南大東島

南大東島は沖縄本島から太平洋側に360kmの位置に浮かぶ島です。

環礁が隆起してできた島で、島の周囲が高く中央部が窪んだ地形になっています。

1900年代の初頭に人が入植して以来、島はサトウキビ畑の島となっています。

目次

 行き方(船)

南大東島と隣の北大東島に行く方法の一つは船です。

大東海運が運航する船で、4,5日に1回程度で人と貨物を運びます。

那覇を夕方に出て到着は翌朝、約15時間の船旅になります。

南大東島は島の周囲が崖で囲まれている島で、南大東に着く大型の船の乗り降りや荷物の積み下ろしはすべてクレーンで行います。

※小さな漁船は、海岸をくりぬいて作った専用の漁港があるのでそこを利用しています。

このクレーンは有名で、これに乗ってみたいという理由で島に来る人もいるようです。

大東海運の貨客船だいとう(定員55名)

クレーンはこんな感じです

 行き方(飛行機)

南大東島には那覇空港から飛行機で行くこともできます。

琉球エアコミューターが運航する飛行機で、午前と午後の1日2便運航しています。

座席は両側2列の、小さなプロペラ機です。

船と比べて速い、揺れない、あまりスケジュールが変わらないのでとても便利です

難点は往復の場合でも船より運賃が2万円ほど高くなるで、学生の身分では乗るときを選びます。

※島民は割引があります。

琉球エアコミューターのボンバルディアDHC8-Q400CC(定員50名)

 地形

南大東島は約4,800万年前にニューギニアのあたりで誕生したと言われています。

環状にサンゴ礁が形成されたいわゆる「環礁」が隆起したことでできた隆起環礁の島です。

環礁が隆起したということで島の周囲は全体が崖で囲まれていて砂浜は全くありません。

島は周囲が高く(かつての環礁)、中央部が低く(かつての礁湖)なっています。

サンゴ礁に由来する石灰岩が堆積したカルスト地形の島です。

ドリーネと呼ばれるくぼ地や、鍾乳洞がたくさんあります。

島の中央部にはこうしたくぼ地に水がたまってできたたくさんの池(カルスト湖沼群)があることも南大東島の特徴です。

南大東島の地形に関してはこちらの日本語文献が参考になります。

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030761853.pdf

島で一番高い日の丸山展望台からの景色。左半分が島の周囲の高い部分、右半分が島の内側の低い部分。中央の林の連なりがその境界の斜面にある樹林帯で、島では「幕林(はぐりん)」と呼ばれている。

星野洞と呼ばれる鍾乳洞は一般公開用に整備されている。ここの鍾乳洞は本当に状態が良いらしい。星野さんの畑にあるから星野洞。ほかにも山下洞とか今村洞とか照喜名洞とかいう名前の鍾乳洞もある。

沖縄県の自然の湖沼の中で一番大きいものが南大東島の大池です。大池以外でもたくさん大きな池があり、島のガイドさんがカヌーで案内してくれるツアーもあります。

農業

島の畑のほとんどがサトウキビ畑です。

早くから大規模かつ機械化が進んでいることがこの島のサトウキビ栽培の特徴のようです(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001357.html

)。

毎年冬から春はキビ刈りの季節で、ハーベスターと言われる機械で刈ったサトウキビを、製糖工場まで運搬する大きなトラックが島中を行きかいます。

また、かぼちゃを作っている農家さんも多くいます。

近年は水耕栽培の野菜(リーフレタス、フリルレタス、水菜、小松菜など)が安定して作られることで、悪天候で船が止まった時でも安定して野菜が買えるようになっています。

とても便利です。

朝焼けとサトウキビ畑

漁業

マグロやサワラ、ナワキリと言った魚がよく獲られています。

正式な種名としてはマグロはキハダマグロ、サワラはカマスサワラ、ナワキリはクロシビカマスです。

島の周囲深い海で囲まれている南大東島ならではの魚です。

漁協では朝獲られたばかりの本当に新鮮なマグロを買うことができます。

とても弾力があり、一度も冷凍されていないのでまったく水っぽくもありません。

この島でマグロを食べてしまうと、もう他所ではマグロを食べられません。

他にも釣りや素潜りで、ミーバイ(ハタの仲間)、ガーラ(ロウニンアジやカスミアジなど)、ムロ(ムロアジ)、イラブチャー(ブダイの仲間)、イセエビ、アジケー(シャコガイ)などが獲られるようです。

マグロ解体の写真は載せにくいので、いただき物のイラブチャー。酢味噌和えと唐揚げでいただきました。(大きいまな板がなくて解剖用バットに入れています)

台風

南大東島の名前は台風情報でよく出てくるので、島の場所を知らない人でも名前だけは聞いたことがあるという人は多いです。

島の場所が沖縄本島よりはるか東の太平洋上ということで、まったく勢力の衰えていない、あるいは発達中の台風が接近します。

電線が切れたり、屋根が飛んだり、木が倒れたりします。

台風が来ると強い波と強風で、細かい波しぶきが島全体を覆うようになります。

これが畑や林の植物たちにつくと葉が茶色くなり塩害となります。

木々の実や花も全て落ちてしまうので、それらを食べるオオコウモリや鳥たちは、台風の後はとても貪欲になるようです

台風後、大きな折れたモクマオウが電線に引っ掛かっていました

強風でサトウキビも倒れたり折れたりします。多少倒れる分には後で持ち直すから大丈夫だが、折れてしまうと困るそう。台風の目が通るときは、目を通る前後で風向きが急に変わるのでサトウキビが折れてしまうらしい。

台風直後、自分で食べるつもりでバナナをつるしていたのにヒヨドリにけっこう食べられてしまいました(餌付けのつもりは全くなかった)。でもそれも台風後のしばしの間だけでした。こうした日々の観察にも最先端の研究テーマが転がっていまるのが生物学のいいところ。

プール

南大東島には砂浜がないうえ、岩場のすぐ外は外洋で深く流れも速くなっているので、気軽に海に入れる場所がありません。

そこで作られているのが海岸の岩礁地帯をくりぬく形で作られた「プール」です。

東側の海軍棒、西側の塩屋海岸、北側の本場海岸、の3か所にあります。

どのプールも満潮の時は完全に波にのまれる場所にあるので、プールの中には魚とか、貝とか、ナマコとか、エビとか、ウニとかサンゴとかいろいろな生き物がいます。

海軍棒のプールは一番深くて色んな生き物がいて楽しいです。

海軍棒プール

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