衣服標本家 長谷川と一緒に展示会場を巡る
「紳士服レクチャー」です
巨大なシルエットのドレスの陰に隠れて
あまり目立たない存在の紳士服
今レクチャーでは影をひそめる紳士服に光を当て
その歴史背景と構造変遷を探ります
18世紀の豪華絢爛なロココスーツに隠された " 面白さ "
19世紀の筋肉隆々のスーツに宿るジェントルマンシップ
美術館では決して見ることのできない
裏の「裏」まで覗き見ます
紳士服ラヴァーはもちろん
メンズファッションに興味のある方にも
おすすめのレクチャーです
新たな発見が、あなたの推し活や創作活動を深める一助となれば幸いです
11月26日(水)
28日(金)
12月1日(月)
全日程 11時開始 12時終了
(10時半より入場可能)
参加するには「レクチャーチケット + 入場券」が必要です
(例:早割り入場券3,900円+紳士服の世界3,900円=合計7,800円)
(有料レクチャーに複数参加される場合、入場券は1枚で大丈夫です)
お し な が き
歴史的に「長い18世紀」と呼ばれた時代
ここに紳士服、最後の輝き " フランス流のスーツ " が存在する
「アビ・ア・ラ・フランセーズ」
金襴織から手刺繍へと移ろい、そのすべてで光を放ち
眩い光が差すだけ、濃く暗い影を落とした
残酷な歴史背景のみならず、構造的制約もまた一興
表層の華美に目を囚われるな、内部の構造に目を凝らせ
思わず笑ってしまう「スーツの禁断の扉」が開かれる
過剰な美とは、ときに滑稽に映るものだから
「リージェンシー」
この時代、男のスーツはフランスからイギリスへと主導権が渡る
かつては泥にまみれた毛織物が、古典傾倒の美学と強烈に嚙み合った
イギリス流スーツは一筋縄ではいかない
ダブルスタンダードのゲームを制する者が、ドレスコードを理解する
伝統か革新か
揺れ動くスーツの静かな攻めぎ合いをご笑覧あれ
第二次産業革命は、空を灰色に染めた
少年清掃夫が煙突から顔出す
煤にまみれた顔よりも黒く、スーツは染まる
" 漆黒の紳士服 " が世界を牛耳る
陽の沈まぬ大英帝国の輝きのしたに
黒づくめのスーツが並んでいる
ゆるやかに脱ぎ捨てられた構造という名の矜持
ベルトコンベアーがT型フォードを運ぶとき
ミシンの上ではスーツが転がった
主人に仕える者として生きる「フットマン」
花形使用人と持てはやされるその男たちは
" 執事 " への唯一の出世道
我慢して、我慢して、我慢する
精神と身体に多大なる負荷をかけて彼らは生きた
語られぬだろう使用人の人生
半・分解展に並ぶフットマンのお仕着せが
その生き様を物語る