近年、世界的に植物由来食品への関心が高まり、大豆ベースの乳製品代替市場は急速な成長を遂げています。健康志向の高まり、乳糖不耐症の人口増加、サステナビリティへの意識向上が市場拡大を後押ししており、今後も非常に高い成長が見込まれています。グローバルでは2032年に向けて年平均成長率13%を超える力強い伸びが予測されており、特にアジア太平洋地域が中心となって市場拡大をリードすると考えられています。
ダノン S.A. (フランス)
キャンベル社 (米国)
Vitasoy International Holdings Limited(香港)
The Hershey Company(米国)
SunOpta(カナダ)
Dean Foods Company(米国)
Eden Foods(米国)
ナチュラ・フーズ(カナダ)
プルムウォン株式会社(韓国)
ハイランド・デイリー(米国)
日本国内でも、大豆由来の代替乳製品は安定した需要を維持しています。豆乳は日本の植物性ミルク市場において圧倒的なシェアを占めており、消費者になじみ深い食材であることが強みとなっています。日本では乳糖不耐症やアレルギー、健康志向の高まりが代替乳製品の普及を後押ししており、特に若年層や健康志向層を中心に利用が増えています。
また、国内企業による新商品の投入が増えており、味、栄養価、機能性の側面から多様な選択肢が提供されている点も市場成長の要因です。スーパー、コンビニ、ドラッグストア、オンライン販売など、多様な販売チャネルが確立されていることも普及の背景にあります。
大豆ベースの乳製品代替市場は、非乳ミルク、バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど、多様なカテゴリーに分かれています。特に非乳ミルク分野は市場の中心であり、今後も需要拡大が続くと予測されています。世界市場は今後10年で非常に大きく成長する見込みであり、日本市場でも年平均成長率6〜7%と安定した成長が期待されています。
さらに、日本の代替乳製品市場は2030年に向けて着実に拡大すると予測されており、今後は機能性を強化した商品や、消費者ニーズに合わせた新しい風味、用途別製品の投入が加速するとみられています。
大豆ベースの乳製品代替市場には、グローバル企業と国内企業の双方が参入しており、活発な競争が行われています。海外企業ではダノン、ハーシー、ビタソイ、サンオプタなどが主要プレーヤーとして存在しています。国内では、キッコーマン、マルサンアイ、大塚グループなどが強いブランド力を持ち、市場の成長を支えています。
各企業は、味の改良、栄養強化、機能性の向上、植物性食品の価値訴求など、多方面から製品の差別化を図っています。また、サステナブル包装や環境配慮への取り組みも注目されており、エシカル消費が進む中で企業戦略の重要要素となっています。
■ 成長ドライバー
健康・栄養意識の高まり
乳糖不耐症や動物性食品アレルギーへの対応
環境・サステナビリティ意識
植物性食品の市場拡大とメディア露出
■ 課題
動物性乳製品と比較した味・食感の差
原料価格の変動リスク
消費者の理解不足や価格帯への課題
今後の市場では、以下の領域に大きなビジネスチャンスがあります:
栄養価を強化した機能性豆乳やヨーグルト
子ども向けの植物性食品ライン
オンライン直販やサブスクリプション型販売
国産大豆を活用した高付加価値商品
大豆ベースの乳製品代替市場は、世界的にも日本国内でも今後さらなる成長が期待される有望な市場です。健康意識、環境配慮、ライフスタイルの変化が市場を後押しし、新製品投入や技術革新によって市場がより多様化していくことが予想されます。企業にとっては、成長性の高いこの分野で競争優位を築く大きなチャンスが広がっています。
2025年2月:オランダのスーパーマーケットチェーン「ジャンボ」は、オランダ産大豆を使用した植物由来ヨーグルトの新製品ラインを発表。「De Nieuwe Melkboer」ブランド名でオランダ全土に展開中。
2025年1月: 米国スナック企業RINDは、カシューナッツを原料としたビーガンチーズ「ALPINE SVVISS」を発表。コレステロール・グルテンフリーで、4オンス(約113g)ブロック状に製造。同社は米国ラスベガスで開催された「スペシャルティ・フード協会ウィンター・ファンシーフードショー」で本商品をローンチした。