①弥勒菩薩を考える
仏教の衰退と弥勒菩薩の出現
未来に向けてお釈迦様の教えは、正方、像法、末法、の時代の順に変容し衰退して行き、最後に仏教が無くなる法滅時代を迎えると、仏教自体が説いている。そしてお釈迦様の没後、56億7000万年後の未来に弥勒菩薩という次ぎの仏がこの世に現われて人類を救う。
弥勒菩薩予言の疑問
ここで疑問なのは、なぜ56億7000万年後という途方もない先の未来に弥勒菩薩が現われると予言されているかである。そもそも瞑想によって何十億年もの先の未来が分かることはないし、お釈迦様はそんな遥か先の未来を見抜く予知能力者でもない。私は以下のように推理する。
法滅時代の文明と避けられない危機
この何十億年もの気の遠くなる先の未来というのは太陽の寿命が尽きる頃の未来である。これほど先の未来に人類が存在しているという事は、人類の科学は恒星間飛行が可能なレベルに到達しているだろう。その高度な科学技術によって、人間は煩悩から解放され、もはや仏教の教えは必要とされない。それが法滅の時代であると考えられる。その遠い先の人類の未来の描写は次のような平和な世界である。
肥沃な土地に作物が実り、人々は賢く健康で、心豊かに暮らしている。未来の人も歳を取って死ぬことは同じで、自分の寿命が来ると墓地に行って生涯を閉じる。広大な都には徳のある人ばかりが住んでいて、道は常に清潔で夜の灯火は必要ない。飲めば病気が直る水の湧き出る泉がある。家々は防犯の必要がない。町は賑わい栄え、天災や人災も無く、人々は互いに助け合っている。…
しかし、こうした高度な文明も、避ける事の出来ないことがある。それは太陽が燃え尽きることで訪れる危機だ。
弥勒菩薩の使命
この太陽の寿命は非常に高度な科学的根拠に基づく計算で予測可能であろう。宇宙の真理を悟っている仏たちは、具体的に56億7000万年という数字をお釈迦様に示されたのだ。
そして、この必ず訪れる未来の危機に備えて、弥勒菩薩という救済手段が用意されていることを仏典は示していると理解できる。すなわち、はじめから56億7000万年後に弥勒菩薩が現れる準備がなされ、それが仏典には予言という形で記されているのだ。
弥勒菩薩の天界での修行
この人類の救済計画は太陽系からの脱出のようなスケールの話になる。弥勒菩薩が現在は天界で修行中というのはこの大事業に必要な智慧を授けられていることの方便だと推察する。今は細胞として保存されていて、そこに智慧が組み込まれている。56億7000万年後、弥勒菩薩はこの細胞から再生されて世に現れるのだ。
弥勒菩薩の合理的解釈を通して
この私の解釈では、人類救済の為に弥勒菩薩を準備する仏が存在する事になる。これについて更なる推察をしていく中で、仏教と一神教の習合に至る。これについては引き続き本ホームページを読み進めていただきたい。
以上の弥勒菩薩の謎解きは、これが真相だと主張するものでは無く、仏教を理解可能なものにする試みを弥勒菩薩のケースに当てはめた例である。すなわち、
(1) 太陽は必ず燃え尽き、科学は未来の予測を計算できる。
(2) 命の本質はDNAであり、生命科学によって命を再生できる。
こうして、56億7000万年という値が間違いでない限り、その途方もない未来に現れる弥勒菩薩出現の預言を理解できるのです。