卒業生の今

竹山聡志さん -2015年度第2部教育学科卒業

Q現在はどういう仕事をしていますか?

「NPO法人高卒支援会」という不登校やひきこもり、中退者などの若年層と呼ばれる 25 歳くらいまでの児童生徒の社会復帰を支援する団体の理事長をしています。不登校児童生徒のために、居場所作りとしてフリースクールを運営していて、心身ともにすこやかな状態に戻って、社会に出てもらう準備を手伝っています。

Q 高卒支援会では、フリースクール以外にどんな活動をしていますか?

通信制高校も運営していて生徒が 30 名、フリースクール には小中学生が 8 名います。さらにひきこもりの支援もして います。「アウトリーチ支援」という家から出られない 8 名の 子の自宅訪問もしています。常勤スタッフは 4 名で、大学 生・高校生、社会人のボランティアが 20 名います。

Q高卒支援会をはじめたきっかけは?

僕自身は二代目の代表なんです。先代が不登校のための学習塾をやっていて、通信制高校の問題が報道されはじめた頃、通信制高校に舵を切りました。私は以前から大手の塾で教えていましたが「半年でさようなら」という希薄な人間関係がいやで、長い目で関われる仕事をと思って通信制高校をはじめました。「毎日楽しく通えて、友人と遊ぶことや勉強、 趣味など全力で取り組めるものを探す」場をめざしています。

Q卒論ゼミではどういうことをやりましたか?それがどう今につながっていますか?

自分は実は大学が二つ目なんです。進学校出身というプライドが高かった現役時代、不本意で入学した大学に行けなくなった。塾で働いて大学をやめて、そして働きながら東洋大学に入り直しました。進路についての問題意識が自分の中にあって、卒論のテーマにキャ リア教育を考えていたんです。
当時 24 才。仕事をしながらなので、2 部(イブニングコース)の方がやりやすかったです。インターンシップを現在のNPO で昼間に活動して、土日は大手塾で働きながら両立しました。2 部の授業をとっていて、二年のゼミで「ディスカッションがメインで、討論したい人が来て下さい」というとがった紹介だったこの桂ゼミに入りました。卒論は、進路指導についてメインに書きましたが、今の言葉だとキャリア教育です。村上龍 の『13 才のハローワーク』という本をすすめられて、「進路選択は誰のものなのか」というタイトルで卒論を書きました。高校の先生や親に大学に行けといわれて、主体的なものがなくレ ールに載せられるということへの疑問をもって、進路指導に関する論文に取り組みました。

Q.大学の学びは現在につながりましたか?

はい、現在の仕事に生きていて、例えば、国家資格の「キャリアコンサルタント」に一発で受かって(3  割の合格率なんですけど)、生徒の進路指導のためにも、例えば大学進学率とかそういう専門知識が必要だと気づきました。卒論を書いて色々勉強したからそういう思考に なったと思いますが、生徒の進路指導に役立っていると思います。

Q 教育学科の後輩にメッセージをお願いします。

これは社会人にならないとわからない感覚だと思うのですが、大学 3 回目行きたいくらいで、大学は楽しかったです。授業をほどほどさぼったりアルバイトしたりしていると思いますが、4 年間はあっという間なので、楽しく充実した 4 年間にしてほしいです。自分の場合、やりたいものが自分の人生に結びついているものだったので、特に充実したと思います。3   年間所属してゼミはほとんど休んでいないし、目標とか目的とかできると全然違うなって思います。東洋大は明らかに 1 つ目の大学より、先生が優しくて面倒見がよかったです。

Q,目標、目的っていうのは、どのように出てきました?

「転機」っていうのがどこかのタイミングであって、自分なりにその転機をいかに逃さずに昇華させていくかっていうのが大事だと思います。自分は東洋大と、塾という教育の仕事についたこと、高卒支援会でインターンをはじめたことがつながって、転機になりました。統一したテーマで教育っていうのが転機です。

インタビューを終えて:

家で一人で課題を勉強するという通信制高校のイメージとは違い、「通えるスペース」をつ くり、生徒たちで行事を運営したり責任をもって何かをすることで「自律していく場」をつくる、という理想を語ってくれました。大学での学びと今の仕事がつながっているという言葉を聞かせてもらい、私たち教員にも大変嬉しいことでした。 卒業生のみなさんの活躍をお祈りしています。