1日目(9/17,Thu.)
午前9時20分,無事に参加差者全員が名古屋駅に集合し,「産業技術記念館(トヨタテクノミュージアム)」へ向かいました.トヨタと言えば今や世界トップの自動車メーカーとして有名ですが,その発祥は繊維産業であり,産業技術記念館も旧豊田紡績の工場を改装したものです.
産業技術記念館のコンセプトは大きく三つ,“貴重な建築物の保存”,“実物の展示”,“動態保存”です.特に三つ目に関しては,百年近く前の織機の多くが動態,つまり動かせる状態で保存されており,ダイナミックながら精巧な動きを間近で見ることが出来ます.ちなみに館内では意外にも写真撮影が禁止されていません(今後改訂される可能性もありますが…).私も知っていればカメラを持っていったのに…(涙)そのため館内の写真は会長が撮影したものです.
産業技術記念館前.レンガ造りの壁が歴史を感じさせます.
館内は大きく「紡績」と「自動車」のエリアに分かれています.今回は紡績を見ていきましょう.
紡績エリアでは,人類が繊維を利用してきた歴史や,産業革命以後活躍した多くの織機が展示されています.産業革命により,人間の役割は作業から機械の管理へと移りました.自動化により一人の人間が何台も機械を管理することが出来るようになりましたが,同時に不良品の割合が急増しました.高速で動き続ける機械に異常が起きた時,それに人が気付いてから止めていたのではやはり非効率的です.そのため,高性能センサも無い時代に,糸が切れたり無くなった事をどのように機械に知らせ,運転を止めるかが大きな課題となったわけです.
それらの課題を数々の発明で解決し,豊田佐吉・喜一郎らが生み出したのが「無停止杼換(ひがえ)式豊田自動織機(以下,G型織機)」でした.G型織機は上記のような異常を感知するだけでなく,運転しながら杼換(横糸が入ったシャトルを入れ替える事)を行える画期的なものでした.記念館ではこの杼換の瞬間を実際に見ることが出来ました.一見の価値ありです!また,案内係の人がメカニズムを詳しく解説してくれるので,あまり織機のことを良く知らない人でもG型織機のすごさを理解することが出来ます.というか私がそうでした(笑)
ただ個人的には,横糸のシャトルに開いている穴に糸を通す方法に度肝を抜かれました.分厚い木の枠に開いている小さな穴に,効率的に細い糸を通す方法…皆さんは思いつきますか?答えは是非トヨタテクノミュージアムで!
館内ではその他にも,最新の織機を見ることが出来ます.シャトルではなく,水圧や空気圧で横糸を毎分400回以上通す織機には,技術の進歩のすさまじさを感じました.
昼食後はバスで三重県へ移動し,デンソーの大安工場を見学しました.大安工場は比較的新しい工場で,人の背丈より低い機械がズラッと並んだ光景が特徴的な工場でした.この低い背丈にも意味が有り,工場を見渡せることで,機械や時には人の異常も素早く察知することが出来るからなのだそうです.
私たちが見学した工場では,エアバッグ用のセンサ部品を生産していました.魚の骨のような金属板を切断・曲げ加工し,ラインを巡回する携帯電話くらいの大きさのパレットに乗せ,プラスチックカバーや基盤を取り付けていく工程を一通り見ることが出来ました.ライン生産の鉄則は「後工程に不良品を流さない」だそうで,そのために「作ったらすぐ検査」を実行するため,待ち時間やそれによる在庫を徹底的に減らす工夫が随所になされていました.またプラスチックの射出成形では,複数の製品を同時に射出するよりも一つずつ成形する方が,作業性は意外にも高いそうです.「一回の生産数が減る分は,成形のスピードを上げて補う!」という姿勢に技術者魂を感じました.
再びバスに乗り込み,日も暮れかけた夕方5時半ごろ,ようやく宿泊先の「安城荘電装会館」に到着しました.
到着後まずは,中部電力の谷口さんによる講演がありました.世界的にも環境意識が高まる中,やはりテーマとなるのはエコです.大量のエネルギーを使う中部電力でも,特に火力発電の高効率化に取り組んでおられるようでした.中でも最新の「新名古屋火力発電所」が出す排気の温度はたった90℃という驚異的な低さだそうです.もうお湯すら沸きません!損失のすべてが排気熱ではありませんが,限られた資源をとことん使う技術にはまだまだ限界が無いのだと感じました.
それでも,電力が商品である電力会社が省エネを呼びかけなければいけないというジレンマ….その苦悩が垣間見えた講演会でもありました.
講演後は,中部支部の方々との懇親会です!
今年は学生25名,教職員及び中部支部の京機会員の方たち十数名が参加しました.
ご,豪華すぎる…(;゚д゚)
時間の関係もあり,私がお話できたのは数人の方たちでしたが,楽しいだけでなく,非常に有意義な懇親会でした.
懇親会後は安城荘の大浴場で一日の疲れを癒し,午後11時には就寝.お疲れ様でした…(=。=)zzz
2日目に続く…