秋田県立大学森林科学研究室では月に一度『森林科学セミナー』を行っています。
大学内外の方を講師としてお招きし、森林にまつわる様々なトピックを取り上げて議論して参りたいと考えております。
「森」や「自然」に興味のある方ならどなたでも自由に参加できる集いです。
参加費は無料ですので、ぜひ皆様ご参加下さい。
第183回 2025/10/28/ Tue/16:10~17:40
日本ではニホンジカ・イノシシ・クマ類に代表される野生動物が増加して人間社会や生態系の脅威となっている一方、世界では過剰な捕獲や土地改変により絶滅のリスクにさらされている種も多い。人と野生動物の適切な共存を図るには、動物個体数の増減をモニタリングして「増やしすぎず、減らしすぎない状態」を維持することが欠かせない。演者はこれまで、野生動物個体数の推定手法の開発について研究を進めながら、福島第一原発事故に伴う避難指示区域内外でカメラトラップによる長期観測を実施してきた。そして、2023年より世界規模のカメラトラップモニタリングネットワークSnapshot Globalの日本版Snapshot Japanを立ち上げており、今年度は全国60サイト以上、500台を超えるカメラトラップの観測網を整備している。講演では、カメラトラップの分析技術と広域観測網の両輪が野生動物のトレンド把握や、軋轢の問題解決につながるかについて議論したい。(深澤さん)
日本の森林に広く生息するツキノワグマは、特徴的な生態を持つ魅力的な種である一方、多くの地域で人との軋轢が問題となっている野生動物でもあります。ツキノワグマを適切に保全管理するためには、どれくらいの数で存在し、増えているのか減っているのか、といった現状を把握することが重要です。
しかし、ツキノワグマは直接観察が難しく寿命が長いため、個体の一生を通じた記録を知るには長い年月が必要となります。そのため、繁殖や死亡といった基本的な生活史情報が十分に明らかになっていません。
本セミナーでは、クマの歯を使って過去の繁殖履歴を復元する方法や、長期的に収集された標本や学術捕獲個体のデータを用いて推定した生活史パラメータ(産子数、死亡率など)について紹介します。(栃木さん)
連絡先
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