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<おコメちゃんの悩み>
おコメちゃんにはちょっとした悩みがあります。実は、遠縁のイネを交配しておコメちゃんを作ると核とミトコンドリアの仲が悪く、花粉ができなくなってしまうことがあるのです。トリキン病院に行ったところ、細胞質雄性不稔性と診断されました。ミトコンドリアの遺伝子が原因で雄しべや花粉がちゃんと作られないことが原因とわかりました。ミトコンドリアゲノムの配列解析、遺伝子発現パターン調査、ミトコンドリアゲノム編集技術を用いて、これまでにいくつもの不稔遺伝子が見つけ出されました。核とミトコンドリアが仲良しの場合はちゃんと花粉が作られます。仲良しの原因は核にある稔性回復遺伝子でした。核の稔性回復遺伝子がミトコンドリアの雄性不稔遺伝子をなだめて、暴れ回らないようにしているのです。雄性不稔遺伝子がいろいろあるように、稔性回復遺伝子もいろいろあり、仲良しの組み合わせがあることがわかりました。この性質はおコメちゃんに♀と♂を作りだし、おでこのお米がたわわに実るすごい子供を作るために利用されます。
<おコメちゃんの隠れた才能>
おコメちゃんには隠れた才能があります。おコメちゃんは明るいところでは元気にタンパク質を作りますが、光合成ができない暗いところでは元気が出ないと思われていました。ところが、暗いところでも明るいところと同じぐらい元気にタンパク質を作ることがわかりました。そこで、おコメちゃんはこの隠れた才能を使って、暗いところで家畜の病気の治療に使える抗菌タンパク質を作ろうとしています。植物工場の電気代をケチって安く作ろうということです。おかげで、おコメちゃんがちょっとケチなこともバレてしまいました。おコメちゃんはプールも好きで、振盪培養細胞に変身して、タンパク質を作ろうということもしています。
<おコメちゃんの肉体改造>
おコメちゃんのおでこからはイネが生えています。おコメちゃんは考えました。このおでこのイネ、何かに使えないかなーと。そこで、稲わらになったらバイオリファイナリーの原料にしようと思いました。でも、稲わらはなかなか糖に分解できず、うまく使えません。だけど、分解されやすさが品種により違うことがわかりました。そこで、その差の基となる遺伝子を見つけ出そうとしています。セルラーゼ遺伝子を鉢巻(?)の二重螺旋に組み込むと分解されやすくなることも見つけました。おコメちゃんは自分の肉体改造にも挑戦しています。
<おコメちゃんの夢>
おコメちゃんには夢があります。お米や野菜は田んぼや畑で作られているけど、大好きなプールや寒天の大地でも作りたいという夢です。天候にも影響されないし、品質も安定です。だけど、難問が待ち構えています。作った米や野菜を食べるためには、食べていいものだけでプールや寒天の大地を作らないといけません。なので、身のまわりの食べ物の中からおコメちゃんの細胞を増やすものを探しています。つまみ食いが好きなおコメちゃんは、美味しそうなものをつまみ食いしながら、色々な食べ物を試しています。うまくいったら宇宙船の中でお米を作るぞ、と思いながら。