山崎町の住宅
山崎町の住宅
島田陽
Category:建築作品
図の上段:○手すりに用いられる垂直と水平の要素
図の中段:✕支持材→支持材と同一の意味が重なっている
図の下段:○机の支持材として機能している
「建築要素と家具の一体化。手すりと机の脚が重なり合わさっている。」
この作品ではブリコラージュ的手法と謳われているが、設計された什器を丁寧に観察すると、この作品はブリコラージュではない。
注目する什器は、机と手すり。机の天板を支える脚として、吹き抜け周りに設えられた落下防止の手すりを用いる(机の脚=手すり)。逆さに見ると、落下防止の手すりのかわりに机を置いているともとれる。これは、もともとある二つの体系の兼用可能な部分を合体させているだけである。このタイプの制作は「重ね合わせ」禁止に抵触する。「重ね合わせ」は、意味の体系が一方向に移動するブリコラージュとは違い、双方向的な合体であるという点でもニュアンスが異なる。この作品はブリコラージュでなく、あくまでブリコラージュ「的」である。
例えば、机と手すりで1つ別の意味や用途をもつ全体性(構造)が作れればブリコラージュになりえるだろう。今回はブリコラージュでないと判定した。
とはいえ、建築要素と家具の一体化を意識的に行い、新たな組み合わせを作り出すような思考自体はブリコラージュに通ずると言える。