特別講演

日時:2018/11/25 14:00-15:30(90分) 201教室

講師

大谷 彰

(米国メリーランド州Spectrum Behavioral Health サイコロジスト/米国臨床催眠学会フェロー/米国心理催眠専門学会理事)

司会

大山みちこ(武蔵野大学/広尾心理臨床相談室)

演題

マインドフルネスと催眠 - 僥倖の邂逅


講演概要

近年、欧米はじめ日本ではマインドフルネスが大流行している。東南アジアのテーラワーダ仏教で実践される瞑想(ヴィパッサナー)から派生したこのテクニックは臨床化され、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)、さらには弁証法的行動療法(DBT)やアクト(ACT)などにも導入されている。画像診断やEEGなどを用いた基礎研究も隆盛をきわめマインドフルネスに伴う大脳生理も明らかにされつつある。こうした傾向が喜ばしいことは言うまでもないが、マインドフルネス、ひいては瞑想と催眠との関連についてはこれまでのところ、残念ながら一部の研究者と臨床家を除いて等閑視されている。事実、マインドフルネスには催眠に酷似する瞑想(サマタ)も含まれ、殊に変性意識の方法論と現象理解に大きく貢献する。本講演では、(1)マインドフルネスの沿革、パラダイム、方法論、現象、ニューロサイエンスおよびエビデンス、(2)催眠とマインドフルネスとの類似・相違点、(3)マインドフルネスと催眠を統合させたアプローチ、の3点について論じる。また体験学習としてデモンストレーションとグループ体験も(時間が許せば)試みる。

講師紹介

大谷彰先生はミルトン・エリクソン博士の高弟の一人として著名なケイ・トンプソン博士に師事され、米国臨床催眠学会の研修委員を勤めておられます。米国西バージニア大学院より博士号を取得後、メリーランド州のジョンズ・ホプキンス大学院准教授、メリーランド大学カウンセリングセンターでシニア・サイコロジストを務められました。2008年よりはメリーランド州都アナポリスのメンタルヘルスクリニックSpectrum Behavioral Healthにてサイコロジストとして催眠やマインドフルネスなどを活用した臨床活動に携われておられます。

主要著訳書には「カウンセリングテクニック入門」(単著、2004)、「現代催眠原論」(共著、2012)、訳書には「わかりやすい認知療法」(共訳、2007)、「催眠誘導ハンドブック」(単訳、2009)はじめ、学術論文も多数あります。

最近では、催眠に加えてマインドフルネスを取り上げておられ、「マインドフルネス入門講義」(単著、2014)、「マインドフルネス実践講義―マインドフルネス段階的トラウマセラピー(MB-POTT)」 (単著、2017)、「新時代のやさしいトラウマ治療――NLP、マインドフルネス・トレーニング、EFT、EMDR、動作法への招待 (東洋英和女学院大学社会科学研究叢書 4) 」(共著、2017)、「マインドフルネス・ゲーム」(監訳、2018)、「進化するマインドフルネス: ウェルビーイングへと続く道」(共著、2018)、「マインドフルネスと催眠」(共著、2018)などの著訳があります。