北原 妙子ゼミ

担当教員:北原 妙子(きたはら たえこ)教授

温故知新

 本学の英米文学科は伝統的なプログラムを提供し、英文学、米文学、英語学を三本の柱とします。そして、卒業論文は4年間の学業の集大成です。私のゼミでは、米文学を専攻する方が所属します。扱う作家は19世紀の古典的といえる作家・作品が主ですが、20世紀の作家・作品を扱う場合もあります。実例を挙げますと、Hawthorne, Poe, Melville, Stowe, Alcott, Twain, James, Chopin, Anderson, Bradbury, Le Guin, Rothなどの作家がいます。4年間の学びを通じ、特に演習(セミナー)を履修して、アメリカの小説に関心を持ち、それを深めたいという方を歓迎します。

 ゼミでは、年度はじめに卒論のテーマ設定し、それを報告してもらいます。また、先行研究調査、書誌作成の基礎を早い段階で学びつつ、卒論を短い分量からある程度の長さのものを実際に執筆していきます。ゼミでは類似する作品を扱う作家ごとにグループを作り、各人が報告を行うと同時に、お互いに議論をかわし、またゼミ全体の参加者からも質疑応答を行います。

 はじめは手探り状態が続きますが、少しずつ長い文章を書くことにも慣れて12月に卒業論文を完成させる頃には、自分の意見を筋道立てて説明することも容易になってきます。本ゼミのハイライトは、卒論提出後の報告会です。年度はじめは戸惑い不安げな様子の方も、それぞれ自信をもって自分の仕事を振り返り、またお互いに生き生きと意見交換が出来るようになるのです。指導教員として一番嬉しい瞬間です。

 このように本卒論セミナーでは、皆さんの卒論作成にあたり私は水先案内人となりますが、論文作成という「航海」はご自分の力で乗り切る必要があります。途中で天候が変わったり、進路を見失いかけたりするかもしれません。ですが、書いて、書いて、書き切ることで、新たな視界が開け、あなただけの航海を終える。この達成感は、経験した方のみが味わえる境地です。大変なように思えますがこれを成し遂げれば、卒業後の社会人生活、そして人生において一つの大きな節目となり、自信にもつながるでしょう。

 そして古典と呼ばれる作品を学ぶ中では、それぞれの方が日常的に薄々思っている疑問や謎に対する答えが見つかり、現代と古典が結ばれる瞬間が来るのです。温故知新を実感できる醍醐味ではないでしょうか。一生に一度、全力で取り組む絶好の機会を存分に楽しみ、学びを深めて下さい。それこそが学業の集大成となるゆえんなのです。