ガーゴイル
gargoyle ゴシック教会堂の雨樋の先端に付く怪物の顔かたちをした放水口。ゴシック時代の特徴の一つ なぜ、このような物が教会堂に飾られているかについては幾つかの説があるが、キリスト教が土着の宗教を持った地域に入っていき布教するに当たって、土着の宗教の象徴をキリスト教に取り込むということの手法(聖母マリアもその一つ)として、土着の宗教の事物も教会堂を守っているとし、土着民に親和性を持たせる為という説あり
カースル
Castle =>城塞
カーテン・ウオール
curtain wall アンサントにおいて城塔の間の垂直で平板な城壁(幕壁) 現代建築においてはビルを装飾する外壁や外装材
凱旋門
実用的な門ではなく門の形をした記念碑 基本的構成は単一アーチあるいは三連アーチの入口を持つ門だけの構築物(内部空間無し) 正面からは左右に2本ずつの円柱(独立またはアタッチド)を持ち、エンタブラチュアの高さはあり、中央にアティックという皇帝の成果を示す碑文を掲示 アーチの天井は格子模様を持つ格天井
階段小塔
建物に外付けされた螺旋階段の上に置かれる塔
カウンター・カースル
Counte castle 対抗城塞 攻撃側が防御側の城塞に対して構築する一時的な城塞 攻撃や防御側への補給遮断の為に作られる
カウンター・マイニング
Counte mining 敵のマイニング(トンネル)攻撃に対して自らもトンネルを堀り迎え打つ攻撃方法
架構式構造
=>軸組構造
カストルム
castellum 古代ローマの野営地 方形陣地で十字形道路を中央に持つ カルドー(南北の幹線道路)とデクマヌス(東西の幹線道路) 交点に中央広場 例:フィレンツェ、ヴィーン、ザダル、ポンペイ等
カゼルタ王宮
(イタリア・ナポリ) Reggia di Caserta 18c建造 宮殿と庭 ナポリのベルサイユ宮殿と言われる ルーブル東ファサードに類似 5階建てバロック様式 1~2階はルスティカ仕上げ 3~4階はコンポジット式柱ジャイアントオーダ 5階は屋根裏部屋
片山東熊
(建築家) 1854-1917 コンドルの弟子 宮廷建築が得意
・1894M27帝国奈良博物館
・1895M28帝国京都博物館
・1899-1909東宮御所(現在、赤坂迎賓館)
・1909M42上野表慶館
・1912M45御所水道ポンプ室
カタリ派
Cathares キリスト教の一派と民族運動の融合 マニ教に影響を受けたと言われる ラングドック地方に拠点をおき、カトリックからは異端と見なされ抗争
合掌
逆V字型の勾配屋根の材
カトリック(教)
catholic
・三位一体説(一体性を重視)
・聖体の秘儀=ミサの重視=ミサが行われる教会堂は大事
・優先順序:神→教会(組織と聖職者と教会堂)→聖書→信者
・聖書は聖職者の物
・聖書の理解には聖職者の介添えが必要
・聖母マリアを重視する
・強固な内部階位構成
・聖職者は「神父」と呼ぶ
・教会堂は神との接点の場
・聖書と共に聖伝も重視
・自力で贖罪不可能(聖職者の力必要)
カトリック改革
トリエント公会議(1545-63):宗教改革の為にプロテスタントにも参加呼びかけたが実現せずカトリック独自の内部改革 イエズス会の設立(1534)と布教活動となった。
カトリック教会の階位
教皇(pape)=聖使徒ベテロの後継者→枢機卿(cardinal)=教皇選挙の選挙権と被選挙権→大司教(archeveque)と司教(eveque)=地方組織(教区)の長→主任司祭
カリアテッド
caryatid 女像柱、女身柱 古代ギリシャ様式の一つ 女性の立像が柱となる。オーダの積み重ねでは最上階位に設置づけられる
カリニャーノ宮殿
(イタリア・トリノ) Palazzo Carignano 1684 グァリーノ・グァリーニ設計 世界遺産 西面は赤レンガによる曲面を描くバロック様式 東面は赤白色の対比が目立つルネサンス様式だが双子柱やエンタブラチュアはマニエリスムの様相
カルヴァン派
Calvinism カルヴァン主義者 プロテスタントの一派 カルヴァンは生地フランスで宗教迫害に合いジュネーブに逃避。そこで厳格な宗教理念に基づいた神権政治を展開した。彼は予定説(救いが人々の意志や善行とは無関係で、最初から神によって決められている)をうたい、「自分自身の仕事を、天から与えられたもの(=天職)として認識し、正当な方法で懸命に勤しんだ場合、蓄財を認める」とした。この説は産業発達期に適合しスイスからイギリス(ピューリタタン派)→アメリカに渡った。
カルカソンヌ
(フランス・カルカソンヌ) Carcassonne 上城部:3c末~4c初頭全長1200m市壁(内城壁)構築 12c紀伯城塞建築 13c前半外城壁建設
下城部:1262年市民反乱により山の下に新町構築(バスティード準拠) 1347年新都市築城建設
カルケドン派
Chalcedonian Christianity 451年カルケドン公会議で「キリストは神性と人間性の両性を具備している」かを議論し、その説を公認。それ以外は異端(非カルケドン派)とした。
カルドー
Cardo 古代ローマの野営地カストルム カルドー(南北の幹線道路)とデクマヌス(東西の幹線道路)
ガルドローブ
Garde robe 城塞におけるトイレ
カンパニーレ
Campanile イタリア語で鐘楼
キープ
keep 城砦の中央部に置かれた塔(天守閣相当)ドンジョンDonjonともいう
キャピタル
Capital 円柱における柱頭部分 狭義では5種類のオーダー、広義ではビザンツの二重化された形状等多くの種類がある
キャピタル・フォールド
布を折り畳んだようなデザインを持つ柱頭
ギャラリー
gallery いろいろな意味で使われる
・回廊 長廊下 世俗建築における部屋と部屋を結ぶ廊下の機能を兼ねる長大な部屋
・教会堂でアーケードの上の二階部屋部分(トリビューン)
・イタリアのピサ大聖堂のファサードにみられるような列柱のデザイン
教会堂のネーミング
聖人に捧げた名前をつけられることが多い(聖ぺテロ教会等)
擬洋風建築
日本における洋風模造建築あるいは日本様式や用途を折衷した洋風デザイン建築
ギリシャ十字
Greek cross 縦横の長さが同じ十字 縦長はラテン十字 教会堂の平面様式としてビザンツ様式の教会堂、霊廟などに多く用いられた カトリックのミサにはうまく適合しない形態 =>ラテン十字
ギリシャ神殿(時代区分)
・アルカイック期 前650頃~前480頃の神殿: ダイナミック、荒々しい造形 太いドリス式円柱 例:パエストゥムのへラ第l神殿紀元前530年頃(バシリカ)ドリス式円柱
・古典期 前480頃~前330頃の古代ギリシャ最盛期:優雅 イオニア式円柱登場 例:アテナのパルテノン神殿紀元前432年完成(ドリス式)、アテネのエレクテイオン神殿紀元前406年完成(イオニア式)
・へレニズム(ヘレニスティック)期前330頃~前30頃リンドスのアクロポリス神域(紀元前3世紀初期 ロードス島)アテネのオリュンピエイオン(ゼウス)神殿132(コリント式)
ギリシャ神殿(柱の配置による様式)
・前柱式神殿 プロスタイル 正面部分にのみ円柱を設置した神殿
・両柱式神殿 アンフィ・プロスタイル 正面と後背部分にのみ円柱を配置した神殿 前後4本柱:アンフィ・テトラスタイル
・周柱式神殿 神殿本体の回りを独立柱が囲んでいる神殿 周翼式神殿とも言う
・疑周翼式神殿 神殿本体の回りを独立柱だけでなく壁埋め込み式の柱などを含み囲んでいる神殿
・環状周柱式 円形の神殿の回りに環状に並べた様式
ギリシャ神殿(柱の数による様式)
・二柱式 ディスタイル 正面に2本の柱
・四柱式 テトラスタイル
・六柱式 ヘキサスタイル
・八柱式 オクタスタイル
・十柱式 デカスタイル
・正面は通常は偶数柱だが奇数の神殿もある(例:ヘラ第一神殿)
・神殿の円柱は正面をn本とすると側面は2n+1本が標準
キリスト教の色の意味
(教派により異なる、カトリックの場合)
青:マリアの象徴、天国、真実
赤:慈愛、愛、殉教
白:神の光、清らかさ、純潔(処女)、喜び
金:王(すなわちキリスト)、尊厳、威厳
緑:永遠、希望、堅実、忍耐
紫:懺悔、償い、回心、節制
黒:死、苦しみ、悲しみ
キリスト教会(教派)
五大キリスト教派
・エルサレム総主教座
・アンティオキア総主教座(シリア)
・ローマ総主教座→現カトリック
・アレクサンドリア総主教座(エジプト)
・コンスタンティノポリス総主教座→現東方教会・正教会
キリスト教福音史家の図象
4聖人(福音史家) 天使=マタイ 牛=ルタ ライオン=マルコ ワシ=ヨハネとして教会堂天井四隅などに図象として描かれることが多い
キング・ポスト
King post 屋根組で三角断面の中央に柱(キングポスト)を立て、それで梁(天井)を支える構造
近世築城
(15~18c中旬) 稜堡式築城:基本はバスティオン(bastion)とカーテン・ウォールから構成→「厚さ」で防御←大砲の発展への対応 斜堤→掩蔽道→内塁壁→堀→胸壁(パラペット)と多層な防御構造 塔は大砲の目標となってしまうので設けない
近代
(19c)の欧州建築事情 社会の発展に伴い教会堂建築よりも公共建築が盛んになってきた。特定の様式は創造されずに旧来の様式を様々に活用。
①古典主義系=古代ギリシア・ローマの建築に範をとった建築 =オーダーあるいはその周辺の建築要素を用いた建築
→新古典主義(グリーク・リヴァイヴァルなど)、ネオ・ルネサンス、ネオ・バロック 例:ブランデンブルク門、ミラノ・ドゥオーモ広場、パリ・オペラ座、ノイホーフブルク宮殿
②中世主義系=キリスト教徒の生んだ中世建築に範をとった建築(異教徒が生み出した古代ギリシャ・ローマ建築ではなく)
→ゴシック・リヴァイグァル=ネオ・ゴシック+中世建築の修復+大聖堂の建設再開 例:英国国会議事堂、パリ・ノートルダム大聖堂、フィレンツェ・花のマリア大聖堂、ケルン大聖堂
③新しい材料=鉄+ガラス 古代からあるが工業化が進む 例:ラブルーストの仏国立図書館(1838年ー)、パクストンの水晶宮(1851年)、エッフェル塔(1889年)
近代19c~現代20cの教会堂 教会堂の新規建築自体が大幅に減るなか、建築様式や建築思想は教会堂建築の主要素ではなくなり、新しい建築素材や建築構造により自由な表現で作られるようになった。部分的にはポインテッドアーチ等の意匠が利用されている。
クィーン・ポスト
Queen post 屋根組で三角断面の中央に柱を立てずに両サイドに立てる構造 屋根裏空間を作り利用できる
クーポラ
cupola ドームの頂上に設置される小さな小部屋施設。ドームの姿にアクセントを付けると共に採光や換気の役を持つ。同じ部分に設置される尖った屋根形状はランタンと言われることもある。
クノッソス宮殿
(ギリシャ・クレタ島) Palace of Knossos クレタ島:3大陸(アジア、アフリカ、ヨーロッパ)の交流の結節点 紀元前2800-1100ミノス文明期 宮殿建築複合体の出現=後世の古代ギリシア人からみて「迷宮」=宮殿というよりは小都市
グラード
grado 市壁(アーバン・フォーティフィケーション)により守られている都市 例:レーニングラード
クラウン・ポスト
Crown post 屋根組でキング・ポストと見かけは同一だが構造としては梁で屋根を支える形
グラナダ
(スペイン) Granada 1492年イスラムからキリスト教が奪還 世界遺産:アルハンブラ宮殿、ヘネラリーフェ離宮、アルバイシン地区 グラナダ大聖堂:16-18cプラテレスコ様式(ゴシックと初期ルネサンスの融合)
クリアストリー
Clerestory 高窓 教会堂の身廊の壁で外に接している部分に開けた一番高い位置に伸びる縦窓 ゴシック様式教会堂ではこの部分が大きく、ステンドグラスがはめられる
グリーク・リヴァイバル
Greek Revival 新古典主義の中での古代ギリシャに戻った様式 荒々しく力強い
クリプト
crypt 教会堂の地下祭室
グルントヴィークス教会
(デンマーク・コペンハーゲン) Grundtvigs Kirke 表現派の教会堂の例
クレノー
Clénault 城壁最上部の凸型の擁護壁メルロンに開けられた狭間
クロイスター
Cloister 修道院・教会堂・大学などの中庭を囲んだ屋根付き回廊
ゲーブル
gable 破風 切妻屋根の妻側の垂直壁(通常は上部の三角形の部分を指す)あるいは窓の上に置かれる三角形の飾り(ペディメントと似ている)階段状ゲーブル:屋根側の斜め材が階段状になっているもの
劇場
=>古代劇場
ケラ
cella ギリシャ神殿内の主室で神像が設置される ナオスともいう
ケルン大聖堂
(ドイツ・ケルン) Kölner Dom 正式名称Dom St. Peter und Maria 1248-1880 5廊式の最大級ゴシック建築 ファサードの160mの双塔(片塔は19世紀) 外観の特長として尖頭アーチ窓の上に鋭角のペディメント風の三角形の飾りを付けていること
現代の建築様式
様々な用途の建築が必要とされ、特定の様式の適用は全く困難となる一方、金属やガラスなどの新しい建築素材が出て来て、旧来の建築構造に捕らわれない新しい造形が可能となった。建物全体としての「様式」という概念は消失し、表面デザインとしての流れの中で語られるようになる。
教会堂においても今までにはない造形や表現で多種多様なものが建築される(例:東京カテドラル聖マリア大聖堂・・ロープアーチを用いた無柱構造)
「建築様式」は建物の部分要素としてシンボル的に生かされることもある
・古典様式・・・・・・結婚式場、金融関係、政府施設関係
・ゴシック様式・・・・教会堂やキリスト教関係施設、市庁舎(中世の市民自治の伝統を想起)
・ルネサンス様式・・・オフィスビル(アールデコ様式と共に)
・バロック様式・・・・学術や芸術関係施設
現代建築
金属やガラスなどの新しい建築素材が出て来て、旧来の建築構造に捕らわれない新しい造形が可能となり、建物全体としての「様式」という概念は消失し、壁面のデザインとしての流れの中で語られるようになる。
建築技論
アルベルティ著 1452年に出版
第1書:建築の諸要素(敷地、床面、分割、壁、覆い、開口)
第2書:資材
第3書:構法
第4書:公共施設
第5書:各種住宅など
第6書:建築装飾
第7書:公共宗教建築とその装飾(神殿、3種の柱形式+イタリア式)
第8書:公共世俗建築の装飾
第9書:私邸の装飾(数比例も)と建築家:ARCHITECTVSの職能
第10書:修復術
建築時代区分
・古代建築(~6c)古代ギリシャ建築、古代ローマ建築、初期キリスト教建築
・中世建築(6~16c)ビザンツ様式 ロマネスク様式、ゴシック様式
・近世建築(15~18c中旬)ルネサンス様式、マニエリスム様式、バロック様式、(ロココ様式)
・近代建築(19c)新古典主義、ゴシック・リヴァイバル、歴史主義、折衷主義
・現代建築(20c-)アールヌーヴォー、アール・デコ、表現主義、モダン・ムーブメント等
注:時代は説により1~2世紀の差あり
建築十書
ウィトルウィルス著AC20~30頃活躍 現存する唯一の古代の建築書
建築は公共建築(軍事+宗教+実用)と住宅建築
実用建築とは→港、フォルム、柱廊、浴場、劇場、遊歩廊
第1書:理論、都市、都市防御施設
第2書:建築の起源、構法と材料
第3書:神殿、イオニア式
第4書:コリント式、ドリス式、神殿
第5書:公共建築(フォルム、バシリカ、劇場、浴場、港)
第6書:私的建築(都市住宅、田園住宅)、理論
第7書:壁床天井仕上げ、絵画論、塗料
第8書:水利学(水源、水質、水道、井戸)
第9書:天文学、時計
第10書:建設機械、水利機械、武器、防御
建築様式区分
・ビザンツ様式 Byzantine(5~13世紀)
・ロマネスク様式 Romanesque(10~12世紀)
・ゴシック様式 Gothic(12~15世紀)
・ルネサンス様式 Renaissance(15~17世紀初)
・バロック様式 Baroque(17初~18世紀)
・新古典主義 Neoclassical(18~19世紀)
・ネオ○○○様式、○○○リバイバル様式(18世紀~)
注:時代は説により1~2世紀の差あり
攻囲戦技法
・エスカラード(梯子で城壁登攀)・ベルフリー(攻城槌)・マイニング(トンネル)・投射兵器 ・大砲 等々
交差廊
身廊と袖廊が交差する部分 ドームが架けられることが多い
攻城塔
衝角を搭載した攻撃用の移動可能な塔 実用には地形や堀など使用上の制約多い=>ベルフリー
皇帝階段
Imperial Staircase ルネサンス~バロック期に登場した宮殿内の大階段 踊り場で二つに分かれて上階に折り返しつながる
コーナー・パビリオン
coner pavillion 建物の隅に配置されるパビリオン =>パビリオン
コーニス
=>エンタブレチュア
コーベル
corbel 持ち送り 壁に貼り付けられた飾り柱で下までつながっていず、上部(キャピタル)部分のみの物
ゴシック様式
Gothic Style
ゴシック建築様式
Gothic Architecture
ゴシック教会身廊天井高
サン・ドニ1144 20m
ラン1160起工 24m
パリ1163起工 35m
シャルトル1194起工 36.6m
ランス1211起工 37.95m
アミアン1220起工 42.3m
ボーヴェ1227起工 51m(未完成)
(サンピエトロ 46m 完成聖堂で最高高)
ゴシック様式教会堂の背景
時代背景としては12-13cは神聖ローマ帝国と東ローマ帝国の2大帝国で比較的安定した時代を迎えるなか、フランス地方を中心とした北部欧州では三圃制農業や大都市の形成による拡大した民衆(土着宗教信者)をキリスト信者に改宗させ取り込む必要が急務になった。一方では立派な(目立つ)教会堂を建築することが王、貴族、諸公、地方有力者、聖職者の権力誇示や統治の手段となった。住民もそれを望んだ。
▷教会としては「神との交流の場」である教会堂をロマネスク様式ではなし得ない以下の形で実現
⑴もっと「神の光」に満ちていなければならない(ロマネスク教会堂内は光というよりは暗い闇)
⑵世俗を感じさせない「神秘」な場でなければならない
ということに加え
⑶一般民衆に教会の権威を知らしめる畏怖が必要
⑷土着の異教徒をキリスト教に改宗させる工夫必要
▷地域統治としては
⑸集会場としてその都市の全人口を収容できる施設
⑹その都市の権威を他地区に誇示する偉業であること
この要因が大規模で革新的なゴシック様式教会堂の建築の元となった。
ゴシック期としては15cまで続くが、14c以降は百年戦争やペストの大流行による石工の喪失、プロテスタント活動、西ローマ帝国の滅亡など社会が混乱し、教会も社会も建築も実質停滞し次のルネサンス時代を待つことになる。
ゴシック様式教会堂の建築要素
▷数千人収容できる大規模建築
▷「高さ」で圧倒、畏怖感、遠方からも目立つ姿 =>ゴシック教会身廊天井高
・垂直方向指向 仰高性 ピア(細い柱模様の束) 高い天井(40m以上も)
・壁や柱の重量感や厚さを意識させない意匠(ピア構造、線状要素)
・フライング・パットレス(建物を外部から支える支柱)
▷「神秘な光」で交霊を醸し出す
・ポインテッド・アーチ(先がとがった円形窓,荷重分散の為)を使った大きな縦窓、バラ窓
・大きな開口部にステンドグラスの多用
▷「異教」の事物の巻き込み、民衆への布教アイテム
・ファサードへの繊細な絵画細工→石の聖書(最後の審判、聖母マリア等)
・土着の母性信仰の巻き込み(聖母マリアの位置づけ)
・ガーゴイル(雨落としなどの怪物装飾)
その他の特長
・ロマネスクの踏襲(ミサに適するラテン十字形平面バシリカ、ヴォールト、尖塔、放射状チャペル配置)
・リプ・ヴォールト(半球屋根の骨組み、構造的には効果無し)
・ピナクル(尖塔)、
・壁面の構成:アーケード(arcade)+トリフォニウム(trifonium)+トリビューン(tribune)+クリア・ストーリー(clerestorey) の4層構成も
ゴシック様式教会堂の地域別差異
フランス:仰高性の強い内外観 大胆なフライング・バットレスの姿 重厚な双塔
ドイツ:力強さを表現した外観 高い単塔
イギリス:複雑なヴォールト装飾 細かい縦線要素のデザイン 拡張建築による奥行きの深い教会堂
イタリア:控えめなポインテッド・アーチ(円形アーチと混用)やフライング・バットレス
ゴシック・リヴァイヴァル建築
Gothic Revival architecture 18c後半~19c 異教徒の作ったギリシャ・ローマ様式(古典建築様式)に対して西欧(仏)でキリスト教として純粋に発生したゴシック様式という認識。建築構造的に古典様式より優れているという認識
古代建築
Antiquity Architecture 古代ギリシャ・ローマ建築 476年の西ローマ帝国滅亡まで
古代(ギリシャ)劇場
テアトルムtheatrum 半円形の劇場(円形はアンティテアトルムamphi-theatrum)客席はtheatron 円形舞台はオルケストラorchestraで元は神事を行うが後世ではオーケストラヒットへ 舞台背景の建築はスケネーskene
古代ローマ建築
厚い石壁構造、半円アーチによる開口部、コンクリートの活用 ヴォールト(トンネルヴォールト、交差ヴォールト) ドーム 装飾的円柱 円柱の積み重ね 例:コロッセウム、パンテオン、メゾン・カレ、ポルタ・ニグラ
古代ローマ神殿
共和制の時代 都市の中に道路や広場に面して建設される ギリシャ神殿の全周性に対してローマ神殿は正面性:立派な正面階段、独立円柱は前面のみ、円柱は構造体ではなく装飾体 例:パンテオン
古典
Classic ルネサンス以降のヨーロッパ人が理想化して解釈した「古代」(特に古代ローマ文明)
古典主義
古典を理想と見なすルネサンス以降の建築思想
コトル
(モンテネグロ) Kotor 世界遺産 12-18cにかけての市壁 聖トリプン司教座聖堂:12cノルマン・ロマネスク様式
コムーネ
comune イタリアの自治共同体
小屋組
梁と桁の上に乗せた屋根を支える構造物
和小屋:梁の上に束を垂直に立てて屋根を支える工法
様小屋:垂直な束だけでなく、斜めに渡した材でトラスト構造を造り屋根を支える工法
コラム
column =>円柱
コルティーレ
cortile アーケードに囲われた中庭
コルドバ
(スペイン) Córdoba ローマの属州→イスラム支配572→キリスト教奪還1236 ・大司教座聖堂 =>メスキータ
コロセウム
(イタリア・ローマ) Colosseum 78-82 軸組構造ではなく壁構造(アーチ構法やコンクリ一卜壁) 円柱は構造材ではなくアーチ構造の外に施された装飾と化す 三層順のオーダ使用(ドリス式→イオニア式→コリント式)
コロニアル・スタイル
colonial style 西欧人が植民地に建築した西洋風建築 =>ベランダ・コロニアル
コロネード
colonnade 列柱 通常は上部がエンタブラチュアでつながった柱の列
コロネット
Colonette 装飾用(構造体でない)の小柱
コンスタンティノポリス
(トルコ) Konstantinopolis 当初はビザンティウム 330ローマ帝国東方領の行政首都で改名 東方キリスト教の本拠地(ハギア・ソフィア総主教座聖堂)テオドシウス2世帝の築城413 高さ13m厚さ4.6m高さ20mの城塔が55m間隔 塔は城壁より10m前突出 その後壁の多重化など多くの強化が行われる 1453オスマン朝卜ルコの攻囲により陥落=東ローマ帝国滅亡 以降イスタンブールと改名
コンスタンティヌス凱旋門
(イタリア・ローマ) Arco di Costantino 315頃 コロセッオの近く 最大の凱旋門