難民とは、政治的な迫害の他、武力紛争や人権侵害などを逃れるために、国境を越えて他国に庇護を求めた人々の事を表します。つまり、紛争や人権侵害からなどから、自分の命を守るためにやむを得ず、母国に追われ、逃げざるを得ない人たちの事であります。(難民支援協会)
「難民」という言葉を耳にしたことがある人は多いと思いますが、実際に「難民」と聞くとどこか遠い存在に感じるかもしれません。しかし、「難民」と呼ばれる方達も難民になる前は私たちと同じように、家族、仕事、家などの日常があった人たちが沢山います。難民になる理由は様々ではありますが、一つ忘れていけないのは、「難民」となる人は、自ら難民になりたかったからではなく、自分の命を守るためにも、「難民」となり得るしかなかったという事です。
| 世界での難民問題 ー現状
コロナ禍の移動制限、国境封鎖にも関わらず、現在も多くの人が国から追われています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、2020年末時点で、紛争、迫害、人道危機から逃れてきた人の数は、8,240万人(82,381,000人)となったと報告されています。この数は、全人類の約1%にも及びます。
データ出典:UNHCR Global Trends 2020
実際に、2020年度にUNHCRが支援対象にあたった人数(難民・国内避難民・無国籍者・庇護希望者・帰還者等)は、9190万人(91,923,000人)で過去最高を記録しました。(Global Report 2020 UNHCR).
データ出典:Global Trends 2016
新型コロナウイルス感染症による貧困・食料不足等ににより多くの人々が今なお故郷を追われています。その中、UNHCRなどの支援団体は世界各地で支援活動(人道支援)を行なっています。しかし、現状は厳しく、資金が圧倒的に足りない状況が続いているようです。そのため、難民の方達の命を守るためにも、皆様のご寄付が必要な状況であります。
世界中では何千万人との難民がいるのにも関わらず、各国の置かれた状況は異なってくるが、日本の難民受け入れ人数は他の世界の先進国と比べると極めて少ない難民認定数であることは事実であります。2019年度の日本の難民受け入れ人数はたったの44人、2020年度は10,375名の難民申請者に対して認定者は47人でありました。日本は難民受け入れに対して積極的な姿勢を示していないということが分かります。
日本には一見、難民がいないように見えますが、その人たちはどのように日本で生活されているのか疑問い思ったことはありませんか。難民の中には、「難民」として安定した在留資格を得て、日本で定住されている方と、難民申請中の方々がいらっしゃいます。その方達は、各自住まいを見つけて生活をする人もいれば、友人や知人宅に同居している方もいます。その一方で、住まいが見つけられず、難民支援協会などの団体が提供するシェルターで暮らしている方もいらっしゃいます。
生活面においては、難民申請中の方で、就労資格を得られる人もおり、仕事を探して働いている人もいます。但し、コロナ禍で、仕事を失ったり、収入が減ったり、就職ができない人が多くいるのが現状であります。また、在留資格の無い、「仮放免」の方々は、就労資格が貰えず、仕事ができないのでさらに厳しい状況を強いられています。
国(外務省)の仕組みで、難民申請中の方向けに「保護費」という支援金を支給する仕組みはあるが、受け取るまでに約40日間かかったり、受け取れる人も限定的など、様々な課題があります。
日本の難民認定はなぜ時間がかかってしまうのか、なぜ他の先進国と比べると受け入れ率が低いのか。皆さんもこのように疑問に思った事があるかもしれません。しかし、なぜ難民受け入れに時間がかかってしまうのかについては、明確な要因は分かっていません。おそらく、認定のハードルが高く、多くの証拠書類を要する事から、審査側も時間がかかっている事が要因の一つとして考えられます。
日本の難民認定率の低さについては、こちらに詳しく説明してあるので、ぜひご覧ください。難民支援協会様のHPです。
https://www.refugee.or.jp/refugee/japan_recog/
考えられる要因
日本が政府の積極的な意思がないから。難民をより積極的に受け入れるというような意思が政府にはないと考え られる。
難民を「保護する」より、「管理する」という視点が強いという、難民認定制度のそもそものあり方であるから。
誰を「難民」として認定するかの基準が明確ではないから
難民認定手続きが適正に行われているか関する基準が曖昧であるから
この設問に対する答えにはさまざまな見解があると思います。皆さんにも、ぜひ考えていただきたいテーマでもあります。個人的な考えとしては、難民の方々が、学校、会社、地域など、社会のさまざまな場で受け入れられるように変わっていくことで、それぞれの場で多様な価値観が生まれ、難民にとって、また外国人の方にとって、ひいては日本人にとっても、生きやすい社会になるのではと解釈します。
しかし、これにはさまざまな意見があり、日本政府は国民の意見にも耳を傾けながら、これからの日本の難民受け入れについての政策を計画していくべきだと考えます。
日本(政府)は、海外の難民支援として、経済的支援や人道支援などを行なっている一方、日本の中での支援は限定的で、十分な支援ができているとは言えません。政府主導のプログラムとして、一度他国へ逃れた難民を第三国の日本に受け入れる、「第三国定住」という仕組みで難民受け入れを行なっていますが、これも十分な受け入れ人数とは言えません。
政府の支援だけでは不十分
難民申請者に対しては、セーフティネットが十分ではなく、政府による支援がほとんど成されておらず、UNHCRや難民支援協会といった民間の支援団体で支えている状況であります。主に、難民認定支援、社会支援、自立支援を重心的に行なっています。
さぽうと21
国連難民高等弁務官事務所
難民支援協会(JAR)
など、、、、、
支援金を寄付する
難民の方達は、不安と恐怖とともに日本、あるいは世界で暮らしています。そういった人々を支えるためにNPO、NGO団体が支援活動を続けています。しかし、これらの支援を継続的にサポートしていくためには、資金が必要であります。そのため、皆様のご寄付がNPO、NGO団体を通し、難民の人々の生活を少しでも豊かにすることができます。
難民について理解を深める
難民問題というのは世界問題であります。この問題を解決するには多くの国やそこで暮らす人々の協力が必要であります。そのため、日本でも今以上にもっと多くの人に難民の現状について知ってもらう必要があり、それが共感や寄付することに繋がります。
参照元
・中村義幸(2002). 「難民認定手続きに関する研究」. 明治大学社会科学研究所紀要. 37(1), 89-90. https://www.moj.go.jp/isa/content/930003065.pdf 2022年1月3日.
・認定NPO法人難民支援協会 (2019). 「日本にいる難民のQ&Aー難民から見える世 界と私たちー」https://www.refugee.or.jp/jar/postfile/QA.pdf 2021年12月16日.
・認定NPO法人難民支援協会 (2019). 『日本にいる難民のQ&A 難民から見える世界と私たち』https://www.refugee.or.jp/jar/postfile/QA.pdf 2021/12/18.
・出入国在留管理庁(2021). 『令和2年における難民認定者数等について』https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00003.html 2022/1/1.
・三浦尚子(埼玉大・非常勤)(2019) 『コロナ禍における牛久入管収容所被収容者の生活状況とメンタルヘルス』https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2021s/0/2021s_177/_pdf/-char/ja 2021/12/18
・人難民支援協会(2021更新)『日本の難民認定はなぜ少ないか?』https://www.refugee.or.jp/refugee/japan_recog/ 2021/12/21.
・出入国管理政策懇談会・難民認定制度に関する専門部会 (2014). 『難民認定制度の見直し の方向性 に関する検討結果~報告~』. http://www.moj.go.jp/content/001130133.pdf. 2022/1/3.
・国連難民高等弁務官事務所(2002). 「日本の難民認定手続きについて」. https://www.unhcr.org/jp/j_protection. 2022年1月3日.
・木村光伸,佐伯奈津子,人見泰弘 (2018). 「外国人・難民問題にどう取り組むか」.名古屋学院総合研究所. 55(1). 9-10. syakai_vol5501_06.pdf (511.73KB). 2022年1月3日.