10月21日(金)東洋大学トップリーダー連携教育支援プログラム 

文学部第2回講演会を開催しました


 

講師:南條史生氏 (森美術館特別顧問、キュレーター)

題目:「アートとは今どの様なものか」

日時:2022年10月21日(金)14:45〜16:15

場所:井上円了ホール(5号館)

主催:文学部

 講師の南條史生氏は、日本を代表する世界的なキュレーターで、ヴェネツィア・ビエンナーレなど世界のビエンナーレや国際展の総合ディレクターを歴任してきたが、日本では森美術館立ち上げに参画し、2006年から2019年まで館長を務め、現在は特別顧問となっている。2016年にはフランス芸術文化勲章オフィシェ章を受賞した。その経験に基づいた講演は、アートを壮大なスケールで歴史的・グローバル的に鳥瞰して、現代のアートの有り様を示すものだった。


面白かったのは、西洋のアートが時代と共に変わってきた中で、マルセル・デシャンプがトイレを置いただけの作品で、何でもアートとなりうることを示したとしたことなどが、アートの歴史の大きな転換点となったということだった。またミニマリストの彫刻家ドナルド・ジャッドのようなアートが普遍的なメッセージを持つことを目標としたのに対して、現代のアートはこれまで無視されてきた民族・文化・言語の特異性にどっぷり浸かったダイバーシティを表に出すものとなった、ということも興味深い。アートの「今」を示すことによって、私たちの時間的・空間的位置を実感させてくれた講演だった。

聴衆の学生からも興味深い質問や意見が出て、実りある講演会だった。