ウダガワヨルサンポ / Udagawa night walk
ウダガワヨルサンポ / Udagawa night walk
渋谷という町は元々いくつかの川が通っており、谷がまたがる場所であった。
この谷という地形には、権力のコンテクストが色濃く出ており、谷の底には宇田川町のような小さな町があり、高い場所にはNHKや明治神宮など権力を司る建物や場所が存在する。
現在では、渋谷の街全体で行われている巨大な開発により暗渠化され、当時の川の気配や谷の存在を感じることはできない。
また、都市の巨大化は大きな資本の元、人間が本来持つヒューマンスケールを消失させ格差を発生させる。
そして、巨大な都市に持続性はなく、消費社会の象徴となる。
その、大きくなってしまった社会の中で我々がやるべきことは、小さな仕掛けでそこに住む人々の関係性が横に広がる、要は極小単位で、縦方向のやり取りを取っ払ったコミュニティの生成を考えることである。
そこで、このプロジェクトはこのような巨大な開発によって消えてしまった地形の存在を、何らかの仕掛けによってもう一度体験可能にすることで、宇田川町の住民は自らが住む場所の本来の姿を身をもって認識し、お酒という会話を促進するツールで宇田川ならではのディープな関係性をより広げていくことを狙いとした四日間の短期プロジェクトである。
まず、渋谷の街から飲み物の自動販売機を抽出した。
宇田川町には大量の自動販売機が設置されており、日中ですらほとんど使う人がいないが、夜から深夜にかけてはさらに利用者の影はなくなる。
そこで、この自動販売機を夜専用の使い方ができないかと考えた。
上の地図は今回の敷地である渋谷区宇田川町である。この敷地の中に点在する自動販売機をマッピングし、更に等高線から高低差によって色付けしたものである。緑の低い地点を中心に徐々に高い位置にマッピングが広がり、最高地点は赤い点になっている。
夜限定で姿を変えた宇田川の街に点在する様々な高低差の場所の自動販売機により、人々の関係性、流れる時間、宇田川町という町の特性、そのどれもが深くなってゆく。
昼間は誰もが購入対象にあった自動販売機が深夜には「オトナ」を対象にした、まさに宇田川町のディープな顔つきを拡張する仕組みである。
この仕掛けにより、知らずのうちに「オトナ」は宇田川町の高低差を「サンポ」する。この「サンポ」により、暗渠に消えた地形を再認識する。