2024年12月下旬から2025年1月上旬にかけて実施した、理工学研究科アンケート結果と理工学研究科長のコメントを掲載します。
理工学研究科が実施する「教育・研究等改善アンケート」は、学部学生向けの授業評価とは視点を変え、研究指導等について、学生満足度評価の色彩を強めた設問により、研究指導体制や研究教育環境の改善に資する項目にしている。協力いただいた大学院生には感謝したい。教育・研究等の改善を高めるための自己点検活動・FD活動の一環としてここに公表する。
アンケート調査は、従来、教員による配票・回収により実施していたが、昨年度に引き続き、今年度もGoogle フォームを利用した。
理工学研究科生体医工学専攻は2024 年4 月から朝霞キャンパスへ移転したため、調査対象から除いています。
調査期間は2024/12/23~2025/1/15 で実施した。
博士前期課程については、在籍者208 名(2024/10/1 時点)のうち、141 名(回収率67.8%、昨年度60%)の回答を得た。
博士後期課程については、在籍者14 名(2024/10/1 時点)のうち、13 名(回収率92.9%、昨年度81.3%)の回答を得た。
①大学院進学情報提供
・博士前期課程への進学理由の第1 は「研究内容への関心」、第2 は「就職に役立つ」で、昨年度と順位に 変更はない。博士後期課程は「研究内容に対する関心」「担当教員に教わりたい」の順となっている。
・「大学院進学を考えるのにどのような情報が一番役立ったか」との問いでは、「研究室教員の紹介」と回答している者が一番多く、博士前期課程58 名で、教員の影響が大きいことが分かる。
・大学院進学決定時期は、学部4 年次が一番多く、続いて3 年次で、昨年度と順位が入れ替わっている。今後も研究科・専攻別進学説明会・相談会に加えて、各学科の進級ガイダンス、教員から個別の大学院進学説明会を継続して実施して行く。
・学部生に大学院の教育研究活動の魅力を伝えるイベントとして、今年度も理工学フォーラムを対面とオンラインの併用で開催した。主な内容としては、本研究科の若手教員による「大学院の研究活動とキャリア」と題した講演会、修了生による「先輩からのメッセージ」として、大学院に進学したことのメリットについて講演をしていただき、現役大学院生からは自身の研究活動に関して紹介があった。今年度も多くの保護者に出席していただき、親子で大学院進学を考える1 日となった。参加者は全体では133 名で昨年度と比べって若干減少した。この取り組みは、来年度以降も理工学研究科の教育研究活動の理解を深めてもらうイベントして、参加者アンケート結果を参考に内容を充実させて継続的に開催して行く予定である。
・2015 年度から学部と大学院の連携を強化する目的で導入した大学院開講科目履修制度(先行履修)では、2024 年度春学期は延べ人数58 名(昨年度112 名)、秋学期は延べ人数91 名(昨年度157 名)であった。昨年度と比較して延べ人数が120 名減少しているが、一つの要因としては生体医工学専攻の学生が朝霞キャンパスへ移転したことがある。
②研究指導に関する評価
・博士前期課程の研究指導に対する評価では、教員は「たいへん意欲的だった」と回答した者が115 名おり、知的満足度を得られたとの高い評価である。また、「何を一番身につけることが出来たか」との問いでは、38 名が「専門的知識」、続いて30 名が「プレゼンテーション能力」と回答している。
・博士後期課程の研究指導についても、ほとんどの者が「たいへん意欲的だった」と回答している。
③研究室等の施設環境
・研究室・実験室の機器やPCの充実について、「充実している」と「まあ充実している」と回答した者が博士前期課程と博士後期課程で128 名おり、満足している様子である。また、「どちらかといえば不足している」「不足している」と回答した者も15 名いた。指導教員が研究室ごとに事情を把握し、適切に対応できるようにしている。
④研究発表活動支援
・博士前期課程で88 名(昨年度86 名)、博士後期課程では9 名(昨年度10 名)、が学会発表を行っている。
・「学会参加費用(交通費・宿泊費)」が研究発表奨励金で賄えなったと回答した者が、博士前期課程と博士後期課程で55 名いた。また、支援額が少なくて学会参加を辞退した者も23 名いた。国内での物価上昇、海外での研究発表では円高の影響により費用面で負担が大きくなっている可能性がある。
・学会発表参加者から、「さまざまなコメントがもらえた」「さまざまな人と知り合えた」との感想に対し、今年度は発表を行なっていないと回答した者が博士前期課程と博士後期課程で62 名いた。
・論文採録数は、博士前期課程では14 名(昨年度19 名)、博士後期課程では6 名が「実績あり」と回答している。受賞歴も博士前期課程と博士後期課程で13 名(昨年度9 名)であった。
⑤在職やアルバイトについて
在職やアルバイト日数について、博士前期課程では週に5 日以上が1 名(昨年: 4 名)、4 日が5 名で、勤務時間をフルタイムと回答した者が20 名いた。また博士後期課程でも10 名がアルバイトを行っており、そのうちフルタイムが5 名であった。学費や生活費の捻出に必要な対応かどうか確認できていないが、研究活動に支障をきたしていないか詳細を確認する必要がある。
⑥TA について
今年度、博士前期課程の院生で75 名がTA を担当している実態があり、17 名がやや負担を感じていると回答している。TA 担当については、依頼する教員と大学院生側の充分な調整が必要である。教育補助を担当することは研究者・教育者としての素養を養うことにも役立つため、前向きに取り組む姿勢を期待している。
⑦総合評価
大学院に在籍していることに対する満足度について、回答者からの評価(とても満足、満足、まあ満足の合計)は136 名(博士前期・博士後期課程88.3%)であるが、不満(あまり満足していない)と回答した者も4 名(博士前期)いた。それぞれ個別の評価内容を踏まえて、今後も出来る限り改善に努めていきたい。
以上
2025年3月
理工学研究科長 松本 潔