私はこの度、社会福祉法人さぽうと21理事長高橋様に日本の難民問題についてオンラインでインタビューさせていただきました。本来の所、SOIS生対象に行ったアンケートで募集した質問をいくつか抜粋しインタビューを行う予定でありましたが、日本での難民の受け入れ問題については不透明な部分が多く存在するため、さぽうと21様だけの情報だけでは偏りが出てしまう事が懸念されるというご意見の上、当団体が行なっている支援活動の内容に重点を置きいくつか質問させていただきました。
今回は皆様から頂いた質問を全てお聞きする事は出来ませんでしたが、難民支援を行なっている団体様の貴重なお話やご意見をお聞きする事ができたので是非ご覧ください。
さぽうと21が行なっている支援は3つに大きく分けられています。1つは、自立支援事業であり、給付型の就学支援金(奨学金)を出しています。大学生と大学院生に対して、学校に行くためのお金について経済的な支援をしており、毎年30人前後の方の支援をしています。2つ目は、日本語の学習支援であります。おとなを対象にする事から始まりましたが、今は子どもの学習支援なども行なっています。例えば、日本語が不自由な親御さんの場合、子どもが学校で貰う手紙の内容を理解する事が難しいこともあるため、学習支援という形で応援させていただいています。3つ目は、相談事業を行なっています。日本に来て異なる文化や制度の中で生活していく中でお困りになる事もあるので、その場合には相談に乗り支援を行なっています。
さらに、詳しく知りたい方は、当団体のHPをご覧ください。
日本語学習支援に一番大きな影響があったと思います。そもそも週1回(土)、目黒にある事務所に来ていただいて勉強するというのが、原点でありました。もしくは、通う事が大変な地域にお住いの方には、少し離れた綿糸町と行徳という所で、学習支援ボランティアと一緒に日本語の勉強をしていました。しかし、コロナの影響により、そもそも皆が集まるという事自体が難しくなってしまったので、コロナ前から利用を考えていたオンラインを活用し、出来ることから始めていきました。その結果、オンラインを活用したことにより、元々週1回であった学習支援が、毎日行われています。さらには、オンラインにより日本語を教えてくださるボランティアの方が増えました。というのは、ボランティアの方達が土曜日の指定された時間に行く必要が無くなり、自宅からあるいは海外からも教えてくださる人が増え、困った事もいっぱいありましたが、思いがけない展開があり新しいチャレンジとなっています。もちろん、オンラインが苦手な人は週1回来ていただいて授業を行なっています。
さぽうと21では原則として、できる限り一対一で授業をしています。なぜかというと、学びに来ている人たちのバックグランドは皆違い、何のために学びたいのか(ゴール)も皆違います。そのため、基本的には一対一で行なっています。ただ、一定のレベルまで進み、共通の資格を受けたい(日本語能力試験など)というのであればクラスを作り授業をしたりしています。そこで非常に大事になってくるのが、先生と学習者をマッチングさせる等のコーディネートの仕事です。
本人が難民として来ましたというよりも、親御さんが難民としていらしてその家族ですという方が多いです。さぽうと21の支援の1番の優先順位は難民の方、またはその家族となります。
しかし、さぽうと21の支援の対象者は時代とともに変わっていきます。当時、さぽうと21の姉妹団体である「難民を助ける会」ができた時は、ベトナム、ラオス、カンボジアの方が沢山日本に来られたので、学習者もこの三ヶ国の方々でした。しかし、時代が変わっていき、ミャンマーの軍事政権から逃れて来日される方が増え、学習者はミャンマーの方達ばかりの時期もあったり、アフリカや中東から逃れて来た方もいらっしゃいます。
現在、奨学金の支給をさせていただいている方達は、大学院生10人、学部生30人ぐらいであります。特定の基金があってまかなわれている事業や、助成金をいただいて実施している事業もあります。その他の活動は、皆様のからのご寄付で成り立っている部分が多いです。
難民として来られた方以外にも、中国帰国者またその2世の方、中南米(ペルー、ブラジルなど)とから日系定住という形で日本に働きにいらしている方達も支援の対象となっています。
この方達に共通することとは、本人たちの望みで日本に来た訳ではないということです。特に、第2世代の方、子どもにとっては、親の都合により日本にいらしている人が多いので、留学生とは違い、自分の意思で日本に来た訳ではないと言う事です。
一番困るのは日本語だと思います。おとなの世代であれば、日本語が分からないと仕事もできない。それだと家族を養っていく事ができない。そのため、より良い定住をしていくためには少しでも日本語が喋れる方がコミュニティーを広げる事ができ、可能性を増やす事ができます。
一人一人にどう寄り添うかが大事であります。私たちは、あくまでも伴走者であります。こちらはあくまでも選択肢を提供してアドバイスをする事が基本であり、ご本人が何をやりたいかに耳を傾ける事が大切であります。こちらが主体になって引っ張っていくのではなく、側で寄り添う人、良き隣人になりたいとさぽうと21は考えています。どうやって彼らに心を寄せるかを常に考えています。
難民についてまず興味を持つ事であります。どうして難民になったのか、どう言う経緯で私たちの社会の中に入って来られたのかなどについて知っていただくこと、興味を持っていただく事が大切であります。
政府の定住支援などのプログラムはありますが、最終的には受け入れるのは私たち市民、一人一人なのです。例えば、もしかするとあなたのお隣さんにいつかなるかもしれません。その時に、その方のことを尊重し、良き隣人となっていただきたいと考えています。