頂いております。
今後は難病ケアカフェをはじめとして、難病ケアで皆様から挙げて頂いた質問や相談に対するQ&A、難病ケアカフェ以外の研修会案内等の発信をさせて頂く予定です。
京都の神経難病支援について少しでもお役に立てればと思いますので、是非ともご活用頂きますようお願いいたします。