④輪廻転生について
無常、無我、因果、縁起などの世の真理を説き、人間の苦しみを取り除く心の持ち方について説くお釈迦様の教えは、ときがたつにつれて変質していった。虫一匹殺しても殺生罪で地獄に落ちると説く事は覚醒の道ではない。
輪廻転生
「虫一匹でも殺生罪となって死後は地獄に落ちる。そうならないようにお布施をすれば仏となって極楽浄土に生まれ変わる。」このような話は、仏が「覚醒した人」の意味から「死んだ人」の意味に戻ってしまう。
今の仏教は肉体に宿る霊魂または阿頼耶識というものが、死後に別の肉体に宿って、前世の行いによって、地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人間界、天上界へと生まれ変わる先が異なると教える。生まれ変わる先は閻魔大王の裁きで決まり、生前に悪行がなければ三途の川を渡って極楽浄土へ行く事ができる。そして死んだ人が無事に三途の川を渡れるように、そして、三途の川を渡った後も極楽浄土で精進できるように、生き残っている人が供養を行う。う~ん、なんだかな~。お釈迦様は本当にこのような死後の世界を悟られたのだろうか。
そもそも人は誰も生前の記憶はない。人間界に生まれかわる事が出来たにも関わらず、生まれたときから脳に障害を持つ人もいる。また地獄界へ生まれた場合は生まれたとたんに理由も分からずに苦しみが始まり、その苦しみの中でどのようにして悟りを経て上位の世界に行けるのか。合理的な説明はできない、生まれ変わり、或いは輪廻転生について、仏典に記されているから輪廻転生はあるとか、お釈迦様が説かれたから信じなければいけないというのでは話にはならないし、例え話を用いた説明もそれは真実で説明できないからだ。
輪廻転生では説明できない事実
以下の例において輪廻転生を明確に説明する事ができない。
(1) 善悪の基準や、生まれ変わる先の判定を自然や宇宙がどのように行っているか、そのメカニズムはどのようなものか。
(2) 植物人間、痴呆症を発症した人、脳を損傷して人格の変わった人。このようなケースの輪廻転生はどうなるのか。
(3) 地球人口は近世以降急激に増加している。人間界への急増な生まれ変わりはどこからの輪廻転生で、どうして起こるのか。
(4) 太古の地球には生物は存在しなかった。また、恐竜時代に人間は存在していない。最初の生物や人間はどこから輪廻転生したのか。
(5) イナゴなど昆虫の突然の大量発生がある。大量の霊魂や阿頼耶識はどこからやって来るのか。
(6) 輪廻転生では前生の行いによって人間界に生まれたにもかかわらず、なぜ生まれつきの難病を背負って人間界に生まれる人がいるのか。
生まれ変わりの実現
しかし死んだ人間を生まれ変わらせる方法は科学的に可能だ。まず、死んだ人間のDNAを採取する。次にその遺伝子情報をもとに新しい若い肉体を再生する。そして、そこへあらかじめ脳から読み取っておいた記憶や人格をこの若い肉体の脳にアップロードし、神経ネットワークを復元する。こうして再生された若い肉体に息を吹き込み、心臓を動かせば、朝に目が覚めたときに昨日の出来事を自覚しているのと同様に生前の自分を自覚した状態で目を覚ます(生まれ変わる)。このように生命科学に基づく生まれ変わりは実現可能だ。
このことから輪廻転生は霊魂などの憑依ではなく、遺伝子DNAによる生まれ変わりの方便と捉えるのが適切だろう。