実践事例4

映像化したパラパラ漫画を

教材として活用した実践事例

林 輝彦 Hayashi Teruhiko

敬愛大学 客員教授

鉄拳「家族のはなし」

ねらい:どんなことがあっても子供を温かく見守る親の姿を通して、家族に対する敬愛の念を深めるとともに、家族の支えを土台として自らの可能性を広げていこうとする道徳的実践意欲や態度を養う。

内容項目:C(14)家族愛、家庭生活の充実

最後まで温かく見守っている両親の姿を通して、子供に対する親の深い愛情について考えさせる

 授業は中学3年生を対象に実施しました。この時期の生徒は、自立心が芽生え、自分の判断や意思で生きていこうとする気持ちが高まります。そのため、家族に支えられている意識が薄く、干渉してほしくないと、反抗的な態度をとってしまうこともあります。

 本時で扱う「家族のはなし」は、鉄拳さんのパラパラ漫画です。主人公の男の子が進路選択で多くの課題を抱える中、最後まで温かく見守っている両親の姿を通して、子供に対する親の深い愛情について考えさせることができます。視聴するだけで心を大きく動かされる、力のある作品です。また、進路選択の時期を迎えた生徒にとって、男の子の姿から自己の進路や、進路に対する家族の思いについても考えを深めることができる教材です。

 この映像化したパラパラ漫画は、親しみやすく、学習に対する生徒の興味や関心を高めたり、文字に抵抗がある生徒の内容理解を助けたりすることができます。そして、話し合いのきっかけや気づきなどを促したい場面、主人公の気持ちが大きく揺れる場面などで映像を止めることができる利点があります。また、印象に残ったところを再度視聴することもできます。映像の最後に「家族は、面倒くさい幸せだ。」というメッセージが流れてきますが、その言葉の意味を授業の中で、生徒一人一人が自分のこととして捉えることができました。