富士山チャレンジ開始から5か月、応募を決めた時から考えると約半年にわたる子供達の挑戦がいよいよ最終ステージを迎える日がやってきました。冒険館駐車場に次々と集まってくる参加者達。新品同様だったザックもそれなりに馴染んできていて、雲一つなく晴れ渡る空ともあいまって、皆カッコよく。まさに出立にふさわしい日になりました。
宝塚で仲間たちと合流し、賑やかさを満載したバスは旅の醍醐味の一つでもある、道中のサービスエリアに立ち寄る度に和気あいあいとしていき、山梨県に向かうにつれ最高潮に達していきます。
3泊過ごすことになる宿泊施設の赤い屋根からは、夕焼けに染まる赤富士が見え、明日に挑戦を控える子供らを歓迎しているかのようでした。
二日目。5時に起床し、前日にパッキングを済ませたザックを手に、いよいよ富士山へ向かいます。富士山五合目までバスで上がった後は、高度順応のためにストレッチや散策をして体を慣らしていきます。
快晴のなか登山開始、ゆっくりとしたペースで、少しづつ高度を上げていきます。今回登る「吉田ルート」は山小屋の数も多く、登山道自体も歩きやすいルートです。自然と歩調の合う者同士で歩くことになり、言葉には出さずとも、お互いが頑張れる原動力になっているように見えます。
いつしか雲の上まで登ってきていることに驚く参加者達。空に浮かんでいて、下から眺めていたあの雲の上にいるんだと、疲れながらも嬉しそうな顔をのぞかせていました。
16時半を少し回ったころ、最後尾が八合目山小屋「元祖室」まで登り切り、7時間余りをかけ無事到着を果たしました。
高山病になりかけた子や体調不良に見舞われた子もいましたが、皆それぞれに自身のチャレンジを今日まで繋げて来たんだと感じました。
元祖室名物のカレーを頬張った後は、そのまま疲れ切って横になる子や、空の色と下界の色が刻一刻と変化していく様子を楽しむ子など、それぞれに思い思いの時間を過ごし、きっと今までで一番空に近い場所で眠りにつきました。明日晴れてくれることを願って。
三日目。山小屋で目を覚まします。きらめくような朝日を全身に浴びながら山頂に向かう彼らの姿はたくましく見えました。六甲山・氷ノ山・大山を歩き通して少しづつ成長し、今ようやく富士の山頂に届きそうな背中を見て、ここに来るまでの家族や親族、友人らとの日々の積み重ねを思い、スタッフには感慨深いものが込み上げてきました。
一人また一人と富士山頂へ登頂を果たす子供達…。挑戦者たちにおめでとうと、そしてこれからの人生でたくさんの新しいチャレンジに向かっていくことを、スタッフ一同願いました。
見事に晴れ渡った山頂では、財布の紐も緩んで、あれやこれやのお土産を物色、ここでしか!の謳い文句がこれほど響く場所もないでのではないでしょうか。
吉田ルートは下山道が分かれており、火山の砂礫に靴が半分埋まりそうになりながら、ジグザグに下っていきます、長い下り坂は疲れた足に更に負荷がかかります。五合目に到着したころには、土ぼこりと汗と疲労を全身にまとっていましたが、それすらも達成した勲章のように輝いて見えました。
バスを待つ間、ソフトクリームを食べる子、更にお土産を買い付ける子、散策を楽しむ子と、富士山を名残惜しむかのように、思い思いの時間を過ごしていました。
四日目の朝。若干の筋肉痛を感じながらも、洞窟探検とぶどう狩り、忍野八海の観光と、富士山が作り出す大自然を余す所なく体験する旅に出かけました。
思い起こせばあっという間だった富士山チャレンジ、今回をもってひとまず参加者たちは長いチャレンジをやり終えました。昨年もそうでしたが、今度は別の山に登ってみたい、そう言った声が聞こえてくると、彼・彼女らがまた新しいチャレンジに向かう気持ちが芽生えたことに喜びを覚えます。そして我々冒険館もまた、更なるチャレンジと、新しい挑戦者に出会うべく歩みを進めていきます。その道のどこかで、かつて富士山チャレンジに参加したんだと、再開できることを願って2025年の富士山チャレンジの締めくくりとさせていただきます。
追伸:当事業への子供達の参加をサポートしていただいた保護者の皆さま、本当にありがとうございました。プログラム全体を通して、試行錯誤の結果が必ずしも期待通りの成果に結びつかないこともあったかもしれませんが、スタッフ一同、大切なお子様の成長を願い今後もより良い活動に繋げていくよう、邁進してまいります。また、お子様たちが今まさに成長の階段を一歩上がった瞬間をリアルタイムでお伝え出来ていないことを申し訳なく思っています。次年度は何かそこにもメスを入れていければと考えておりますので、今後も植村直己冒険館・富士山チャレンジをよろしくお願いいたします。
真夏の日差しのように、じりじりと迫ってくる富士山登頂までの日を胸に、子供たちは更なるトレーニングを積むべく、伯耆富士こと大山登山へと向かいました。
冒険館からバスに乗り込んで一路大山へむかう車内では、久しぶりに会った仲間達との楽しい時間が直ぐにスタート。子供の中に自然と生まれてくる、なんてことないようで実は特別な時間は、大きなチャレンジを共に迎える上で大切なものなのだと毎回思わされます。
到着した大山青年の家は、大山山麓の深い自然に溶け込むようにどっしりと構えられた施設。子供たちは、大きな荷物を背中や両手に入所しました。
到着早々、清流阿弥陀川でのシャワークライミングに向かうべく準備を始めます、ヘルメットにライフジャケット、軍手に軍足?そう軍足です、これも川で滑らないための大切な装備。
底が透けて見えるほど透明度の高い阿弥陀川の水に、子供達は大はしゃぎで水しぶきと歓声を上げ、静かだった川面が一気に賑やかさに包まれていました。
そして子供達は翌日、この清流を生み出した名峰大山へと向かいます。
迎えた大山登頂日、グングンと上がる外気温に滴り落ちる汗をぬぐいながら一歩一歩高度を上げていきます、時折見える山頂や、仲間帯の励まし合い、お気に入りのおやつで元気を回復させながら、一合また一合と到達し、樹冠の開けた八合から続く気持ちの良い稜線歩きでは、冗談のまじりあう会話が子供達の間に自然と戻ってきました。
たどり着いた標高1725mの山頂では、お腹いっぱいご飯を食べたり、寝っ転がったり、大声で叫んでみたりと、それぞれに登頂を楽しんでいました。
下山後、南光河原駐車場から大山を振り返り仰ぎ見て、参加者の一人がポツリと、「富士山はこれの倍以上あるんか…」とちょっぴり不安そうに、でもいい笑顔で言っていたのが思い起こされます。少しづつ自信と実力をつけていく、そんな姿を見れるのがスタッフにとって最高に嬉しい瞬間です。
富士山チャレンジ19名は、実力、知識、仲間や自信など積み上げてきたもの総動員して、来月いよいよ最終ステージに向かいます。
前日から降り続いた雨の影響で、頂上を目指すルートから、氷ノ山の麓を巡るコースに変更となりました。雨の影響で学校行事と重なってしまうなどがあり、数名の欠席者が出たのは残念でしたが、ほとんどのメンバーが参加しました。山での天気の急変は珍しくありません。そんな状況に備えるため、雨のときは装備をどのように使うか、歩くときはどんなことに気を配ればいいかなどなど、学べることはたくさんあります。早速、雨具を装着し、ザックカバーを付けて出発。
霧もあり、見通しが良くないものの、ルートははっきりしています。高低差が少ない分、ペースは早め。雨具を着て歩くとすぐに暑くなるので、こまめな調節が大切です。衣類や装備の着脱、水分補給など、晴天時に比べ手間がかかりますが、面倒くさがらずに、一つ一つの経験を大事に積み重ねることで、大きな力を付けるプロセスを少しでも感じ取れたら良いなと思います。
往路のゴールに設定した休憩所で昼食。食後のホットドリンクを配ると、温まってほっとした表情が見られました。
復路は、足の痛みなどでペースにばらつきがみられました。課題が見つかった人もいると思います。自分なりに課題に取り組んで、次回また元気に会えるの楽しみにしています。
第二回は六甲山へ。但馬組は冒険館に集合し、一緒に神戸自然の家へ向かいます。
神戸自然の家で改めて集合。第一回から日は浅く、お互いの顔は覚えているものの、まだ少し緊張のある子どもたち。早速、アイスブレイクをします。様々なアクティビティを通じて、各々の面白さが見えてきます。そして、登山に向けて、歩き方、パッキングの仕方などガイダンスを受けました。
夕食の頃には、皆かなり打ち解けた様子。そして、夜はヘッドライトを付けてナイトハイク。ちょっとしたコースですが、とてもいい雰囲気でした。
二日目は六甲山山頂まで、往復15 kmを歩きます。風が強く、4月上旬にしては寒い日でした。休憩を長くとると体が冷えるため、ペースに気を配りながら歩を進めます。山頂までの道は割とバリエーションに富んでおり、展望スポットもあるので、長い行程も皆楽しんでいました。順調に進み、頂上では笑顔の一枚!
少し下りたところの休憩所でお昼ご飯。美味しいごはんと休憩で、みるみる元気に。まだ山靴に慣れておらず、疲れや痛みが出始める人もいましたが、無事自然の家に到着。夜はちょっとしたキャンプファイヤーをしました。火をくべる子、じっと眺める子…思い思いに楽しんで、みんなの充実した顔が印象的な、素敵な夜でした。
最終日は、アーチェリーや小さなチャレンジゲーム。皆どれも本気で取り組んでいて、各自の意外な特技なども発見できました。さいごまで盛り上がり、名残惜しみながらの第二回終了でした。
2025年度は小学5年生~中学3年生の19名が集まりました。いよいよ第一回。まずはここ、植村直己冒険館にて、植村さんがどんな人だったのか、どんな冒険をしたのか、映像や展示を通じて学びます。以前から植村さんのことをよく知っている参加者もいました。子どもの頃は目立たない子だったという植村さん。夢を持ち、少しずつ努力してステップアップしていったプロセスを伝えました。
そして、これから一緒に挑戦を重ねる仲間たちとの顔合わせやアイスブレイク。どんどん気持ちがほぐれていきます。少し寒い日でしたが、ツリーイングも元気いっぱいにチャレンジしました。
今年の富士山チャレンジはボランティアスタッフ4名が参加してくれています。子供たちをきめ細かくサポートしてくれるとても心強い存在です。
次回からはいよいよ登山。富士山までのみんなの変化が楽しみです!