現在進行中の研究課題(特に競争的資金を頂いて進めているもの)および終了分を示します。プロジェクト型テーマとしてゼミ生と共に目標達成のために研究を推進します。
2023 - 2024 結晶シリコン系太陽電池パネル中元素のハロゲン化揮発特性の調査(共同研究, AGC株式会社)
2023/10 - 2024/09 大気由来の環境DNA検出と微気候の関係性を明らかにする(日本生命財団 環境問題研究助成 若手研究・奨励研究・代表)
2020 - 2025 次世代型有機フッ素化合物による環境汚染・生物蓄積の実態解明と毒性影響評価(20H00634, 科研基盤A・分担, 代表: 愛媛大 石橋 弘志 准教授)※2021年度より参画
2020 - 2024 残留性有機汚染物質の包括網羅分析に基づくマスバランス解析と生態リスクの時系列評価(20H00646, 科研基盤A・分担, 代表: 愛媛大 高橋 真 教授)
2021 - 2024 新規・次期フッ素化合物POPs の分解処理技術に関する研究(体系的番号 JPMEERF20213002; 課題番号 3-2102(3), 環境研究総合推進費・分担, 代表: 国立環境研究所 松神 秀徳 主任研究員)
2021 - 2024 アフリカにおける環境毒性コア拠点の形成(JSPS研究拠点形成事業・協力研究者, 代表: 北海道大 石塚 真由美 教授)
2020 - 2023 廃プラスチックの焼却が有機ハロゲン化合物の非意図的生成に与える影響(20H04353, 科研基盤B・代表)
2020 - 2023 高精度XAFSを多階層陸生生物群に応用した遺伝子変異に依らない新規金属耐性機構(20K20633, 科研開拓・分担, 代表: 北海道大 中山 翔太 助教)
個人の自由な発想に基づいて実施する個人テーマを示します。研究室へ配属されたゼミ生と一緒に考えて進めるタイプの研究です。将来的にプロジェクト型テーマに発展する可能性を秘めています。研究を進める上で必要な専門分野に応じて、内外問わず積極的に共同研究を進めたり技術的な研究協力をして頂いています。参考に、各テーマで携わったゼミ生を付記しています。
大気試料や付着物を利用した環境DNA(eDNA)分析(2021 - )[京都市動物園, 山中研究室と共同で実施]
※本テーマはプロジェクト型テーマに発展(ニッセイ財団, 2023 - 2024)
木下 昂樹(2022年度B4), 谷口 青空(2023年度B4), 竹本 響希(2024年度B4)
光化学オキシダントのモニタリングおよび生成因子評価(2021 - )[鎌倉研究室による研究協力]
片岡 是宗(2022年度B4, 修士課程), 法野 康一(2024年度B4)
プラスチックの分解特性の評価(2021 - )
木村 洸太(2022年度B4), 藤間 将旗(2024年度B4)
フタル酸エステル類: プラ製品への含有実態およびリスク評価(2022 - )[産業技術総合研究所と共同で実施]
※技術研修制度を利用して産総研で機器分析を実施
桒原 萌葉(2023年度B4), 山下 賢隼(2024年度B4)
室内環境中の二酸化炭素除去(2022 - )
中村 元哉(2023年度B4)
植物の葉を利用した大気由来のマイクロプラスチック分析(2022 - )[奥田研究室による研究協力]
曽我 海人(2023年度B4)
広義での環境影響評価研究としてこれまで進めてきた具体的な成果について、開始した年と共に簡単に紹介します。研究室主催者(藤森)は、移動現象論や環境装置工学といった環境工学の基本的な学問分野に出自があるものの、環境化学、廃棄物工学、分析化学、分光学、リスク(評価)学、統計学などの複数分野を越境して、あるいは、その時々の関心(知的好奇心)に応じて、研究に取り組んできました。大きさの違いはあれど、研究テーマの木々が育っています。また、ここでは書かれていない新たな研究の芽もあります。
関連する成果にデジタルオブジェクト識別子(doi: digital object identifier)を付けました。気になる内容があればリンク先の論文をご覧ください。すべての論文情報については研究室主催者のPublicationで知ることができます。
「ダイオキシン類問題」に端を発する研究テーマです。都市ごみ焼却プロセスで発生する飛灰での有機塩素化合物の非意図的生成と微量な重金属類の関係について研究を進展させてきました。重金属間での生成影響評価や、個々の重金属による機構研究として銅、鉄、亜鉛、鉛、クロムについて探求すると共に、有機塩素化合物の抑制機構研究にも発展しました。他方、有機塩素化合物の骨格元素である炭素、塩素に注目した研究を進め、包括的な生成機序の理解を目指しています。
関連する成果: Fujimori and Takaoka (2009) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es802996a; Fujimori et al. (2009) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es901842n; Fujimori et al. (2011) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es201810u; Fujimori et al. (2013) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es303663r; Fujimori et al. (2014a) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es403585h; Fujimori et al. (2014b) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es503679c; Zhang et al. (2020) J. Hazard. Mater. doi: 10.1016/j.jhazmat.2020.122064; Zhang et al. (2021) Chemosphere doi: 10.1016/j.chemosphere.2020.128542
途上国での廃電気・電子製品(E-waste)リサイクルによる有害物質汚染を背景としたテーマです。E-wasteの解体・粉砕サイトや野焼きサイトでの重金属類および有機塩素・臭素化合物、鉛バッテリーリサイクルサイトでの鉛の汚染実態調査を進めてきました。特に、E-waste野焼きサイトにおいて重金属類と有機ハロゲン化合物との有意な強相関を報告した研究は、ひとつめのテーマの拡張版といえます。近年は、熱プロセスでの共通した支配機構(共通機構)をコンセプトとして有機ハロゲン化合物の生成の記述を試みています。
関連する成果: Fujimori et al. (2012) J. Hazard. Mater. doi: 10.1016/j.jhazmat.2012.04.019; Fujimori and Takigami (2014) Environ. Geochem. Health doi: 10.1007/s10653-013-9526-y; Fujimori et al. (2016) Environ. Pollut. doi: 10.1016/j.envpol.2015.11.031; Fujimori et al. (2016) J. Mater. Cycl. Waste Manage. doi: 10.1007/s10163-016-0527-7; Nishimura et al. (2017) Environ. Pollut. doi: 10.1016/j.envpol.2016.10.088; Nishimura et al. (2018) Int. J. Environ. Pollut. doi: 10.1504/IJEP.2018.097863; Kojima et al. (2021) J. Hazard. Mater. doi: 10.1016/j.jhazmat.2020.123878
実験室やフィールド調査に関わらず「環境中元素の化学種同定」を、研究方法の基軸に置いています。放射光施設(SPring-8やフォトンファクトリー)で測定するX線吸収微細構造(XAFS)法を利用し、元素の化学種を同定し、環境中での元素挙動を分子レベルで理解しようとしています。XAFSスペクトルは元素毎に特有の構造を持ち、これまで銅、鉄、亜鉛、鉛、クロム、塩素、臭素、炭素、窒素、硫黄、リン、セシウム等に適用してきました。
関連する成果: Fujimori et al. (2009) Bunseki Kagaku doi: 10.2116/bunsekikagaku.58.221 (分析化学論文賞); Fujimori et al. (2010) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es903337d; Fujimori et al. (2013) J. Phys. Conf. Ser. doi: 10.1088/1742-6596/430/1/012094; Shiota et al. (2015) Anal. Chem. doi: 10.1021/acs.analchem.5b03298他多岐に渡る論文中で応用
環境中の様々な媒体への関心から、ヒトが摂取した際の影響評価へとテーマが広がり「体循環を考慮した有害物質のリスク評価」を進めています。フィールド調査の採取試料を使用して、模擬体液(胃・小腸液)への溶出特性(バイオアクセシビリティ)を試験しリスク評価を行っています。
関連する成果: Fujimori et al. (2018) J. Hazard. Mater. doi: 10.1016/j.jhazmat.2017.07.066; Cao et al. (2020) Chemosphere doi: 10.1016/j.chemosphere.2019.124909
近年では、非生物・生物を横断した有機ハロゲンの含有量を比較し、個別ハロゲン化物以外の未同定有機ハロゲン化合物の影響評価につながるテーマも推進中です。複数の研究機関や大学と共同研究を進展させ、森林土壌、大気中の粒子、ハウスダスト、焼却灰、底質、ネコ、タヌキ、スジイルカなど広範な対象物を扱ってきました。塩素、臭素、フッ素の定量分析系の構築を目指しています。
関連する成果: Mukai et al. (2019) ACS Omega doi: 10.1021/acsomega.9b00049; Mukai et al. (2019) Chemosphere doi: 10.1016/j.chemosphere.2019.05.283; Mukai et al. (2021) Sci. Tot. Environ. doi: 10.1016/j.scitotenv.2020.143843
POPsをはじめとした有害物質の分解方法や無害化について研究を進めています。焼却処理による熱的な分解処理や化学的な反応を利用した方法(化学処理)の検討を行っています。汚染を発見するだけではなく、解決方法を含めた処方箋を示す環境工学的なアプローチで、汚染から解決までの道筋をつけたいと考えています。
関連する成果: Fujimori et al. (2010) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es102055v; Fujimori et al. (2014) Environ. Sci. Technol. doi: 10.1021/es503679c; Fujimori et al. (2016) J. Hazard. Mater. doi: 10.1016/j.jhazmat.2016.02.054; 藤森と川本 (2019) 廃棄物資源循環学会誌 doi: 10.3985/mcwmr.30.201