第9回 研究交流会
「若手遺伝研究者のリアル」
第9回 研究交流会
「若手遺伝研究者のリアル」
概要
第5回 日本遺伝学会 春の分科会にて若手の会主催の企画を行います。学会発表や論文では語られない若手研究者の「リアル」な研究事情をベテラン研究者と若手研究者の方々に様々な観点からご講演していただきます。
日程:2025年3月4日(火) 13:00~17:20
会場:国立遺伝学研究所 講堂 / オンライン
〒411- 8540 静岡県三島市谷田1111 [アクセス情報]
対象:遺伝学とその周辺領域を研究している若手研究者
※遺伝学会員以外の方も参加可能です。
参加費:無料
参加登録はこちらから
学会公式サイトはこちら
申し込みの締め切りは2月25日(火)となっております。
オンライン参加は3月3日(月)まで受け付けております。
講演者 紹介
篠原 美紀 教授(近畿大学)
これが私の生きる道
自己紹介
篠原美紀・近畿大学農学部/農学研究科・教授
大阪大学理学部生物学科/理学研究科前期課程
大阪大学医学系研究科博士課程修了/博士(医学)
シカゴ大学メディカルセンター・ポスドク
広島大学原医研、大阪大学蛋白研を経て2017年より現職
研究テーマ:DNA二本鎖切断をめぐる冒険
M2で結婚、D2で出産。娘の出産日と人生初の1st論文の出版日が同日であることが、ちょっとした自慢で心の拠り所。夫・娘と3人家族。
畠澤 卓 博士(東京大学)
「初めて」の研究現場:試行錯誤を振り返って
自己紹介
2019年 埼玉大学大学院理工学研究科 博士前期課程修了(遺伝学研究室)。
2022年 東京大学大学院理学系研究科 博士課程修了(胡桃坂研究室)
同年7月より現職。
2023年9月より埼玉大学 非常勤講師(兼務)
2019〜2021年 生化学若い研究者の会 関東支部長
真核生物のゲノムDNA収納様式であるクロマチンの構造とその制御機構の解明に向け、cryo-EMを中心とした構造解析に取り組んでいる。
飯塚 朋代 博士(国立遺伝学研究所)
海外留学ってした方がいいの? 〜台湾ポスドク体験談〜
自己紹介
北海道札幌市出身。高校の部活動(札幌第一高等学校理学部)で微生物の魅力を知り、博士課程では遺伝研 池尾一穂研究室で比較ゲノム解析を用いた真菌類の形態進化研究を行う。2018年より日本学術振興会特別研究員DC2、2019年 総合研究大学院大学 生命科学研究科遺伝学専攻 5年一貫制博士課程修了。
学位取得後は“線虫を誘惑して食べるカビ“線虫捕食菌がどのような遺伝的背景のもとで出現したのかを研究するために台湾 中央研究院の薛雁冰研究室へ留学。帰国後も共同で論文を執筆しながら、遺伝研 森宙史研究室で線虫捕食菌の進化研究を続けている。最近嬉しかったことは、台湾で使っていた実体顕微鏡と同じものを自分の科研費(若手研究)で買えたこと。
加藤 雄大 博士(東京都立大学)
ショウジョウバエ研究者としての履歴
自己紹介
2007年4月–2011年3月 愛媛大学 理学部生物学科 学士(理学) 研究テーマ:野生ショウジョウバエにおけるWolbachiaの研究
2011年4月–2013年3月 愛媛大学大学院 理工学研究科 環境機能科学専攻 修士(理学) 研究テーマ:愛媛県における野生ショウジョウバエ相とその季節消長
2013年4月–2016年3月 愛媛大学大学院 理工学研究科 環境機能科学専攻 博士(理学) 研究テーマ:シマショウジョウバエ亜属の分子系統学的研究および新種記載
2016年8月–2018年9月 雲南大学(中国)生物資源保護与利用国家重点実験室 博士研究員 研究テーマ:トゲオショウジョウバエ属の分類系統学+α
2021年9月–2021年10月 雲南大学(中国)生態学与進化生物学実験室 博士研究員 研究テーマ:トゲオショウジョウバエ属の分類,オオショウジョウバエ種群におけるWolbachiaの研究
2022年4月–現在 東京都立大学 理学研究科生命科学専攻 進化遺伝学研究室 特任教員 研究テーマ:ホンウスグロショウジョウバエの性比異常現象の解明
研究分野は主にショウジョウバエの分類学と分子系統学であり、野外採集や内部共生細菌の調査にも携わってきた。最近は次世代シークエンサーによるデータの取得・解析も取り入れている。現在の研究内容はDrosophila obscuraの性比異常現象の解明である。性比がメスに偏る系統のゲノム配列を解析し、性比が正常な系統と比較して性比異常の原因因子を同定することを目的として研究している。
中村 遥奈 博士(総合研究大学院大学)
若手ポスドク同士の共同生活は何を生み出すのか
自己紹介
熊本県熊本市出身。2012年九州大学理学部生物学科入学。進化遺伝学研究室で集団サイズが周期的に増減する場合の集団史推定精度に関する研究を行なう。2018年東京工業大学生命理工学院に進学し、東アフリカに生息する熱帯魚シクリッドの種多様性創出メカニズム解明をテーマに全ゲノム解析に取り組み、2022年博士号取得。
現在、総合研究大学院大学・統合進化科学研究センターにてJSPS特別研究員(PD)として、種が爆発的に生じる普遍的メカニズムを探る研究を進めている。
春の分科会 プログラム
3月4日 若手の会企画「若手遺伝研究者のリアル 」(ハイブリッド開催)
12:00 受付開始
13:00 開会挨拶
13:10-13:50 畠澤 卓 博士(東京大学)
13:50-14:30 飯塚 朋代 博士(国立遺伝学研究所)
14:30-15:10 加藤 雄大 博士(東京都立大学)
(休憩10分)
15:20-16:00 中村 遥奈 博士(総合研究大学院大学)
16:00-17:05 篠原 美紀 教授(近畿大学)
17:05-17:20 閉会挨拶 / 写真撮影
(三島市内へ移動)
懇親会 19:00– (会場は三島市内の飲食店で検討中,会費5000円程度予定)
3月5日 日本遺伝学会 春の分科会(現地開催)
9:00 開場
9:20 開会の挨拶 (村井耕二 教授 日本遺伝学会 遺伝学普及・教育担当幹事)
9:25-10:05 講演 日本遺伝学会会長 岩崎博史 会長
10:10-11:00 ショートトーク (ポスター発表者全員)
(休憩)
11:15-12:00 ポスター発表(奇数番号)
12:00-12:45 ポスター発表(偶数番号)
12:45-12:50 閉会挨拶 (未定)
企画内容
本企画では、学会発表や論文では語られることの少ない、若手研究者の「リアル」な研究事情を学生の皆さんにお伝えします。大学院生からポスドク、助教などの若手研究者の期間は、学生にとって具体的なイメージがしづらいものですが、本企画を通じて、その実情やキャリアの選択肢について考える機会となればと考えています。
また、本イベントはハイブリッド開催のため、これまで遺伝学会や若手の会に参加したことがない方も、現地またはオンラインからお気軽にご参加いただけます。遺伝学会や若手研究者の活動を知るきっかけとして、ぜひご活用ください。
学生を対象に旅費を一部支給いたします。
旅費が必要な方は参加登録フォームよりお申し込みください。
また、所属研究室や日本学術振興会から旅費が支給される場合はご遠慮下さい。
事後レポート
2025年3月4日、第5回 日本遺伝学会 春の分科会の一企画として、「若手遺伝研究者のリアル」を開催いたしました。ご参加いただきました皆様に、心より御礼申し上げます。
本企画は、学生や若手研究者が日頃触れる機会の少ないアカデミアの実情について理解を深めることを目的として実施いたしました。研究費の獲得、論文の査読、共同研究の進め方といった具体的なテーマに加え、研究者としてのキャリア形成に関する課題についても議論を深めるため、若手研究者4名とベテラン研究者1名の計5名の講師をお招きし、それぞれのご経験に基づいた貴重なお話を伺いました。
当日は、現地参加34名、オンライン参加17名、あわせて51名の方々にご参加いただき、ハイブリッド形式での開催となりました。参加者の皆様からは活発なご意見・ご質問が寄せられ、講師との間で有意義な意見交換が行われました。
また、企画終了後に実施したアンケートには9名の方にご回答いただき、全員が5段階評価のうち最高評価である「5(満足)」を選んでくださいました。自由記述欄には、「普段の大学生活ではなかなか触れることのできない内容で、非常に興味深く学びが多かった」や、「若手研究者の悩みを赤裸々に語っていただけて、とても参考になった」といった大変ありがたいお言葉を多数頂戴いたしました。
今回の企画が、参加された皆様にとって今後の研究活動やキャリアを考える上で少しでも参考となる機会となりましたら幸いです。今後も、若手研究者の視野を広げるような企画を継続的に実施してまいりますので、引き続きご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
日本遺伝学会HPにも本企画の活動報告を掲載しています(『若手研究者のリアル』報告書)
謝辞
本企画においてご講演を賜りました、篠原美紀先生、畠澤卓先生、飯塚朋代先生、加藤雄大先生、中村遥奈先生におかれましては、ご多用の中にもかかわらず快くご登壇くださり、心より御礼申し上げます。また、企画の実施にあたりましては、日本遺伝学会会長・岩崎博史先生、教育担当幹事・村井耕二先生、大学保一先生、ならびに事務局の飯田愛様より多大なるご支援とご助力を賜りました。深く感謝申し上げます。さらに、ご参加いただいた皆様にも厚く御礼申し上げます。本企画が無事開催できましたのは、ひとえに皆様のご理解とご協力の賜物と存じます。誠にありがとうございました。(文責:中川颯也)
世話人
麻 裕毅 (北海道大学)
北尾 晃一 (名古屋大学)
中川 颯也 (基礎生物学研究所)
藤近 敬子 (東京都立大学)
藤原 一道 (国立遺伝学研究所)