1年前、父の春野悟が過労死した。翌年、母の春野礼も過労死した。今は母方の祖父母(灰原家)の家に住んでいる。家も学校も居心地が悪く、昔はひとりで姫小百合が咲く高原に遊びに行っていた。
あなたは灰場京介を殺そうとした真犯人です
昔、父親である春野悟と母方の祖母である灰場舞の喧嘩を止めたことがある。今は、父と母を過労死させたこの社会が憎い。僕の両親はこの社会に殺されたんだ。僕の母方の祖父である灰場京介は政治家だ。まさにこの社会を形作っている張本人。憎しみを晴らすべく、彼を殺すことを決意した。
7月8日の7:00頃、登校前に、祖父の愛用している花柄のマグカップにユリの球根毒であるコルヒチンを塗った。もし、祖父がそのマグカップを使用し、飲み干せば、一瞬で呼吸困難により死亡するだろう。コルヒチンについては昔、誰かに教えてもらった。消毒液を熱し、気体となったエタノールを収集し液化。姫小百合の球根をそれに浸せば、コルヒチンがエタノールに溶け出る。それを抽出すれば完了だ。その過程を自宅の自室で行った。また、コルヒチンはゆっくりと水に溶け、10分で無色から黄緑色になる。祖父がいつも飲むお茶と同じ色なるので問題ない。
同日の11:00頃、学校の授業が全て終わり、10分程度かけて下校した。帰宅すると、祖母の灰場舞の悲鳴が客間から聞こえた。客間に急いで向かうと客人がいて、机のそばで祖父の灰場京介が床に倒れていた。灰場舞がすぐに救急車を呼んだ。
僕には学校に行っていたという完璧なアリバイがある。
同日の14:00頃、正義と名乗る記者と灰場舞と僕は、病院で一命を取り留めた灰場京介のベットの前にいた。京介が犯人捜しに奔走する中、僕らは大地震に襲われ、落ちてくる天井を最後に意識が途絶えた。
灰場京介から怪しまれないようにしよう
客人が誰なのか聞いてみよう