10月17日(月)文学部グローバルプロジェクト 

2022年度第1回講演会を開催しました

10月17日(月)3時限目に白山キャンパス井上円了ホールにおいて、2022年度文学部グローバルプロジェクト第1回講演会を開催しました。講師に慶應義塾大学文学部の堀田隆一教授をお招きし、「英語にはたらく求心力と遠心力─世界英語(World Englishes)のルーツを探る」というテーマでご講演をいただきました

ご講演は現在グローバルな共通語となっている「英語」に注目し、英語史の観点から現代の「世界英語」(World Englishes)現象を読み解くというものでした。まず堀田先生は、私たちが学ぶ文法的には間違いとされている英語が、米国のメディアなどで実際に用いられている事例をあげられ、何をもって「標準英語」とみなすかと問いかけて下さいました。そして英語は現代に限らず、1600年にわたる英語の歴史上、昔から常に多様であり、各地で方言化した様々な英語が用いられてきたことを豊富なデータとともにお示しくださいました。

現代では英米豪加で用いられる「標準英語」(Standard English)がある一方で、インドやナイジェリア、カリブ等で用いられる英語 (Indian English, Nigerian English, Caribbean English) のように様々な英語が用いられるようになっています。世界共通語として、いわばコミュニケーションのツールとしての英語は「標準英語」として一つに集約した方が利便性は高いものの(求心力)、実際問題として英語が世界各地で展開し、それぞれ独自の英語が分化する方向にある(遠心力)という逆方向のダイナミズムが働いているのが現状だというご指摘をいただき、それに付随する問題について先生と参加した学生との間で意見交換が行われました。


講演会は英米文学科の学生・教員をはじめ、文学部国際文化コミュニケーション学科や他学部の学生にもご参加いただきました。ご講演後の壇上で有志の学生二名と堀田先生との対談が行われる間に、参加者からはコメントスクリーンを通じ、あるいは挙手しての質問がよせられ活発な質疑応答が行われ、盛況のうちに講演会が終了しました。

 

 

講師紹介

慶應義塾大学文学部教授(英米文学専攻)。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程満期修了、英国グラスゴー大学英語学研究科博士課程修了 (Ph.D.取得)。専門は英語史、歴史言語学。とりわけ中英語の屈折形態論、英語の綴字史、言語変化理論に関心がおありです。大学(院)では、英語史を中心とする授業を開講。著書に『英語の「なぜ︖」』に答えるはじめての英語史』(研究社、2016 年)。「hellog〜英語史ブログ」(http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/)などを通した英語史のアウトリーチ活動にも力を入れておられます。