福島での20 mSv基準などのもとになったICRP(国際放射線防護委員会)の基本勧告が2030年頃に改訂される予定です。
基本勧告が改悪されないようにするためには、市民もICRPの各種の勧告について理解する必要があります。
この連続ウエビナーでは、ICRPとは何か、ICRPの勧告とは何かなど基本的な事柄からはじめて、ICRPの勧告を読みつつ批判的に検討しつつ市民の観点からの放射線防護のあり方を検討します。
第11回 同 (各論編)
2025年6月5日(木) 17:00-18:00
濱岡豊(慶応大学・教授)「刊行物(案)の問題点・各論」(資料)
刊行物(案)にコメントのある方々
Q&A
(終了) 第10回 ICRP 低線量・率における固形がんリスク評価に関する科学的知見・刊行物(案)の問題点 (総論編)
10回、11回ともZOOMでの開催(無料)
録画を公開しますので、ご了承ください。ZOOMでの表示名などは、ご自分で差し支えないように設定してください。
登録はこちらから (一度登録いただけば、2回とも参加可能です。)
放射線被ばくの健康影響評価にあたって原爆被爆者の分析結果は重要です。しかし、ICRPの1990年および2007年の基本勧告では、同じ被ばく量でも、低線量を長期に渡って被ばくする場合(低線量・低線量率被ばく)、健康への影響が1/2になるとしています(DDREF: Dose and Dose Rate Effective Factor=2)。しかし、近年の原発労働者の分析など(例えばINWORKS)からも、原爆被爆者の分析と類似したリスク係数が得られており、その妥当性が問われています。
ICRPのタスクグループ91は、DDREF=2の妥当性の根拠となる科学的知見をまとめた刊行物(案)を公開し、2025年6月13日まで、パブリックコメントを募集しています。この刊行物(案)は、1/2に割り引くこと(DDREF=2)の妥当性そのものではなく、その前提となる低線量被ばく(Low Dose:100mSv以下)、低線量率被ばく(Low Dose Rate:0.1mGy/分)に関する関連研究からの知見をまとめています。過去の評価と比べて、不確実性は減ったとしていますが、近年の疫学研究だけではなく、細胞レベル、動物実験レベルの研究と統合すると称して、健康影響を1/2に割り引くことが妥当であることにつながる内容となっています。
刊行物(案)は、テクニカルな内容ですが、総論編と各論編に分けて、根本的な問題点(100mSvで区切ることの妥当性、動物実験などを考慮することの問題点など)、個別の問題点を論じます。ウエビナーを通じて、皆さまがコメントできるようになることを期待しています。
参考
ICRPのパブリックコメントの(英語)ページ
当該の刊行物(案 draft)が公開されています。コメントもこちらから投稿できます。
同ドラフトの日本語訳(Google翻訳したもの)。
原爆被爆者の分析(放射線影響研究所・寿命調査(LSS) 報告書シリーズ)
例えばLSS第14報の要約に「全固形がんについて、線形モデルに基づく男女平均の 1 Gy 当たりの過剰相対危険度は、30 歳で被爆した人が 70 歳になった時点で 0.42(95%信頼区間[CI]:0.32, 0.53)であった。」とあります。
INWORKSについての解説 (原子力資料情報室通信「国際核施設労働者調査(INWORKS)の最新報告~低線量率・低線量被曝の健康リスクがさらに明らかに~ [振津かつみさん]」)
表2にある「固形がん」のERR/Gyは、0.47もしくは0.52と、上記と類似した値になっています。
ICRP Publ. 99 放射線関連がんリスクの低線量への外挿(日本語版) (今回の刊行物・案の旧バージョンに近いもの)
参考文書
ICRP Publ. 103 国際放射線防護委員会の2007年(基本)勧告
上記の勧告を緊急時、長期汚染に適用したもの。
ICRP Publ. 109緊急事被ばく状況における人々の防護のための委員会勧告の適用
ICRP Publ. 111 原子力事故または放射線緊急事態後の長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用
上記の109、111を改訂したもの。
ICRP Publ. 146 大規模原子力事故における人と環境の放射線防護 ― ICRP Publication 109 と 111 の改訂
関連ページ ICRP Publ. 146を市民の目から見直すために、添削してみましょう。
以下は終了した回です。
第9回 (終了しました)
放射線防護の民主化フォーラム2024真実に目を向ける:福島が問いかける未来への選択を、いわき市から考える直前ウエビナー
2024年10月31日(木) 17:00-18:00 (資料pdf)
11/3-4のイベントに先立って、以下の点を紹介します(内容は変更の可能性あり)。
予習:いまさらきけない放射線防護の仕組み
イベントの概要
時間の制約でイベントでは紹介できない事項
福島医大の最新論文の読み方
8月に刊行された論文について、福島医大のリリースでは、「被ばくと, 甲状腺がん発見について有意な関連性は認められませんでした。」とありますが、論文をよく読むと「有意な関係がある」ことが示されています。福島医大の分析結果を読む際に注意すべき点を紹介します。
Q&A
ZOOMウエビナー
ハイブリッド・イベントとは別のURLです。お手数ですが、下記から登録をお願いします。
(終了しました)登録はこちらから
第8回 大気圏核実験時代を振り返る (資料 :著作権上、いくつかの画像は含まれていません。)
日時 2024年9月10日(火) 午前10:00-11:30 (米国東海岸からの配信のため、いつもと時間帯が異なります) ZOOMによるウエビナー
大気圏核実験によって、日本では1954年、第五福竜丸などの漁船(員)の被ばく、水揚げされたマグロの回収・廃棄などの問題が生じました。海外でも科学者や市民団体によって、放射性降下物が観測され、放射線被ばくへの懸念、消費者運動が広がりました。これらに対応するために各国で議論が行われた他、1955年にはUNSCEARが設立され、放射線被ばくによる影響に関する評価が行われました。これらの結果として、ICPRは1958年に勧告(ICRP Publ.1)を策定しました。この時代に現在の放射線防護に関する各種の制度が確立したと考えられます。今回は、科学史家の樋口さんに、市民や科学者の役割も含めた一連のプロセスを紹介していただきます。
樋口敏広さん(米国、ジョージタウン大学)
「大気圏内核実験時代と放射線防護体制の成立」
参考1)2020年に下記の著書を刊行され、 The Society for Historians of American Foreign Relationsの2021年、 Michael H. Hunt Prize for International Historyを受賞されています。今回は2章と6章を中心にお話し頂きます。
TOSHIHIRO HIGUCHI (2020) Political Fallout: Nuclear Weapons Testing and the Making of a Global Environmental Crisis, Stanford Univ. Press (出版社の紹介ページへのリンク 各章のアブストラクトを読むことができます。英語。)
参考2)
樋口敏広 (2015), "「知の交渉」と放射線防護体制の多元性 : 第二次世界大戦後初期における一般公衆の被曝基準の策定過程," 科学史研究, 54 (275), 178.(こちらから、全文無料公開) 1958年のICRP勧告が策定されるまでのプロセスをまとめた内容です。
登録はこちらから。(第7回に登録された方は、同じアドレスで視聴可能なので、再登録は不要です。)
氏名、メールアドレスを入力すると、アクセスに必要な情報が送信されます。送信されない場合、メールアドレスが正しいか確認して下さい)。
第7回 チェルノブイリの経験を振り返る (録画はこちらから)
日時 2024年8月8日(木) 18:00-19:30 ZOOMによるウエビナー
今中哲二さん(京都大学複合原子力科学研究所) (報告資料pdf)→最後の2枚を追加した資料を頂いたので差し替えました。
「チェルノブイリ事故の経過・放射能汚染とソ連政府の初期対応:ICRP146の記述を読みながら」
ICRPは、核災害後の短期的、中長期的対応に関する勧告を2010年に発刊していました(ICRP Publ. 109と111)。その後、チェルノブイリや福島での経験を踏まえたとして、2019年に草案を発表、パブリックコメントを経て2020年に、これら勧告を一つにまとめた改訂版として、ICRP Publ. 146「大規模原子力事故における人と環境の放射線防護 ― ICRP Publication 109 と 111 の改訂 」を発刊しました。
2023年8月の第2回ウエビナーなどではICRP Publ.146における福島の記述の問題点を検討しました。今回は、チェルノブイリ原発事故を振り返りつつ、ICRP Publ. 146附属書Aにおけるチェルノブイリの記述の妥当性を検討します。
今中さんからの参考資料です。
あわせて上記のICRP146の最後の方にある、チェルノブイリの章を読んでおくと、より深く理解できると思います。
・チェルノブイリを見つめなおす:20年後のメッセージ
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/etc/Che20Final20060406-a.pdf
・チェルノブイリ原発事故の実相解明への多角的アプローチ- 20 年を機会とする事故被害のまとめ
https://www.rri.kyoto-u.ac.jp/PUB/report/04_kr/img/ekr012.pdf
・旧ソ連の原子力開発にともなう放射能災害とその被害規模に関する調査研究
https://www.rri.kyoto-u.ac.jp/PUB/report/04_kr/img/ekr014.pdf
・チェルノブイリ原発周辺30km圏避難住民の被曝量の再検討 2007年環境放射能研究会
第6回 放射線防護の民主化フォーラム2023から2030へ
11月3日-4日に福島市で「放射線防護の民主化フォーラム2023-30:with 飛田晋秀写真展、減思力展、原子力災害考証館furusato」を開催しました。両日とも現地に約50名程度参加いただいた他、ZOOMでは200名程度、Youtube配信では各500回程度再生されました。参加、視聴いただき感謝致します。
今回はこれまでのウエビナーや福島でのイベントを振り返りつつ、11月に東京で開催されたICRP2023東京など関連学会の動向を踏まえて、今後の方向性を検討します。
日時 2023年12月1日(金) 17:00-18:30 ZOOMによるウエビナー
内容)
(1) 連続ウエビナー1-5&放射線防護の民主化フォーラム2023-30:開催報告
(2)ICRP2023東京、放射線影響学会、保健物理学会等への参加報告
(3) 連続ウエビナー&放射線防護の民主化フォーラム2023-30のreflections(反省)と今後
(4)(時間があれば)放射線防護の民主化に向けた提言(案)について
参加・報告予定者
明智礼華(京都府立大学大学院史学専攻 博士後期課程)
柿原泰(東京海洋大学・教授、市民科学研究室・低線量被曝研究会)
瀬川嘉之(高木学校、市民科学研究室・低線量被曝研究会)
清水奈名子(宇都宮大学教授)
濱岡豊(慶應大学教授)
林衛(科学ジャーナリスト、富山大学・准教授)
藤岡毅 (大阪経済法科大学客員教授)
細川弘明 (京都精華大学・名誉教授)
村上正子(原子力市民委員会・事務局長)他
参加方法) 修了しました。
お手数ですが、こちらから登録をお願いします。アクセスに必要な情報が送信されます。今回から新規にWebinarを開設しましたので、登録をお願いします)。次回以降は、登録情報を再利用させていただきますので、再登録は不要とする予定です。
(資料、動画は後日公開致します。)
第5回 福島原発事故における人権の問題を国連特別報告から考える
日時 2023年10月19日(木) 17:00-18:00 ZOOMによるウエビナー
徳永恵美香(大阪大学、特任講師)「国際人権法からみた福島原発事故対応の問題点ー避難者の権利を中心に」
司会)清水奈名子(宇都宮大学教授)
参加方法)終了しました。
こちらから登録して下さい。アクセスに必要な情報が送信されます(4回までに登録された方は、引き続き登録されていますので案内メールが届いたと思います。届いていない場合はお手数ですが、登録をお願いします)。
第4回 (中間まとめ) (資料、動画は後日公開致します。)
日時 2023年10月5日(木) 16:00-17:30 ZOOMミーティング形式
報告者)これまでに報告頂いた皆さま他
これまでの報告などを踏まえて、下記の点について論じたいと思います。
ICRP基本勧告やICRP Publ. 146についての問題点(残すべき点も)
新勧告に取り入れるべき点
内容や策定方法も含む
これまでの報告者に上記の点について短めにお話し頂いた後、議論したいと思います。
また、参加者の方々からも、上記の点について、ご意見をいただく時間を設けます。是非ともご発言ください。
(録画を公開しますので、ご了承ください。ZOOMでの参加者名、カメラをオンにするかしないかなどはご自分で判断ください。)
あわせて、下記の ICRP Publ. 146 福島 部分について、不足している点などの添削、加筆もお願いします。 ICRP Publ. 146についての問題点を議論する際などに参考にさせて頂きます。
参加方法)(終了しました)アクセスに必要な情報が送信されます。ZOOMミーティングなので、参加人数上限は300人です。定員を越えた場合には、後日公開される動画をご覧下さい。
第3回 ICRP基本勧告の倫理性、科学性に関する根源的批判
日時 2023年9月14日(木) 17:00-18:00 ZOOMによるウエビナー
山田耕作・京大名誉教授「ICRP Publication 146の問題点」(プレゼンテーション資料)(論文)
山内知也・神戸大学教授「欧州放射線リスク委員会ECRRによる国際放射線防護委員会ICRPの功利主義に対する倫理学的批判」(プレゼンテーション資料)
参加方法)(終了しました)。
当日の資料、動画などはこちらから(原子力市民委員会のページ)
第2回 ICRP Publ.146における福島の記述の問題点 (録画)
日時 2023年8月24日(木) 16時-17時 ZOOMによるウエビナー
「福島原発事故の経験から見たICRP Publication 146の問題点」
柿原泰(東京海洋大学・教授、市民科学研究室・低線量被曝研究会)(資料)
瀬川嘉之(高木学校、市民科学研究室・低線量被曝研究会) (資料)
ICRPは、核災害後の短期的、中長期的対応に関する勧告を2010年に発刊していました(ICRP Publ. 109と111)。その後、チェルノブイリや福島での経験を踏まえたとして、2019年に草案を発表、パブリックコメントを経て2020年に、これら勧告を一つにまとめた改訂版としてICRP Publ. 146「大規模原子力事故における人と環境の放射線防護 ― ICRP Publication 109 と 111 の改訂 」を発刊しました。
市民科学研究室・低線量被曝研究会は、2019年の草案に寄せられたパブリックコメントの全訳、ICRP日本人委員を招いた討論会、連続シンポジウム「福島原発事故の経験から放射線防護のあり方を改める」など、改訂に関して様々な活動をされてきました。 今回は同研究会のお二人から一連の活動を通じて把握した福島原発事故の経験から見たICRP Publ. 146の問題点を紹介して頂き、検討します。
参考 ) 市民科学講座 「福島原発事故の経験から放射線防護のあり方を改める」
上記の関連イベントの報告書などがリンクされています。
参加方法)終了しました。
当日の資料、動画などはこちらからも(原子力市民委員会のページ)