ガラ紡

ガラ紡機は長野県出身の臥雲辰致が開発した紡糸機械 です.綿筒中の綿は綿筒の回転によってねじられ,リー ド線によって綿筒から引き上げられます.運転中にガラガラという大きな音がすることから,ガラ紡機と呼ばれています.ガラ紡は低撚りの糸を作ることができ,作られた糸は手紡ぎ糸に近い感触を持ちます. 機械的な原理が単純で,紡糸条件の変更も容易なため,幅広い原料の紡糸ができるという強みがあります.

本研究は明治初年日本で発明された紡績機ガラ紡を原型として,紡績ロボット(メカトロガラ紡機)を開発し,手紡ぎの風合いを詳細に,かつ多様に表現する制御法を確立することを目的としています.このメカトロガラ紡機による紡績糸の特徴を明らかにするために,機械式ガラ紡の紡糸方法を模倣したヒステリシス制御をメカトロガラ紡に適用し,機械式ガラ紡と同等の紡糸が可能であることを確認しました.作成した制御プログラムを用いて紡糸実験を行い,巻取り速度,設定紡糸張力が紡績糸の太さや撚り率に与える影響を調査しました.

これまでの紡績実験により,風合いの重要なパラメータである紡績糸の太さについて長周期での入出力変化を確認できました.今後はメカトロガラ紡機による風合い制御のための制御入力の最適化に向けてガラ紡機および実験条件のメカニカルなパラメータの同定を行い,ドラフト速度,張力,ツイスト速度,リフト長(紡糸点と巻取りローラの距離)の調整,繊維塊内圧力や繊維の配向度などについて調査していきます.またこれらのパラメータを内包するガラ紡による紡糸のモデル化およびモデル適応型制御の実装を目指します.


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