この度は、第70回筑駒文化祭『EVERGREEN』のオンライン展示にお越しいただきましてありがとうございます。
本校の鉄道研究部では、中学生が中心となって旅行や模型作りなどを行っています。しかしながら、昨年度より長期間の旅行は満足にできず、また文化祭の準備についても制約の多い中での活動となっています。長年受け継がれてきた鉄研の伝統を後輩たちにどう受け継ぐべきか、苦心しているところです。
さて、今年のテーマは「TKライナー」ということで、「私鉄の有料特急」について紹介しようと思います。今回紹介する鉄道会社は、京成・小田急・西武・京王など、皆さんにも馴染みの深いものばかりです。今回は、私鉄各社の顔ともいえる「私鉄有料特急」を切り口に、首都圏の私鉄会社の特徴と魅力について迫っていこうと思います。
少し長くなりますが、どうぞ最後までお付き合いください。
各社の解説に移る前に、「私鉄有料特急」の定義について軽く確認しておこう。
本誌では、私鉄有料特急を『追加料金を払って乗車することで、速達性や快適性の面で他の列車よりも高いサービスを受けられる列車』と定義している。
例えば、小田急電鉄の「特急ロマンスカー」や東武鉄道の「特急スペーシア」などは、通常の運賃に加えて特急料金を払わなければ乗車できない。これが「有料特急」だ。
また、京王電鉄の「京王ライナー」など、特急と明記されてはいないものも、有料特急として扱える基準を満たしているものは全て「特急」とひとくくりにして紹介している。
(小田急が運行する特急ロマンスカー)
一方、京王電鉄や東急電鉄では「特急と名のつく列車が運行されているが、こちらの「特急」は他の「各停」「急行」と同じように、通常の運賃だけで乗ることができるため、「有料特急」には含まれない。
(西武鉄道発行の特急券)
私鉄各社にとっての有料特急は、単に追加料金を徴収して増収の図るためだけの手段ではない。有料特急は各社の最高峰にあたる列車であり、その鉄道会社の速さ・サービスの良さを象徴する存在だ。
そのため、私鉄各社は己の威信をかけて有料特急の改良に取り組むとともに、有料特急の宣伝をさかんに行って自社のイメージ向上を狙う。言い換えると、私鉄有料特急は各社が自信をもって立てた顔のような存在であり、これを紐解くことで各鉄道会社の特徴を掴むことができるのである。
なお、こうした私鉄有料特急は全国各地で運行されているが、今回は我々に馴染みの深い首都圏の列車を中心に紹介していく。首都圏各地の私鉄有料特急を比較することで、それぞれの鉄道会社がもつ特徴と、首都圏の鉄道の未来について考えていこう。