来週、続きをやります。マーケティングにどう生かすかを考えつつ、リサーチ・クエスチョンを見直しましょう。たとえば、次のような案もありえると思います。
好き/買いたい → それを反映した視線分布が生じる(好きな方を長く見るなど)
好き/買いたい を誘導する ← 視線の軌跡データに対応した表示を提示し、それを観察させる(視線を向けて長く見たものを買いたくなる)
これまでは、本村ゼミではこの1.の方の実験データをとっていて、今週(第1回)ワークショップで検討したリサーチ・クエスチョンは、この向きのものが多かったと思います。この逆方向である2.の方はマーケティングに直結するので、こちらの向きでリサーチ・クエスチョンを考えてみてはどうかな?(もちろん、1.の方向でもマーケティングにとって価値あるリサーチ・クエスチョンはたくさんあるでしょう)
まず、このページを見て下さい。時間の関係で、次の項目は飛ばします。
「接触による好意度変化」
「サンプリング動作と選好判断」の後半(「本研究室ではこれまでの研究で、視覚の選好判断[4]だけでなく、」以降)以降全ての項目
以下は追加資料です。研究は、2次資料でなく、原論文を読むことから始めよう!←先週はこれをやらなかったので、このテーマの面白さを伝えられなかったと思う
Shimojo S, Simion C, Shimojo E, Scheier C. Gaze bias both reflects and influences preference. Nat Neurosci. 2003 Dec;6(12):1317-22. doi: 10.1038/nn1150. Epub 2003 Nov 9. PMID: 14608360. (論文PDF)(Google Drive上のコピー)
↑この論文PDFを、NotebookLMで読みましょう。
「作成のサポート」にある選択肢を適宜クリックして論文の全体像を素早くつかみつつ、「ここが知りたい」というところが見つかったら、それを質問して、返答をメモに残す、というのが標準的な使い方だと思います
今回は、実験2のコントロール実験(視線を動かさない条件との比較)について詳細を尋ねました
さらに、実験2の結果のマーケティングへの応用についても尋ねてみました。この論文に書かれていること、書かれていないことにきちんと分けて教えてくれます。
実は「音声の概要」という掛け合い漫才みたいなやつが一番お勧めなのですが、残念ながら(?)「音声の概要」は英語のみです
(参考)↑この論文のDeepLによる日本語訳(2段組みの段が変わるところがちゃんと扱えてないこともあり、ちょっと読みにくい)
研究上の問い(リサーチ・クエスチョン)と仮説を立てる
例)翻訳こんにゃくに頼ると何か望ましくないことが起こるか?→仮説:
例)上記の効果は人によって異なるか?→仮説:
例)上記で望ましくないことが起こるかどうかは、どのような要因で決まるか?→仮説:
(問いに答えるための/仮説を検証するための)実験計画を立てる
例)のび太、スネ夫、ジャイアン、出木杉、しずか、の5名に翻訳こんにゃくを渡し、経過観察する。
実験結果をどう生かせるか(何かの役に立てることができるか/それが明らかになってどう嬉しいか)を考える(今回のテーマでは、マーケティングにどう生かせるか、など)
例)(翻訳こんにゃくに頼ると何か望ましくないことが起こるという仮説が検証できた場合)ドラえもんの翻訳こんにゃくの放送回に英会話教材のCMを挿入する。
設定された問いに対して、①まず学生が1人で考えて(Think)、②ペアで共有・話し合い(Pair)、③その内容を全体で共有(Share)するアクティブラーニングの手法です。
前回(第1回)の活動では、日本語の参考資料だけを取り上げましたが、たいていの分野で最新の資料は英語で書かれているため、関連文献を探す際には、英語の文献を対象とすることが必須となります。英語の文献の探し方、見つけ方については、別途ワークショップなどを設けようと思いますが、本日(第2回)は、英語の参考文献の読み方の一例を紹介します。機械翻訳や生成AIにファイルごと投げるなどの方法が今は使えるので、英語の文献でもひるむ必要は全くありません。
この文献 (Attention Trajectories Capture Utility Accumulation and Predict Brand Choice)を材料として、NotebookLMで楽しく論文を読む方法を紹介します。