ALA(5-アミノレブリン酸)サプリメントについて。
※以下のレポートは個人の感想であり、効果には個人差があると考えています。
だんだんと齢をとってきて、明らかに体力が落ちてきました。駅から自宅までは徒歩20分弱ですが、遅い時間のタクシー利用頻度が増えてきました。土日もグッタリです。どうにか復活せねばと思い、タウリンを含む栄養ドリンク、養命酒、ニンニク注射、ビール酵母、ビタミン剤、整腸剤など様々なものを試しましたが、劇的に効くものは、なかなか見つかりませんでした。
とある日、5-ALA(5-アミノレブリン酸)の研究開発と非常に密接な方とお話しして、数錠の5-ALAサプリメントを試しに飲ませていただきました。アルコールと一緒に摂取したのですが、体中が熱くなって、酒が抜けても体の火照りは全然取れないような状態になりました。全裸で寝ても熱く、体が燃えてる!と感じましたね。
街中では5-ALAはなかなか販売していないのでネット通販にて購入し、1日1回寝る前に5-ALAを10mg摂取、よく働いた日は20mg摂取してから寝るようにしました。
5-ALAの効果は早く出ました。体は温かくなり、冷房で寒いと言っている同僚の傍で、暑い暑いとのたまう始末です。残業続きの忙しい時期となりましたが、駅からタクシーに乗る頻度はぐっと減少しました。深夜に帰宅しても、翌朝の目覚めは快適です。山登りが趣味ですが、一時期よりもパワフルに登れるようになりました。
ちょっとだけ値段は張りますが、5-ALAは良いです。K社の還元型コエンザイムQ10マーケティングプランコンテストに参加・受賞した関係で、一時期は還元型コエンザイムQ10を摂取しており、これはこれで効果がありました。Q10はキノンを補い、ミトコンドリアのエネルギー生産を加速する面では5-ALAと同じです。5-ALAは、ヘム、ビタミンB12という、より普遍的な物質の供給を促すブロードな働きから、シャープな効果が出るのかな?と思ったりしています。
ALA [アラ] とは、5-アミノレブリン酸(5-Amino Levulinic Acid; 5-ALA)の略称です。
5-ALAは、C5H9NO3 (図; MW 131.13) で、各1つのアミノ基、カルボキシル基、ケト基を持つアミノ酸です。
水、メタン、アンモニア、水素を入れた閉鎖系を原始地球に見立てて、加熱・放電することにより化学反応を行った、有名なユーリー-ミラーの実験で化学合成されたアミノ酸の1つです。そのことから、原始のアミノ酸と呼ばれることもあるようです。
5-ALA構造
5-ALAは、生命の維持に不可欠なポルフィリン環の生合成の初発物質で、8分子の5-ALAから生合成されます。なにやら複雑な構造にも見えますが、太古の昔から何らかの触媒反応の結果存在していた、基本的な物質と考えられています。
ポルフィリン環は、マグネシウムが加わると光合成に必須なクロロフィルに、鉄が加わるとヘム (図で示した赤血球のヘモグロビンや、ミトコンドリアでエネルギーを作るシトクロムc、肝臓で毒物を分解するシトクロムP450などに利用)に、コバルトが加わると眼精疲労の薬であるビタミンB12といった形で、必須な物質として体中で活躍しています。
ヘム構造
かつては5-ALAの大量合成が非常に難しく、単独の化学物質としての安価に利用することはできませんでした。コスモ石油によって、光合成細菌を用いた発酵法による大量合成法が開発され、以下のような5-ALAの有効利用が可能となりました。
上述の通り5-ALAは、光合成で光を集めるアンテナ役のクロロフィルの材料となります。そのため、適量の5-ALAを与えることにより、植物を元気にする肥料として活用することができます。
ちなみに過剰に5-ALAを与えると、大量に合成されたクロロフィルが光を集めすぎてしまい、過剰な活性酸素が暴れまわり植物を枯らしてしまいます(光傷害)。この場合は肥料ではなく除草剤として働いてしまうことになり、なんとも匙加減が難しそうな感じですね。
5-ALAのヒトの美容・健康に関する研究開発そして利用が進んでいます。ヒトの細胞でエネルギーを作る場所はミトコンドリアで、エネルギーを作るために沢山のシトクロムcというタンパク質が働いています。そのタンパク質のコアになる部品が、5-ALAから作られるヘムです。
5-ALAをサプリメントとして摂取すると、ミトコンドリアのエネルギー生産機能がアップして、代謝がよくなり体温が上がるそうです。この体温上昇効果により、免疫力の向上、内臓脂肪や糖質の蓄積 (つまり肥満)の抑制、睡眠向上、化粧品として使えば肌の保湿、なんと育毛、不妊にまで効果があるのでは?と言われています。
そんなレベルではなく、5-ALAは既に癌の診断・治療にも使われています。中外製薬が販売するアラグリオは、腫瘍細胞が5-ALAからプロトポルフィリンIX(PPIX)を合成・蓄積しやすい性質を利用して、膀胱癌の細胞のみを特異的に光らせることができます。このPPIXは、励起光である青い光を受けると赤い蛍光を発する性質(光増感作用)があるので、この光を頼りに膀胱癌の詳細な部位を調べたり、外科切除したりすることが可能です。高須クリニックの高須克弥氏も、この外科手術を受けましたね。
さらには光線性角化症、ニキビ、そして皮膚がんといった皮膚系疾患の治療、脳腫瘍の手術中における術中診断、さらにはX染色体の変異が引き起こす知的障害を伴う難病ATR-X症候群の治療への可能性も指摘され始めています。古くて新しい物質5-ALAの臨床利用の可能性は、ますます拡がっています。
もっと身近な例ですと、ミトコンドリアの活性を上げて糖の燃焼力を高める5-ALAの性質を利用して、血糖を抑えることを狙った機能性表示食品サプリメントも新たに発売されました。ペプチドホルモンであるインスリンとは全く異なる血糖値コントロールへのアプローチであり、今後のさらなる製品開発の進展に期待大です。