研究室選びや研究活動の参考に、また、学生さんの実感を知ってもらうために研究室から「ゼミ生の声」を掲載します。毎年度ごとにゼミ生2名程度から親しみやすい写真と共に寄稿してもらい、本人の許可を得たうえで掲載します。M2は修士課程の大学院2年生、B4は学部4年生を意味します。
学部から修士課程の3年間、「滋賀県里山林内におけるオゾン濃度の鉛直・水平分布の長期変動」という研究を行いました。今回はこの研究についてお話ししようと思います。
はじめに、研究内容について簡単に紹介します。オゾンは目の刺激症状などの健康影響や光化学スモッグを引き起こす大気汚染物質です。オゾンの環境基準達成率は極めて低く、達成率を上げるために森林が大気汚染物質を吸収する「森林の大気浄化機能」が注目されています。しかし、浄化機能を評価する際に必要なオゾンの観測データは不足しているため、本研究では大学に隣接する龍谷の森の複数地点や観測タワーを対象として、オゾン濃度を地点別・高度別に3年間観測し、森林内のオゾン濃度の季節変動性を明らかにしました。
次に、この研究テーマの面白い点や大変だった点についてまとめます。面白い点は「様々な観測データが得られたこと」です。本研究ではオゾン濃度が春または夏にかけて上昇し、秋・冬にかけて低下する傾向が観測されました。また、森と大学の境界(林縁)から森の中央に移動するにつれてオゾン濃度が低下する傾向も観測されました。このように、先行研究と同様の結果や今まで観測されなかった結果など、様々なデータが得られたところが面白かったです。
大変だった点は、「研究活動の際に必要だったプログラミング言語の導入」です。観測で得たデータが多量であったため、研究開始当初(大学4年当初)はExcelが処理落ちするほどデータの解析に膨大な時間を要していました。データ解析を効率よく、かつ良い結果を報告するために、データ統計解析に特化したプログラミング言語Rを導入しました。しかし、私自身プログラミングを触ったことがなかったため、一から勉強する必要がありました。コードの記入、実行、エラー、コードの修正、実行、エラー、…と、導入の際はエラーの繰り返しだったため、原因の発見に大変苦労しました。
以上のように研究活動は苦労することが多い反面、苦労した分以上に達成感が得られるものだと感じています。私自身もプログラミング導入やオゾン観測を長期間かけて行った成果を学会で発表することができ、充実した研究生活を送ることができたと感じています。もし、ご自身の興味がある研究分野がありましたら、とことん探求してみてください。皆さんの研究活動が充実したものになるように願っています。
片岡 是宗(2024年度, M2)
私は修士課程の学生として当研究室に在席していました。本稿では、修士での研究活動を通じて感じたことを述べ、大学院進学を検討している方の参考になればと思います。
学部時代はまだやりたい仕事が見つかっていなかったことや、理系の学部を選んだ以上、どうせなら修士まで進みたいという単純な理由で修士課程に進学しました。研究は学部から一貫して「フッ素系POPs及びその類似物質の焼却による分解挙動評価」というプロジェクト型テーマに取り組んでいました。このテーマは、「学術的な成果を残したい」という私の希望を藤森先生にお伝えし紹介していただいたものであり、結果的には、このテーマで修士課程まで進学して本当によかったと感じています。学部では達成できなかった成果として、ざっくりと国際学会の参加や、学術誌への論文投稿が挙げられます。
国際学会への参加は、当時の私にとって大きな挑戦でした。英語力に自信がなく、参加すべきか非常に悩みましたが、貴重な機会を逃すべきではないと考え思い切って参加を決意しました。当日の発表はうまくいかず、講演された英語のほとんどを聞き取れませんでしたが、それでも発表準備や現地交流を通じて英語に対する苦手意識が少し和らいだように感じます。また、開催地であったオランダの観光も楽しみ、学会主催のレセプションパーティーでは異国の料理、文化に触れることができました。掲載写真は会場での私の様子を撮影したもので、国内学会とはまったく異なる雰囲気が伝わるのではないかと思います。渡航費や宿泊費、参加費などの費用面が気になる方もいるかと思いますが、これらの費用はプロジェクト費から全額負担していただきました。
学術論文は国際雑誌への掲載を目指して執筆を進めてきました。文章構成や専門用語の英語などわからないことが多く、正直諦めかけたこともありました。しかし、藤森先生や共同研究者の方々の多大なるご協力のもと、かなりの時間を要しましたが何とか書き上げることができました。査読を経て実際に掲載されたページを目にすると、論文著者として後世に名前が残るのは研究者冥利に尽きるという言葉の実感が湧いてきます。
これらのことは、研究テーマや結果、プロジェクト予算などが関わるため、必ずしも経験できるわけではありませんが、経験できる可能性が少しでもあるという点は修士課程の大きな魅力の一つだと考えています。また、積極的にこういった機会を提供してくださった藤森先生に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
村上 太一(2024年度, M2)
ゼミに参加してから、私は研究を通じて多くの悩みや壁に直面しました。それでも、その一つ一つの困難が自分の成長に繋がる貴重な経験であることに気づきました。ここでは、私が研究を通じて考えたこと、感じたこと、そして成長したことを振り返りたいと思います。
私はプロジェクト型テーマではなく新規テーマに挑戦しました。理由は、自分の興味を持っていることと、藤森研究室が取り組んでいる「環境影響評価」を組み合わせることで研究へのモチベーションを維持でき、さらに新たな発見があるのではないかと考えたからです。そこで「鉄道施設と人流による空気質への影響評価」というテーマで研究を行いました。
ありがたいことに藤森先生は快く受け入れて下さり、面談を通じて先行研究の有無や研究に必要なものなどをご教示してくださったおかげで心強い環境で研究を始めることができました。しかし研究は順調に進むと思っていたものの、鉄道会社からなかなか計測の許可が降りず全く進まないという壁に直面しました。その後どうすれば許可が得られるかを悩み、考えた結果、計測機器や計測対象を変更することで何とか許可が降り研究を進めることができました。この経験から研究は思い通りにならないことが多いという現実を実感しました。だからこそ、手を抜かず一生懸命に研究に取り組むことで私は「やり遂げる力」を培うことができました。
また、藤森研究室では定期的にゼミがあり、メンバーが研究の進捗を発表します。このゼミの時間は様々な研究に触れることで視野が広がる貴重な機会でした。藤森先生やメンバー、先輩からの質問やアドバイスを通じて、研究の欠けている部分や改善すべき点に気づくことができました。時には鋭い質問もありましたが、これが研究を深めるための重要なヒントになりました。このような定期的な交流があったからこそ、私は日々成長できたと感じています。
このように私は思い描いていた研究を実現することができ、悔いのない大学生活を送ることができました。本研究室は大学生活で一つのことを全力で取り組み、自分の興味を研究に活かしたいと考えている人にとって、素晴らしい環境です。藤森先生は難しいテーマでも形にして下さり、先輩方も計測方法や研究以外にも様々なアドバイスをくれます。充実した大学生活を送りたいのであれば、藤森研究室で過ごす1年半は非常に有意義な時間になるでしょう。
廣中 太一(2024年度, B4)
私は「最終処分場からの浸出水に含まれるPFASの活性炭および陰イオン交換樹脂での吸着除去」というタイトルの元、研究を行いました。今回はこの研究をしようと思った経緯、研究活動についてお話させていただきます。
まず、私が環境生態工学課程の中にある研究室から藤森研究室を選んだのは3年生のインターンでの経験、今まで受けた授業を通じて環境への影響を見ることや環境汚染物質の研究をしてみたいという思いがあったので藤森研究室を選択しました。この研究は先生に水と大気環境についての研究がしてみたいという相談をしていた時に研究室のプロジェクトでPFASの研究があるというところから私の研究が始まりました。PFASについて簡単に説明させていただきます。PFASとはポリフルオロアルキル化合物およびペルフルオロアルキル化合物の総称であり、現在では1万種類以上あるとされています。PFASは結合している炭素の数によって短鎖PFAS、長鎖PFASに分けられます。私の研究は最終処分場からの浸出水からPFASが検出されており、そのPFASの中でも短鎖PFASを活性炭と陰イオン交換樹脂で吸着除去をするという研究です。
この研究において最初はPFASという物質について何なのかという所から始まりました。PFASの論文を調べていてもどのような物質があるのかも最初はほとんど分からなかったのでゼミ発表の質問の時間でもどのようなことを答えれば良いのかも分からない状態で苦労していました。就職活動と並行して進めていたので内定を頂けるまでの期間は研究を進めることが困難になりとても大変な期間であったと感じています。しかし、藤森先生や同じ研究室の先輩、国立環境研究所の方に指導して頂きながら研究を進めることができました。この時、もっと早く研究での進める対策などを考えておけばより良い研究をすることができたと感じています。
研究を通して、立ち止まることが沢山ありましたが、自分だけで解決するだけでなく周りの人に聞いたりアクションを起こすことがとても大切であると感じました。ここで自主性を身につけることができたのではないかと思っています。
本研究室では自分から何か行動をすることを重視しているので自主性を身につけながら研究をしてみたい人はぜひ本研究室をお勧めします。最後に、この1年半ご指導して頂きました藤森先生、国立環境研究所の皆様、同研究室の皆さんに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
山中 優輔(2024年度, B4)
私は「消しゴム等製品中各種可塑剤の含有実態の解明および暴露リスク評価」という内容の研究を行い、上記の内容で室内環境学会学術大会にて口頭発表を行いました。今寄稿では、研究内容決定の経緯からそこで学んだ経験についてお話しさせていただきます。
まず、私が藤森先生の研究室を選んだきっかけは、動物体内中の化学物質汚染測定に関する研究を行いたいと考えていたためです。藤森先生の研究室では大型鳥類を対象とした体内中の有機塩素・臭素の濃度測定を実施していたことから、類似の研究を行いたいと思い本研究室を選びました。先生と研究内容の相談を続ける上で、一般的に生物体内中の濃度測定は高度な技術が必要で、まずは製品を用いた分析を行い、技術に慣れる必要があるという結論に至りました。私自身大学院進学を希望していたため、藤森先生から大学院で生物試料の分析を行う事を見据えた段階的な分析対象の提案をして頂き、製品中で普遍的に使用されているフタル酸エステル類という物質を専門に分析している産業技術総合研究所をご紹介いただき、多くの製品でフタル酸エステル類を使用する消しゴムを対象に、その含有量を測定する研究を開始しました。
ご紹介いただいた産業技術総合研究所では、1~3週間の訪問を数回繰り返し、分析を進めました。訪問中は、日本の研究の第一線を担う一流の研究者の方が、日々研究を行っている環境であり、非常に緊張しました。しかし、そのような研究者の方から直々に指導いただけることは滅多ない経験であり、大変有意義な時間を過ごすことができました。訪問中の期間内に分析を終わらせなければならない緊張感はありましたが、時間が無い中で、どのように実験を進めれば間に合うのか考える経験を積むことができました。私は比較的マイペースな人間で、失敗も多く大勢に迷惑をかけながら分析を進めていましたが、そんな私に対しても、親身になって時間を作っていただけたことに大変感謝しています。
本研究室は、個人の興味から新規テーマを始めたり、先輩の行う既存のテーマを引き継いだりするだけでなく、他機関や他大学で行われている研究に参加させていただける機会を得られることが利点の一つであると感じています。私自身も藤森先生より上記研究の話を頂き、卒業研究における化学物質分析を前処理から解析まで、自分自身で行う機会を得ることができました。高度なレベルの研究を行う場所で一連の研究手順を踏ませていただいた経験は、今後の将来決定に関わる大きなきっかけとなると思います。もし将来的に研究を行う職に就きたいと考えている人にはぜひ本研究室をお勧めします。また、自分が何をしたいか分からないという人も、気軽に研究室訪問をしてください。多様な研究テーマの選び方があるため、先生と相談を重ねる中で、自分の本当にしたいことが見つかるかもしれません。大学生活における最後の集大成として、自分のやりたいことを思う存分取り組んでみませんか?
最後に、この1年半、親身になってご指導いただいた藤森先生、産業技術総合研究所の方々に心よりお礼申し上げます。何かと至らない中、多大なるご支援を頂き誠にありがとうございました。
桒原 萌葉(2023年度, B4)
私は、「陸生哺乳類を標的とした大気環境DNAの拡散距離と蓄積日数の評価」というタイトルの元、実験を行いました。今回は、大気環境DNAとは何なのか、また研究テーマを決めるにあたった経緯を簡単にまとめます。
最初に、研究内容を簡単に紹介します。大気環境DNAとは、大気中に浮遊または拡散されている生物の遺伝物質由来のDNA断片(皮膚や粘液etc)の総称です。それらを「水かけ法」と呼ばれている方法で葉に付着している大気環境DNAを採取します。そのイメージ画像は、左手にあるのでご覧ください。実験場所(サンプリングした場所)は、京都市動物園内と園外の周辺地域で行いました。採取した大気環境DNAを大学内へ持ち帰り、どのような種のDNAであったのかを「環境DNAプロトコル」の実験手順に従い、同定していきます。この一連の流れを何度か行います。結果、計26種の非ヒト脊椎動物の検出が確認できました。
次にこの研究テーマの面白いところであったり、苦労したりしたところを記します。面白い点は、「見えない世界を覗ける」ことにつきると思います。普段、動物(もちろん人も含みます)のDNAが大気中に浮遊しているなと感じる人がいないのは当然です。しかし、環境DNA分野は、「見えない世界に色付けできる」可能性を大いに秘めています。この可能性は、未開拓地の生物群集の把握を進めるだけでなく、絶滅の危機に瀕している生物や人目になかなか姿を見せない種を救うための手段として非常に有効です。このように最先端の研究で、自分自身が動物たちの尊い命を救うための第一歩だと感じることができる、非常に充実した研究だと私は思います。
苦労した点は、実験手順の長さと実験精度を上げるための注意点です。詳細は記していませんが、実験手順が多岐にわたり存在し、結果がでるまでの道のりがとてつもなく長いです。その際、実験手順を間違えればやり直しがきかない箇所も存在し、非常に繊細である点も苦労しました。
最後にこの研究テーマを選ぶに至った経緯をお話します。私は、藤森先生の講義の中で「環境影響評価」というワードとその内容に惹かれました。また大気環境や生物にも興味があり、それら全てを研究内容に生かしたいという強い思いがありました。その思いを藤森先生に形にしていただいて、本研究がスタートしました。本研究は、藤森先生はもちろんのこと、山中先生、京都市動物園、生物多様性センターなど、さまざまな方のご支援あっての研究です。本当に感謝しています。学生生活の中で研究生活は非常に短いです。その短い期間の中で、「自分のやりたい」を形にすることはとても困難です。そのために、まずは知識をつけることから始めてください。その知識を用いて今度は、社会や世の中のためにどのように役立つかを想像してみてください。具体的でなくても、藤森先生はその思いを形にしてくれます。皆さんの研究生活が有意義になることを願っています。
谷口 青空(2023年度, B4)
私は藤森研究室が持つプロジェクトではなく、完全新規の研究テーマを行いました。今回はそんな研究について簡単にお話させていただこうと思います。
卒業研究を行うにあたって私は「自分の将来に関わる大切な研究は自身が興味のある事でやり遂げたい」という気持ちを強く持っていました。藤森先生はそういった気持ちも重視して指導を行ってくださいました。面談を通して何に興味があるかを聞き、どういった先行研究があるかまで色々とお話を下さり、全く異なる研究分野であっても一度も止めることなく話を進めてくださり、そのために必要なものも随時用意して頂けました。
そんな私の研究では土壌混合法環境でのバイオプラスチックの生分解性評価を行いました。生ごみを堆肥化する土壌混合法においてバイオプラスチックがどれだけ分解するかを評価する研究です。最初はバイオプラスチックに興味があるというだけで話が始まりましたが、相談を重ねるにつれて生分解や土壌混合法など新たな道が見え始め、それが一つの形になっていきとても楽しかったです。結果として自身がやりたいと思った研究を行うことができました。
研究の中で最も特徴的だったことは実験のために毎月20kgの野菜・果物を利用したことです。本研究での重要な評価要素であり最大の課題でした。どうやって同じ分量を用意するかを試行錯誤し、藤森先生にも各所へ確認を取ってくださり、最終的に直接スーパーへ買いに行く事にし、先生に車を出して頂きました。このような難題にあたっても解決ができ、前代未聞の挑戦もできるサポート体制があると思います。
本研究室は私をはじめ、いきなり新規テーマを始める方が何人もいました。私の友人は京都市動物園で計測を実施し、また、長期間森での観測を行う人もいました。これらもみな自身が興味のある事を研究にしたからです。他にも研究室のプロジェクトに関わると他大学の方との交流やより高いレベルの研究に触れることもでき、自己成長に大きく繋がります。現在どの研究室に入るかをお悩みであればひとまず本研究室に入室してはいかがでしょうか?テーマは研究室に入ってから考えれば大丈夫です。本研究室ではそれをサポートし、自身のやりがいにつながる研究を見つけることが可能です。為せば成る、大学生活最後の大仕事を藤森研究室で悔いの無いよう成してみてはどうでしょうか。
最後に藤森先生、約1年半の間ご指導、ご鞭撻頂き本当にありがとうございました。
木村 洸太(2022年度, B4)
私の行ってきた研究テーマはPFAS塩類の焼却試験, 泡消火剤の焼却実験, PFOA+せき止めバッフル焼却試験の3種類を行い、そのうちPFAS塩類焼却試験について2022年6月に行われた環境化学物質3学会合同大会にて登壇発表を行いました。その学会を通して成長できたことについて簡単に記載できればと思います
藤森先生から学会発表についての提案をいただいたときは、自分が人前で話すのが苦手ということもあり、正直出たくないという気持ちもありましたが、限りある大学生活の中で学会発表するなんてめったにない機会だと思い切って参加を表明しました。参加を表明してからは発表資料のクオリティを大学の講義レベルから学会発表レベルまで向上させることを意識してデータ解析と文献調査に力を入れました。学会に向けての準備をする中で調べた論文などから研究を行う背景をより広い視野で見ることができたり、発表資料作成をして相手に伝わりやすいデータのまとめ方やレイアウトを学び、学会に向けての準備が自分のスキルアップにつながりました。学会当日の登壇発表では声が震えるほど緊張するかと思えば早口にはなりましたが案外緊張せず、今まで行ってきた発表準備と研究に費やした時間と労力が自分の研究成果を学会で発表したことで報われた気がして、発表後の達成感がとても心地よかったです。
私は研究の計画を立てるときに「学会で発表する」ということを1つの目標として実験を行うこともありだと考えています。学会に参加してよかったからみんなにも経験してほしいというのも理由の1つですが、研究活動のチェックポイントとして学会での発表を目標にすることでモチベーションを保ちやすいということもあります。実験を始めてから卒業論文の提出までの長い期間を走り切るよりも、チェックポイントとして学会を設定することで研究のペースをつかみやすいと考えています。実際、私の研究ではPFAS塩類の焼却試験を1区切りとして一旦データを整理してから次の実験を行うことで、最後まで失速せずに研究を行えたと考えています。ぜひとも自身の研究を学会で発表することを目指してみてください。
最後に、私の研究は藤森先生をはじめ、多くの関係者の方々からのご支援をいただき実施することができました。研究活動において多大なるご指導とご鞭撻いただいたこと、心より感謝申し上げます。
山本 尚輝(2022年度, B4)
藤森研究室に所属して、充実した学生生活を送ることができました。私自身、大学を1年間休学していたことがあり、本来配属されていたゼミから移動する形で藤森研究室に所属することになりました。2021年の4月に、藤森先生は快く私を受け入れてくださいました。大学の先生と聞くと、勝手な偏見で年配な男性を想像していましたが、実際にはスタイリッシュな若い先生で、私のイメージとギャップがあったため、驚いたことを覚えています。そんな中スタートしたゼミ活動で、充実していた理由は、3点考えています。
1点目は自由度が高いことです。私にとって、自由度が高いことはとてもアドバンテージでした。自分の好きなように、卒業研究のテーマを選択、実験の計画など、好きなようにやらせていただきました。場所や時間に縛られることなく、融通の利くゼミ活動を行えました。スピード感もあり、4月からのスタートでしたが、同年の10月には学部生ながらも廃棄物資源循環学会で発表をさせてもらう経験もできました。
2点目は、先生が生徒と同じレベルで呼応してくださることです。先生は、生徒指導以外にも予定が詰まっていらっしゃるのにもかかわらず、いつも傾聴な姿勢で私とのゼミを行ってくださいました。学生や秘書の方、企業の方、誰にでも平等に会話や議論をされていて、book smart, street smart. な方です。
3点目は、教養を学べることです。私は環境工学を専攻しましたが、就職先は全く違う環境で、ゼミ活動の結果は直接還元できていないと思います。しかし、ゼミ活動を通じて、獲得した学びや知識は間接的に今後の社会人生活や人生を豊かにすると考えています。具体的には、情報元の信憑さを疑うこと、文章を書くこと、見やすいデザインのスライドを考えることなどです。
3点とも、研究活動を充実させるための要素でしかありません。いい意味で制限がないため、充実させるかどうかは本人の性質、性格に非常に依存すると思います。学生時代に何か一つのことに、全力で取り組みたいと考えている人には良い環境だと思います。もし気になっているなら直感を信じ、所属してみてください。そして精一杯ゼミ活動を行い、卒業するときにこのゼミで良かったと、納得できるような1年にされてください。藤森先生本当にありがとうございました。
齋藤 直也(2021年度, B4)