中部アフリカ研究 in Kyoto

文献案内:中部アフリカ入門

近年、アフリカに関する入門書の出版は増加傾向にありますが、中部アフリカはもともと研究者数が少ないことにくわえて、地理的に大きな部分を占めるコンゴ民主共和国における1990年代〜2000年代半ばの混乱の影響もあり、概して中部アフリカについての記述は限定的です。ここでは中部アフリカに関する記述がいくらかはある入門書・解説書を紹介します。

森棲みの生態誌:アフリカ熱帯林の人・自然・歴史 1』木村大治・北西功一 編(2010)京都大学学術出版会

ひとこと紹介:中部アフリカの狩猟採集社会や農耕社会でのフィールドワークの成果が数多く収録されています。総説の「アフリカ熱帯雨林の歴史生態学に向けて」「ワイルドヤム・クエスチョンから歴史生態学へ」「中部アフリカ熱帯雨林の農耕文化史」「アフリカ熱帯雨林とグローバリゼーション」を読んでみましょう。

森棲みの社会誌:アフリカ熱帯林の人・自然・歴史 2』木村大治・北西功一 編(2010)京都大学学術出版会

ひとこと紹介:『森棲みの生態誌』の姉妹書です。総説の「中部アフリカ農耕民の社会と近現代史」「ピグミーと農耕民の関係」「ピグミー系狩猟採集民における文化研究」「アフリカ熱帯林における宗教と音楽」「農耕民と狩猟採集民における相互行為研究」などを読んでみてください。

新書アフリカ史』宮本正興・松田素二 編(1997)

ひとこと紹介:アフリカについて勉強しようと思ったとき、まず読むべき本です。中部アフリカについては、「コンゴ川世界」として、まとまった記述があります。

新版 アフリカを知る事典』小田英郎・川田順造・伊谷純一郎・田中二郎・米山俊直 監修(2010)平凡社

ひとこと紹介:激動する大陸の悠遠な歴史と多彩な文化。54の国家・地域の自然、民族、歴史と現状、日本との関係などを詳述。基本的な知識を網羅的に得ることができます。アフリカについて興味を持ったことがあれば、まずこの事典をパラパラめくってみるとよいでしょう。

アフリカ学事典』日本アフリカ学会 編(2014)昭和堂

ひとこと紹介:日本人による50年のアフリカ研究史を紹介する本です。中部アフリカに関連する項目もそれなりにあります。ただし、上記の『アフリカを知る事典』のように細かい項目について詳細な説明のある事典ではありません。

アフリカ II(朝倉世界地理講座―大地と人間の物語)』池谷和信・佐藤廉也・武内進一 編(2008)朝倉書店

ひとこと紹介:アフリカについては2巻が割り当てられており、2巻目の第4部が「バントゥーアフリカ」です。中部アフリカに関する記述はあまり多くありませんが「中部アフリカの生態史」「赤道アフリカの主食史」「ヤウンデからみたカメルーン」などの項目があります。

アフリカ史(世界各国史10)』川田順造 編(2009)山川出版社

ひとこと紹介:中部アフリカについては「バントゥ・アフリカ」として一章が割かれています。

アフリカ現代史 III 中部アフリカ』小田英郎(1986)山川出版社

アフリカ史研究のなかでも「もっとも陽のあたらない場所」であった中部アフリカの歴史を、古王国の時代より説きおこす。分割から独立にいたる過程を植民地政策と民族主義運動の双方から跡づけ、コンゴ動乱・チャド内戦など苦難に満ちた国家建設の様相を明らかにする。

ひとこと紹介:「中部アフリカ」をタイトルに含む数少ない和書の一つです。

アフリカ社会を学ぶ人のために』松田素二 編(2014)世界思想社

多様な民族・言語・生態環境をもつアフリカが体系的にわかる入門書。アフリカの経験してきた過去・困難・絶望のなかから、アフリカの潜在力を描きだし、人類社会の希望と可能性を展望する。

ひとこと紹介:中部アフリカに関する記述はほとんどありませんが、アフリカ研究入門書としてはもっとも新しく、バランスのよい本です。

生態人類学を学ぶ人のために』大塚柳太郎・市川光雄・秋道智弥 編(1995)世界思想社

ひとこと紹介:生態人類学の教科書的な内容です。「活動と生業適応:狩猟採集・農耕・牧畜」「環境問題と人類学:アフリカ熱帯雨林の例から」などで中部アフリカの事例がとりあげられています。

アフリカ自然学』水野一晴 編(2005)古今書院

ひとこと紹介:中部アフリカにフォーカスした記述はあまりありませんが、前半部分のアフリカの自然(地形、気候、植生、土壌、環境変動)について、基本的な知識が簡潔にまとめられています。

コンゴ河:その発見、探検、開発の物語』ピーター・フォーバス(1979)草思社

ひとこと紹介:「コンゴーー二つの鋭い音節が、密林の太鼓の響のように想像力を打ち、原初の暗黒や、測り知れぬ神秘や、恐るべき蛮性の、悪夢のような幻影を呼びおこす」という文章が冒頭にあります。「コンゴ」をタイトルに含む数少ない和書の一つです。

知られざる森のゾウ : コンゴ盆地に棲息するマルミミゾウ』ステファン・ブレイク著 ・西原智昭訳(2012)現代図書 星雲社

現地で長年マルミミゾウの研究をしたブレイク氏と、20年以上アフリカ熱帯林を見続け、今現在も、コンゴ共和国の北東部で野生生物保全に携わっている西原氏。この2人の協力により、日本初の”マルミミゾウの今”が解る書籍がここに誕生した。

たまたまザイール、またコンゴ』田中真知(2015)偕成社

ひとこと紹介:世界は偶然と突然でできている。予測不能なコンゴ河の旅。アフリカ中央部のジャングルを流れる大河を、1991年と2012年の2度にわたり船で下った道中記。笑いあり涙あり、過酷にして愛おしい旅の記録。