翌朝、お世話になった安城荘電装会館に別れを告げ、再び濃尾平野を北上します。
次は、三菱重工名古屋誘導推進システム製作所。通称「名誘(めいゆう)」。
ミサイルや人工衛星を手がけ、日本屈指の技術を誇る工場です。
室内では、昼食を頂きながら、3人の先輩との質疑応答が行われました。折りしもHTVのドッキングが成功した直後でもあり、やはりHTVの話の比率が高かったです。その中でも、一人の学生が先輩方に聞いた「夢」が印象的で、それぞれ、
「自分の作ったエンジンが空を飛ぶ。」
「HTVが物を持って帰れるようにする。」
「今のプロジェクトを最後までやり遂げる。」
というお答えでした。特に名誘で手がけられるプロジェクトはなかなか困難なものが多く、「蜃気楼プロジェクト(追えば追うだけ逃げていくから)」と呼ばれた時期もあったそうです。それでも、最後までやり遂げたときの喜びは何物にも変え難い価値があるそうです。
さて、再びバスに乗り込み、次は名古屋の中心部を目指します。住宅が立ち並ぶ中に見えてきたのは、日本ガイシの本社でした。日本ガイシと言えば、黒子のキャラクターと、「関係ないじゃん」のCMと言えば分かる人もいるでしょうか。個人的にはCMの女の子が結構可愛かった記憶がありますがそれはさておき。
日本ガイシは素材メーカーの中でも、特にセラミックスが得意で、その分野では圧倒的な技術力を誇る企業です。セラミックスは言うなれば粘土であり、それをどれだけ器用に加工できるかが勝負とのこと。最近はさらにセラミックスを金属と接合させ、NAS電池と呼ばれる大容量で応答性の高い燃料電池を開発したそうです。担当の方の、「他では絶対マネできません!」と言ったときの誇らしげな笑顔が今も忘れられません。
工場見学では、車の排ガスを綺麗にするためのフィルターの生産ラインを見せていただきました。セラミックスの原料を混ぜ合わせる巨大な機械からにょ~んと出てきた紫色のシフォンケーキのようなものが、次々と成型されていきます。乾燥が巨大な電子レンジ(13KV!?)というから、やはりどう見てもケーキです。ちなみに成型に失敗しても、元が粘土なのでそのまま原料と混ぜて再び成型できるので、不良品の廃棄率は脅威の0パーセント!環境にもやさしい製品のようです。
工場見学の後は、先輩を2人お呼びして質疑応答を行いました。日本ガイシは先ほども書いたように材料メーカーですが、機械系の活躍の場は多いそうです(主に生産ライン)。先輩の一人は、それが入社の決め手になったともおっしゃっていました。
その後、お世話になった方々にお礼を言いながら、午後5時にはバスに乗り込み、ものの2,30分で名古屋駅に到着しました。ここで解散です。
2日間という短い日程でしたが、非常に多くのものを見聞きし、充実した時間を過ごせました。プロジェクトリーダーとして、そして学生の一人として、改めてお世話になった方々にお礼を申し上げます。就職活動を数ヵ月後に控え、貴重な体験ができました。来年も、後輩が伺うと思うのでよろしくお願いします。
スマイル中部工場見学プロジェクトリーダー
機械理工学専攻 山本真太郎
追記:2010年のプロジェクトリーダーへ
次回は事後アンケートを絶対忘れないように!(笑)
小牧の名誘に着くと、早速工場見学に出発しました。…が、人数が2人ほど少ない…。後ほど知ったのですが、この工場では「日本国籍を持った人しか見れない場所が数多くあり、留学生は別メニューだった」とのこと。改めてミサイルというものの特殊な事情を垣間見たような気がしました。
見学では、誘導ミサイルや人工衛星の心臓部に当たる部分などを見せていただきました。説明によると、誘導ミサイルは先端にまさに「目」にあたるカメラを備えていて、それで目標を視認してサイドスラスタで軌道を調整するそうです。まるで生き物ですね…(汗)サイドスラスタは、ミサイルの先端から少し後方に多数取り付けられていて、それぞれは一度しか使えないそうです。失敗の許されない迎撃では、細かく調整が利く高性能なものを少なくつけるよりも、いくらでも替えが利くような単純な構造にしておいた方が良いということでしょうか。
人工衛星は、大き目のダンボールぐらいの大きさで、金色のシートに覆われていました。思ったより小さい印象を受けました。この大きさの物を打ち上げるために、あれだけ大きなロケットが必要なんですね。一番の苦労は、放射線が飛び交う宇宙空間で、きちんと電子回路が機能するようにすることだそうで、そのためのありとあらゆる工夫がこの小さな人工衛星には詰め込まれているそうです。
それ以外にももはや芸術作品のようなロケットエンジンなどを見て、会議室へと戻りました。