※この作品はフィクションです。地名や人名および思想は現実のそれと無関係です。また現実と乖離する設定があります。
「なんでこれだけ風景写真なの?」
写真展に来てくれたファンが聞いてくれた。
「ふふ。それはね、すごく長い話になるんだけど。あれは5年前のこと……」
舞台は5年前に遡る。2076年の末、姫小百合の咲く高原で有名な福島県の南会津町。
そのとある病院の一室で、灰場京介は激しく叫んでいた。
「私を殺そうとしたのは誰だ。私を殺せるのはお前たちしかいない!」
彼は昨日、客人の接待中に自宅で倒れた。病院での検査の結果、毒殺未遂であることが判明した。
「お前たちしか私を毒殺できない。誰だ。名乗り出ろ!」
春野むぐらと正義、灰場舞は互いに顔を見合わせ、誰も口を開かない。
その時、突如として地震が起きた。悲鳴と建物の壊れる音が響く中、4人は天井が崩れるのをしっかりと見届けた。
密談禁止