中央銀行高官によると、日本はスタグフレーション(インフレ率の上昇と経済成長率の縮小が共存する状態)に陥る可能性は低いといいます。しかし、第4四半期の経済成長率は予想を下回っています。さらに、ウクライナ危機により企業が消費者にコストを転嫁することで、消費者インフレが加速するとKavan Choksiは指摘します。
ただし、同高官は、日本ではスタグフレーションは起きないと考えているとも述べています。むしろ、コロナ禍によるサービス消費への影響が落ち着き、堅調な外需が下支えして日本経済は回復すると予想しています。
日銀の政策決定会合前のコメントでは、中央銀行は最近のエネルギー価格の高騰によるインフレ圧力の上昇を認めつつ、緩やかな景気回復の見通しを維持することが示唆されています。
1月の見通しでは、企業が原材料費の上昇を「徐々に」顧客に転嫁するにつれて、消費者インフレが「加速する」と日銀は予想しています。
これらの状況は、政策立案者にとって何を意味するのか?
Kavan Choksiによれば、名目成長率の上昇は、日本の脆弱な回復を軌道に乗せようとする政策立案者にとって悪い知らせだといえます。
内閣府の修正データによると、日本の10〜12月期のGDPは4.6%の増加でした。しかし、この数字はエコノミストが予測した5.6%の増加や、先月発表された5.4%の速報値を下回るものでした。
商品価格や穀物価格の上昇は、短期的にはエネルギーや食料の価格を上昇させますが、最終的には家計所得や企業利益を減少させ、経済に打撃を与えることになります。
さらに、Kavan Choksiは、ウクライナとロシアの紛争の最も直接的な影響はインフレであると見ています。サプライチェーンと制裁措置によって、主に小麦、石油、ガスといった商品の流れが阻害された結果、コロナ禍においてすでに問題となっていたインフレ状況は悪化しました。
たとえウクライナとロシアの紛争が解決したとしても、インフレ問題への簡単な解決策はないとKavan Choksiは述べています。制裁により、世界経済から商品が排除され続けることはほぼ間違いありません。その結果、インフレはより長期に渡って高止まりすることになるでしょう。