文学部の外国語教育「ドイツ語」
文学部の外国語教育「ドイツ語」
ドレスデン(ドイツ)2025年3月
ザンクトガレン(スイス)2023年9月ドイツスイス研修旅行
1.ドイツ語とドイツ語圏文化
ドイツと聞いて思い浮かぶものには何がありますか?
バウムクーヘン? ビールにソーセージ? ブンデスリーガ? ノイシュヴァンシュタイン城? BMW? ベルリンの壁? グリム童話とメルヘン街道? 黒い森? 南ドイツのネルトリンゲンが『進撃の巨人』の舞台(らしい)ということは、よく知られていますね。また、「葬送のフリーレン」の登場人物名もドイツ語からきているようで興味深いですね。
ドイツだけでなく、ミュージカル『エリザベート』ゆかりのオーストリアや、『アルプスの少女ハイジ』の故郷スイス、『ルパン三世カリオストロの城』のモデルとなった(らしい)リヒテンシュタインでも、ドイツ語が使用されています。
さて、ドイツ語は難しいという先入観にとらわれていてはもったいないです。ドイツ語は、ルールはちょっと多めではありますが、実は「例外がない」というところに良さがあります。いわゆるローマ字読みの発音は、日本人向きとよく言われます。また、ドイツ語は、英語と同じゲルマン語派(西ゲルマン語群)に属していますので、英語と比較しながら学ぶと、相乗効果も得られるでしょう。つまり、ちょっとした「がんばりどころ」を越えれば、あとは楽しい時間になっていくようです。
グリム童話をドイツ語で読んでみませんか? 中世の面影残るファンタジックでメルヘンチックなドイツの街を旅してみませんか? 短期留学や交換留学制度もありますので、是非ドイツに行って、ドイツ語を使ってみて下さい。
2.ドイツ語学習の流れ
「文学部横断科目」には、以下の科目が配置されています。教材はクラス(学科)や担当教員によって多少異なります。
・1年次(1・2ゼメスター):ドイツ語の基礎(独検4~5級)
≪ドイツ語ⅠAA≫≪ドイツ語ⅠAB≫ 初級文法
ABCの発音から接続法(英語の仮定法)の直前まで、ドイツ語初級文法を、春学期・秋学期の2セメスターを通して学びます。「ドイツ語の基本的な仕組みを理解する」ことが、到達目標となります。「ドイツ語ⅠB」系統とも連携しています。
≪ドイツ語ⅠBA≫≪ドイツ語ⅠBB≫ 初級コミュニケーション前半
「ドイツ語ⅠA」系統とも連携して、ドイツ語で歌ったり映画を見たり、ドイツ語圏の文化も学びながら、実践的なドイツ語力を身に付けましょう。到達目標は、「ドイツ語を(少なくとも)聞き取れるようになる」ことです。
・2年次(3・4ゼメスター):初級ドイツ語の実践(独検3級)
≪ドイツ語ⅡAA≫≪ドイツ語ⅡAB≫ 初級リーディング
1年次に学んだ知識を活かした、初級程度のドイツ語リーディングの授業です。メルヘン、小説、エッセイ、各種論文などを読みながら、ドイツ語圏文化への理解を深めていきます。「簡単なドイツ語文章を、辞書をひきながら読めるようになる」ことが到達目標です。
≪ドイツ語ⅡBA≫≪ドイツ語ⅡBB≫ 初級コミュニケーション後半
聞き取れるようになったドイツ語でしっかり話せるようになるのが、この授業の目標です。主としてドイツ語圏の文化・風習・日常生活・旅行などをテーマとした会話教材を使用し、「ドイツ語でこまやかな自己表現ができるようになる」ことが到達目標です。現在形だけでなく、過去の事柄もしっかり表現できるようになりましょう。
・3,4年次(5・6・7・8ゼメスター):中級ドイツ語(独検2級以上)
≪ドイツ語講読と文化A≫≪ドイツ語講読と文化B≫ 中級リーディング
1,2年次で学んだことを生かし、ドイツ語の文学作品や記事を独力で読むための基礎力を養います。「中級程度のドイツ語文章を読めるようになる(書けるようにもなる)」ことが到達目標です。ドイツ語圏への短期留学や独検を目指している人はぜひ受講してください。
≪ドイツ語コミュニケーションと文化A≫≪ドイツ語コミュニケーションと文化B≫
中級コミュニケーション
1,2年次で学んだことを生かし、「ドイツ語の中級レベルのコミュニケーション能力を養う」ことを目的としています。自己表現だけでなく、与えられたテーマについて意見交換をするためのコミュニケーション能力を養います。聞く力と話す力だけでなく、深く考える力を必要とします。可能性や将来の展望などを表現できるようになりましょう。
3.プラスの授業
もう少しドイツ語やドイツ文化に触れてみたいという学生のために、国際文化コミュニケーション学科では「専門科目」の中に、それ以外の学科では「文学部横断科目」の中の「他学科開放科目群」に、以下の授業を用意しています。プラスの学習に役立ててください。
・1年次以上
≪ドイツ文化・文学研究A≫≪ドイツ文化・文学研究B≫
・2年次以上
≪ドイツ語リーディングⅠ≫≪ドイツ語で学ぶ異文化交流Ⅰ≫
・3年次以上
≪ドイツ語リーディングⅡ≫≪ドイツ語で学ぶ異文化交流Ⅱ≫
4.ドイツ語検定試験のすすめ
外部検定試験を利用した単位取得も可能です。検定試験資格は留学するときに必要となりますし、就職活動時の自己アピール(大学時代に何に力を入れてきたか)に役立つという声も聴かれます。ぜひチャレンジしてみて下さい。
・ドイツ語技能検定試験(Diplom Deutsch in Japan)
通称「独検」といわれる検定試験です。ドイツ語学文学振興会が運営しています。どちらかというと最初はこちらをお勧めします。https://www.dokken.or.jp/
・ゲーテ・ドイツ語検定試験(Goethe-Zertifikat)
ドイツ連邦共和国外務省からも支援された「ゲーテ・インスティテュート」の検定試験です。ドイツの大学への長期留学や、ヨーロッパ企業への就職を目指す場合などにお勧めします。ドイツの大学で学ぶためのTest-DAFなどもあります。 https://www.goethe.de/ins/jp/ja/spr.html
5.NHKなどのテレビ・ラジオ講座のすすめ
4月に始まって3月に終了するNHKテレビ・ラジオ講座は、初級編や応用編、文化に触れる「旅するドイツ語」など、多岐にわたっています。東洋大学教員が講師をしているシリーズがよくありますので、チェックしてみて下さい。
6.辞書・参考書など
ドイツ語の辞書は、初学者レベルのものから生涯利用できるものまで多数刊行されています。それぞれに一長一短があります。ここでは、主な辞書のタイトルと出版社のみ挙げるにとどめます。どの辞書が自分に合っているか、担当教員に相談してみるとよいでしょう。
・初級~中級向き
「新アポロン独和辞典」(同学社)、 「アクセス独和辞典」(三修社)
「プログレッシブ独和辞典」(小学館)、「クラウン独和辞典」(三省堂)
「エクセル独和辞典」(郁文堂)、 「パスポート独和辞典」(白水社)
「コンサイス独和辞典」 (三省堂)
・中級~上級向き
「デイリーコンサイス独和辞典」(三省堂)、「新現代独和辞典」(三修社)
「マイスター独和辞典」(大修館)、「フロイデ独和辞典」(白水社)
「独和辞典」(郁文堂)、 「独和中辞典」(研究社)
「独和大辞典」(小学館)
7.ドイツ語圏への研修旅行
文学部では不定期ではありますが、ドイツ語圏への研修旅行を実施しています。また他学部(法学部、経済学部、国際観光学部等)が実施しているドイツ研修旅行に、文学部の学生が参加することもできます。このような研修旅行参加を、語学学習のモティベーションの一つにしてみてはいかがでしょうか。
文学部が実施した研修旅行の報告書