私は、政治家だった花園創一の息子である。父の影響を受け、私も政治家となった。
妻の灰原舞とは父の勧めで政略結婚した。彼女は大企業の社長だったが、今は倒産してしまった。かつて、妻と娘の礼の夫が揉めた事件があり、それ以来娘の家族とは縁を切っていた。しかし今年、その娘が過労死してしまい、娘の息子(孫)である春野むぐらを私たちが引き取った。
私は政治家兼、宗教団体Gardenの教祖。Gardenの献金を政治利用し、地位を築いた。
春野誠を夜道で刺殺したことがある。花園創一は春野誠が暴いた不倫スキャンダルで政界を引退させられた。それが許せなかったのだ。
花園創一は死後、私にだけ特別な遺書を残した。そこには「不倫相手との子どもの存在が生活を脅かすだろう」と記されていた。子どもの居場所は不明だが、父は政界引退後、神主となっていたので神社に隠してるだろうと思った。案の定、姫小百合の花畑に囲まれた神社からその子どもが見つかり、逃げる背中に愛刀を一突きした。約15年前のことだ。
7月8日の10:00頃、起床してリビングに行った。妻の舞もそこにいた。
11:00頃、正義と名乗る記者と客間で対峙した。舞が、お水が注がれた花柄のマグカップを私に差し出し、記者にも無地のマグカップを差し出し退室した。今日はいつも飲んでいるお茶じゃなく水だった。
「春野誠にそっくりだな。彼は君の養父だったか? 彼みたいになる前に手を引け」
「誠さんみたいに? どういうことだ?」
「私が春野誠を殺したんだ。私の父のスキャンダルを暴いた報復にな」
「な、なんだと!? ……この野郎!」
記者ごときが私の首元を掴んでくる。
「それが私に通用するとでも?」
私は彼の手を外し、「よく考えることだな。私は一旦席を外す」と言い、部屋を後にした。11:05頃だった。それから5分経つと客間に戻り、再び記者と対峙した。そして、花柄のマグカップに注がれたお茶を飲みほした瞬間、意識を失った。
次に目覚めたのは病院のベット上だった。毒による症状で関係する3人のうち誰かが殺そうとしたことは想像できた。犯人捜しに奔走する中、大地震に襲われ落ちてくる天井を最後に意識が途絶えた。
子どもを殺したことを秘匿しよう
殺そうとした犯人を最優先で捜そう