論文紹介

遺伝子にもとづくつがい相手選びを調べた研究です。DNA婚活でも使われるMHC遺伝子を調べています。配偶者選択という進化の基礎メカニズムを扱いました。

Sawada A, Ando H, and Takagi M (2020) Evaluating the existence and benefit of major histocompatibility complex-based mate choice in an isolated owl population. Journal of Evolutionary Biology, 33, 762-772

体の大きさにもとづくつがい相手選びを調べた研究です。大きいもの同士や小さいもの同士がつがうことを体サイズに関する同類交配といいます。この研究ではまず、ダイトウコノハズクには体サイズに関する同類交配の傾向があることを示し、次にその同類交配がどのようなメカニズムで生じているかを調べました。

Sawada A, Iwasaki T, Akatani K, and Takagi M (2022) Mate choice for body size leads to size assortative mating in the Ryukyu Scops Owl Otus elegans. Ecology and Evolution, 12, e9578

CTスキャンを使って頭骨の形状を解析した研究です。幾何学的形態測定という方法を用いています。南大東のリュウキュウコノハズクは他の島のリュウキュウコノハズクと比べて頭の形が違うようです。

Sawada A, Yamasaki T, Iwami Y and Takagi M (2018) Distinctive Features of the Skull of the Ryukyu Scops Owl from Minami-Daito Island, revealed by computed tomography scanning. Ornithological Science, 17, 45-54

リュウキュウコノハズクの雛の成長過程を調べた研究です。野生動物では意外と報告が多くない、お兄さんがいるときとお姉さんがいるときの成長の違いを示しました。

Sawada A, Akatani K, Takagi M (2021) Growth curves of Ryukyu Scops Owl nestlings, an owl species with asynchronous hatching and reversed sexual dimorphism. Ardea, 109, 1-13

オスとメスの体の大きさの違い（性的二型）に関する研究です。長期データから、性的二型の年変動を調べました。

Sawada A, Iwasaki T, and Takagi M (2020) Reversed sexual size dimorphism in the Ryukyu Scops Owl Otus elegans on Minami-daito Island. Ornithological Science, 20, 15 - 26

南大東島のリュウキュウコノハズクの遺伝子をもとに島内の遺伝関係（≒血縁関係）を調べた研究です。集団遺伝学の研究です。近くにいるものは遺伝的に近い個体であることがわかりました。つまり、近親交配が置きやすい状況にあることがわかりました。

Sawada A, Iwasaki T, and Takagi M (2018) Fine-scale spatial genetic structure in the Minami-daito Island population of the Ryukyu scops owl Otus elegans. Journal of Zoology, 307, 159-166

共著としてデータ解析に携わりました。塩基配列中に存在する挿入と欠失のデータを利用して、羽などから得られるDNAをもとに個体や血縁関係の特定ができるかを検討しました。

Kawasaki E, Wenjing D, Sawada A, Nakajima M, Momose K, Yoshino T, Amano T, Endoh D, Nakajima N, and Teraoka H (2022) Conventional Gel Electrophoresis-Resolvable Insertion/Deletion Markers for Individual Identification and Analysis of Population Genetics in Red-Crowned Cranes in Eastern Hokkaido, Japan. Animals, 12, 2293-2293

南大東島のリュウキュウコノハズクの個体数についての研究です。統合個体群モデルという手法で個体群動態解析を行いました。ダイトウコノハズクは近年減少傾向にあることがわかりました。

Sawada A, Iwasaki T, Inoue C, Nakaoka K, Nakanishi T, Sawada J, Aso N, Nagai S, Ono H, Takagi M (2021) Missing piece of top predator‐based conservation: Demographic analysis of an owl population on a remote subtropical island. Population Ecology, 63, 204-218

波照間島のリュウキュウコノハズクの個体数と性比についての研究です。サイト占有モデルと標識再捕獲法と呼ばれる手法を用いました。波照間島のリュウキュウコノハズクの個体数が約150個体で、オスがメスよりも多くいることがわかりました。

Sawada A (2022) Estimation of condition dependent dispersal kernel with simple Bayesian regression analysis. Ornithological Science, 21, 245-251

南大東島のリュウキュウコノハズクが巣立ち後どこに定着したかのデータを解析しました。メスはオスよりも遠くへ、遅く巣立った個体は早く巣立った個体よりも遠くへ、移動して定着していることがわかりました。野外鳥類の研究ではあまり用いられていない解析手法を用いてその有効性も示しました。

Sawada A, Iwasaki T, Inoue C, Nakaoka K, Nakanishi T, Sawada J, Aso N, Nagai S, Ono H, Murakami R and Takagi M (2022) Estimation of population size and sex ratio of Ryukyu Scops Owl Otus elegans on Hateruma Island. Ornithological Science, in press

南大東島のリュウキュウコノハズクの巣内の昆虫を、昆虫を専門としている研究者の方とともに調べました。これまで南大東島で記録のなかったハネカクシが発見されました。

橋爪拓斗, 澤田 明, 白岩 颯, 金杉尚紀 (2021) 南大東島でリュウキュウコノハズクの巣から得られたクロズマルコガシラハネカクシ. Pulex, 100, 885-886

南大東島のリュウキュウコノハズクの巣内の昆虫を、昆虫を専門としている研究者の方とともに調べました。これまで南大東島で記録の無かったガが発見されました。

屋宜禎央, 澤田 明, 白岩 颯, 金杉尚紀 (2022) 南大東島のリュウキュウコノハズクの巣から羽化したヒロズコガ科2種. 蛾類通信, In press

波照間島で初となるズグロミゾゴイの繁殖記録です。この巣をタイムラプスで長期的に撮影したところ、日の出とに日の入り前後と日中に給餌を行っていることがわかりました。ズグロミゾゴイは日の出とに日の入り前後と夜間に活動すると言われることが多いので、今回の記録は本種の生態解明にとって重要な結果と言えます。

Sawada A (2023) Breeding record of Malayan Night Heron Gorsachius melanolophus on Hateruma-jima Island. Ornithological Science, In press

南大東島における、ある昆虫の記録が掲載予定です。

澤田 明 (2023)  琉球の昆虫, In press

波照間島における、ある昆虫の記録が掲載予定です。

澤田 明 (2023)  琉球の昆虫, In press