スマート農業
ー桑畑自動巡回観察システム-

近年の日本の農業分野では,従事者の減少や高齢化の進行等による労働力不足が問題となっています.この問題を解決するために,ロボットをはじめとする先端技術を活用するスマート農業が注目されています.

作物の観察については,衛星画像やドローンを利用して作物からの反射光を計測し,スペクトルを解析することで葉の茂り具合や光合成が行われているかを観察するリモートセンシング技術が注目されています.しかしリモートセンシングでは個々の作物の状態,特に樹木に関しては地表付近の観察は行えません.地表付近の温度や湿度をはじめとする気象情報や季節ごとの虫や鳥獣の被害の様子,作物の病気など,地表付近での観察から得られる情報も非常に重要となります.

本研究では,複数の自動走行車両(Automated Guided Vehicle: AGV)を利用し地表付近の環境情報を得ながら巡回観察を行うシステムの開発を行っています.信州大学繊維学部附属農場には見本桑園があるため,現在は見本桑園で実験を行っています.

本システムではミドルウェアとしてROS2を採用し,多種のセンサやAGVをROS2をベースとして統合しています.ミドルウェアを活用したシステム構築に関する設計工学的考察を深めることも,この研究の目指すところです.