関東工場見学会

関東工場見学会

去る2010年9月29日、30日の両日に、京都大学機械システム学コース・機械理工学専攻・マイクロエンジニアリング専攻主催の関東工場見学会が行われた。協賛として京機会関東支部と我々京機会学生会執行部SMILEが参加した。

この見学会の趣旨は「企業の工場見学や卒業生との懇親会を通して機械工学の見識を深め、将来の進路を考える」というものである。そのため、見学させていただいた企業では京都大学機械系の先輩の方にお越しいただき、質問会や食事を共にし、参加した学生と交流を図った。見学会には就職活動を控えた修士1回生と学部3回生に加え、興味を持った学部2回生の参加もあり、計17名が参加した。今年度の行程は以下のようになった。

29日 午前: 住友重機械工業 千葉製造所 見学

午後: JFEスチール東日本製鉄所 見学

夜 : IHI本社 懇親会(見学先の方に加え関東支部幹事の皆様も参加)

30日 午前: IHI 昭島・瑞穂工場 見学

午後: 富士フイルム 先進研究所 見学

一日目の午前中に見学した住友重機械工業では、クリーンルーム内でのプラスチック射出成型の見学と油圧ショベルの製造ラインの見学を行った。DVDやBDのプラスチック射出成型では、ディスクの歴史におけるお話やいかに早く正確に製造するかがこれからの課題だということを教えていただき、技術の高さと世の中のニーズに答えていく姿勢を学ぶことができた。油圧ショベルの製造ラインでは、まるで巨大プラモデルを作っているかのような感覚に襲われ、参加した学生は食い入るように見ていた。JFEスチールではまず、工場の大きさに目を見張った。はじめに高炉を見学し、高さ100m以上の高炉から銑鉄が流れ出る時は、遠くに離れながらも熱を感じた。熱延加工の見学では1000℃以上に加熱された真っ赤な金属を、ローラーを使って延ばしていく過程を見せていただいた。加熱された金属が出てきたときは学生全員声を上げ、普段見ることのできない経験に目をときめかせていた。

その日の夜には、IHIの本社にて懇親会が行われた。見学させていただいた住友重機械工業の方とJFEスチールの方に加え、京機会関東支部の幹事の方も来られ、立食パーティの形で行われた。先輩方も学生も雑句把覧に話し合うことができ、踏み込んだ話も飛び交っていた。京都大学の先輩であり人生の大先輩でもある方々との懇親会は、我々学生にとってとても有意義な時間となった。

二日目の午前中にはIHIの工場を見学した。昭島工場のジェットエンジン資料館では、開発における歴史や裏話を聞くことができ、どのようにジェットエンジンが進化してきたのかを知ることができた。瑞穂工場では、実際にジェットエンジンを組み立てている工場を見学した。さらに、ジェットエンジンの試験を行う建物も見せていただき、スケールの大きさと設備の充実さに驚いた。最後に見学した富士フイルムの先進研究所では、インクジェットプリントの開発環境を見せていただいた。先進研究所は、インクに対する温度と圧力の制御で世界一を誇る。クラス1000のクリーンルームやインクの調合の実験室など、見学コースでは見る事のできない特別な場所も見せていただいた。先輩の方の話では、社会人になってから必要と感じたことは「専門力」「チームワーク」「語学力」だった。気軽に質問できる雰囲気で、学生からも熱心に質問が発せられていた。

参加した学生の声も「将来のキャリアをイメージし易くなりとても参考になりました」「大量製造工程の中に集約されている技術力に圧倒された」のように大変好評だった。今回のような先輩の方と接する機会はなかなか得られないので貴重な体験となった。世の中の最先端でご活躍されている先輩を見て、自分たちもそのようになれるよう努力したいと思う。そして、将来は世界を引っ張っていく人材を目指したい。

最後に、住友重機械工業、JFEスチール、IHI、富士フイルムの皆様、京機会関東支部の皆様、開催にあたって大変お世話になったIHIの村上様に、心から御礼申し上げます。