実践事例6

間違いを受け入れ、いっしょに楽しむ

ー温かみのある人間関係作りを目指してー

横山史子 Yokoyama Ayako

千葉県 船橋市立坪井中学校 教諭

教材名:「注文をまちがえる料理店」(『新訂 新しい道徳2』東京書籍)

ねらい:「注文をまちがえる料理店」に集まった人々の思いを考えることを通して、寛容の心をもって個性や立場を尊重し、お互いを認め合うことの良さを見出していこうとする道徳的心情を養う。

内容項目:B(9)相互理解、寛容

実際の映像から伝わる雰囲気を見ることで、感情移入しながら、自分ごととして考える

 日常生活の中で、互いに気持ちよく生活するためには、それぞれのちょっとした心がけが必要です。今回使用した教材は、そのことをふと気づかせてくれる内容だと感じています。学級、学校、家庭、地域社会と生徒たちを取り巻く環境はさまざまです。共通しているのは、人と関わり合いながら日々生活しているということです。自分と他者は、物事の捉え方や考え方、感じ方も異なり、異なるからこそ、お互いに補い合って生活しています。ですが、互いの違いを受け止め、認めることの大切さを頭では分かっていても、行動に移すことはなかなか難しいものです。

 今回の授業では、「注文をまちがえる料理店」というインパクトのある教材名から生徒の興味を誘い、より考えを深める一助として実際のレストランやイベントの様子の映像を使用しました。実際の映像から伝わる雰囲気を見ることで、生徒も感情移入しやすく、自分ごととして考えられている様子が、ポートフォリオからも伺うことができました。授業に向けて事前のアンケートを行う際に、認知症についてどの程度知っているのか生徒たちに聞いたところ、詳しく理解している生徒は多くありませんでした。身近に認知症を患うかたがいない環境下では、苦しさやつらさの部分が見えづらくなっていることもあるため、展開の前段では実際に認知症を患う夫婦と企画者の会話を発問に組み込み、さまざまな人の思いを考える場面を設定しました。

 映像を効果的に使用するための布石を発問として入れることで、展開の後段で使用する「当日のイベントの様子」を見た際に、ぐっとねらいに迫ることができるのではないかと考えました。