ねこひねりと,
ねこひねりロボット

ねこの宙返りは,落下し始めたときには回転していないのに,空中で向きを変える動作です.

年配の方には「いなかっぺ大将」のにゃんこ先生のキャット空中3回転の技を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います.実際のねこひねりはこれとは違います.

ねこを逆さにして落下させると角運動量が0の状態(全く回転していない状態)でも向きを変えて足を下にして着地するので,不思議な現象と思われていました.また,様々な説明が試みられていました.しかし,一般にわかりやすい形での正しい物理的な説明はあまりされていませんでした.大学の物理学の教科書でも実際のねこの動作とは違った説明がなされているものもありました.それは,ねこは体をねじって(雑巾を絞るように,あるいは,ツイストドーナツのように)向きを変えているというものです.

次の動画を見てください.

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アトムくんの宙返り

1989年撮影.小嶺家のアトムくんに協力してもらいました

アトムくんは上手に宙返りしてくれました.体をねじっていないことがわかります.

背骨の真ん中あたりに注目すると,ねじるかわりに空中でフラフープでもするような運動をしていることがわかります.
猫背の状態→側屈→おなか側を伸ばした状態→逆側に側屈→着地

これを世界で初めてロボットで実現したのが次の動画です.

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手も足も尻尾もないロボットが,腰部分を回すことで向きを変えることを実現しています.

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この動画はロボットを吊るした状態で腰振り運動をさせたものです

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この動画は腰振り運動を実現するために,ゴム人工筋で直行する2つの拮抗筋を構成した部分の動作時のクローズアップです.