実践事例2

心が変われば 行動が変わる

ー生徒の姿から実感した授業ー

広島県 教員

【専門家が回答】空港、高層ビル、駅、海…「清掃」のプロたちSP

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」第254 回2015年2月2日放送(新津春子さん出演部分)※有料

ねらい:働くことの喜びを通じて、生きがいや社会とのつながりを実感し、社会に貢献しようとする道徳的実践意欲を養う。

内容項目:C(13)勤労

映像を使用することで、教室にいながら実際に体験しているような状態に近づける

 「心が変われば行動が変わる」。それを実感できた授業でした。TT(Team Teaching)で実践した本授業は、導入でまず自分たちが普段、学校や家庭でやっている役割・仕事を挙げ、「その仕事を適当にやるとこんな感じ。心を込めてやるとこんな感じ。」という違いを考えます。展開前半では、世界一の清掃人ともいわれる新津春子さんの映像を見ながら、「心を込めて仕事をする」ことについてみんなで考えていきました。展開後半では、最初に挙げた「自分の今の役割・仕事」のうち、「心を込めてやらなければならない仕事」を一つ選び、具体的にどのようにしようと思うかをワークシートに書いて交流しました。終末に授業者の担任の先生から「みんなの心が込もった仕事で、クラスが成り立っている。」と、言葉をかけられた生徒はうれしそうな様子でした。生徒は振り返りで「心を込めて仕事をすると、人と物が笑顔になれるんだと気づいた。」「(今日から私は)目配り・気配り・心配りをする!愛情を込める!」と書いていました。この日の清掃では、新津さんの掃除の仕方をまねしたり、普段は見えない裏の部分まで丁寧に掃除をしたりする生徒の姿を見て、担任の先生が思わず写真を撮影していました。

 映像の効用はイマーシブ(没入感)にあると思います。映像を使用することで、文字情報だけではイメージをもちにくい生徒でも、教室にいながらあたかも実際に体験しているような状態に近づけることが可能です。ただし、映像を見て感想を書いて終わり! では生徒の心に響きにくいと思うので、気づいたことや考えたことを、できるなら教師もともに、共有したり議論したり価値づけあったりすることこそ、道徳授業の本質なのではないかと感じています。