【報告】5月25日(木)文学部グローバルプロジェクト 2017年度第1回講演会「インターカルチュラル(文化間)能力とは何か?」を開催しました

文学部グローバルプロジェクト 2017年度第1回講演会「インターカルチュラル(文化間)能力とは何か?~カナダでの日本語教育の実践から~」を開催しました

5月25日(木)、白山キャンパス6号館2階 6209番教室において、文学部グローバルプロジェクト2017年度第1回講演会を開催しました。

今回は、国際文化コミュニケーション学科が中心となり、カナダの最西端に位置するブリティッシュコロンビア州にあるヴィクトリア大学において30年にわたり日本語教育に携わっておられる野呂博子准教授(教育学博士)をお迎えし、「インターカルチュラル(文化間)能力とは何か? ―― カナダでの日本語教育の実践から」というテーマでご講演いただきました。

講演のテーマは「文化間能力 Intercultural Competence」。日本においては「異文化理解」力という呼び方をされることも多い言葉ですが、野呂准教授は「文化間」、つまり、互いに異なる文化基盤を持つ人間の間の、という視座を強調しながら、教師および個人としての自分自身の体験をもとに、「文化間」能力とはいかなるものなのか、また、それを伸ばすにはどのようにしたらよいのか、ということについて話され、外国語学習が文化間能力育成において果たす重要な役割とその際の課題についても触れられました。野呂准教授が一貫して強調されたのは、グローバル化が進行する今日の世界において文化間能力を伸ばすことはますます重要になってくるが、そのためには、単に語学のスキルや知識を蓄積するということのみならず、自分とは異質な存在である他者を理解しようとする開かれた柔軟な精神と、他者との触れ合いによって自己を対象化しようとする態度が必要であるということです。講演においては、ヴィクトリア大学での日本語教育の経験、カナダという異文化に飛び込んで遭遇したさまざまな経験が、英語と日本語を交えながら生き生きと語られました。また、脚本家の平田オリザ氏との連携により兵庫県の城崎温泉にヴィクトリア大学の学生を引率して行われた研修の体験談も、楽しい画像資料とともに紹介されました。

英語・日本語が自由に入り混じる本講演は、英語コミュニケーションに興味を持つ学生にとっても、日本と日本文化を世界から考えるという問題意識を持つ学生にとっても興味深い内容で、講演後には、英語・日本語両方で多数の質問も出て、活発な質疑応答が繰り広げられました。

【講師】 野呂 博子 氏 : カナダ ヴィクトリア大学准教授(教育学博士)

専門は日本語教育、社会言語学、言語社会学、応用言語学、カリキュラム開発、異文化間教育。

ヴィクトリア校友会優秀教育賞受賞。国際表現言語学会事務局長。

主要著書『ドラマチック日本語コミュニケーション』 (共編、ココ出版)は国際交流基金でも紹介されている。